【永田満徳(みつのり)】 日本俳句協会副会長 俳人協会幹事 俳人協会熊本県支部長 「文学の森」ZOOM俳句教室講師

火神主宰 俳句大学学長 Haïku Column代表 「秋麗」同人 未来図賞/文學の森大賞/中村青史賞

〜 季語で一句 (47)〜『くまがわ春秋』2023年10月号(第91号)

2023年10月02日 20時14分48秒 | 月刊誌「くまがわ春秋」
俳句大学投句欄よりお知らせ!
 
〜 季語で一句 (47)〜
◆『くまがわ春秋』2023年10月号(第91号)が発行されました。
 
◆Facebook「俳句大学投句欄」で、毎週の週末に募集しているページからの転載です。
◆お求めは下記までご連絡下さい。
・info@hitoyoshi.co.jp 
 ☎ 0966-23-3759
 
永田満徳:選評・野島正則:季語説明
季語で一句(R5.10月号)
 
二百十日(にひゃくとおか《にひやくとをか》)  「秋-時候」
大工原一彦
汚染から処理へと変はる水厄日
【永田満徳評】
稲の開花期に、台風が襲来することもあって、「厄日」とされている。原発事故による「汚染水」を処理して、「処理水」と呼んでいることへの違和感をうまく「厄日」という季語と取り合わせて詠んでいる。
【季語の説明】
立春から数えて二百十日目。日付ではおよそ9月1日ごろ。厳しい暑さも和らぎ、秋へ向けて過ごしやすくなる。しかし、台風の多い日、風の強い日といわれ、稲の開花期にもあたることから、この日を無事に過ぎてほしいという農家の願いから「厄日」ともいわれている。
別れ烏(わかれからす)    「秋―動物」
大工原一彦
子別れ烏相続税か贈与税
【永田満徳評】
「烏の子別れ」は 親との別れが遅く、秋に単独で飛んでいるのを「別れ烏」「烏の子別れ」とも言う。財産を相続、贈与することは「烏の子別れ」の儀式に似ていて、「別れ烏」とうまく取り合わせている。
【季語の説明】
一般的な鳥は巣立ちが親子の別れとされる。烏の子は巣立ちから群れで行動することが多く、親との別れが遅くなるという。秋に単独で飛んでいる烏に対して、「親や子と別れた烏」と見なし、「烏の子別れ」として季語にしている。烏は一夫一婦制の動物で、1度つがいになると、生涯そのペアが解消されることはない。
蜩(ひぐらし)        「秋―動物」
佐竹康志
蜩のやがて汀の音となる 
【永田満徳評】 
「蜩」は夕暮れ時に特によく鳴く。秋の夕方に鳴く蜩の声にはひときわ味わい深い。澄んだ鈴を振るような声でカナカナと鳴く「蜩」の特徴的な声が「汀の音」に重なるという表現に詩的な感性を感じる。
【季語の説明】
「蜩」という名の通り、夕暮れに特に鳴く蟬。日本ではその鳴き声から カナカナ 、 カナカナ蟬 などとも呼ばれる。すでに晩夏から鳴き出し、夕暮れに限らず、明け方に鳴くこともある。夏の終わり頃の朝夕に聞く蜩の声は、一種の哀調のある声が遠くまで響き、他の蟬とは違って、秋の気配を少しながら感じさせてくれる。
 

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