野田佳彦首相が年内も視野に考慮している衆院解散に先立ち、環太平洋連携協定(TPP)交渉参加の表明を検討していることが9日、分かった。自民党や「第三極」との対立軸を明確にし、次期衆院選で争点化する狙いからだ。ただ、民主党内の反対派が集団離党し、衆院で少数与党に転落する可能性もはらむ。首相が解散時期と併せ、難しい判断を迫られるのは必至だ。
首相は9日夕、都内の会合であいさつし、赤字国債発行に必要な特例公債法案の実質審議入りについて「ようやく歯車が動いた。政治が果たすべき役割は、何よりも政策課題の解決だ」と述べ、同法案や衆院選の「1票の格差」是正など解散時期を判断する前提となる課題の処理に野党側の協力を求めた。
また枝野幸男経済産業相は同日の記者会見で、TPP交渉参加を主張した上で「次の衆院選までに結論を出すべきだ」と述べた。前原誠司国家戦略担当相は「TPP反対か賛成かは、民主党の公約として掲げて争点化すべきだ」と明言。岡田克也副総理も「先送りできない状況になりつつある」と、結論を急ぐべきだと強調した。
TPPに関しては、自民党が聖域なき関税化を前提とする交渉参加には反対しているほか、第三極形成を狙う新党の間では賛否が分かれている。首相らは、TPPを対立軸にすれば選挙戦が戦いやすいと判断しているとみられる。
これに対し、TPP反対派の代表格である民主党の山田正彦元農林水産相は9日午後、国会内で輿石東幹事長と会い、「TPP参加を表明して解散するのか」とただした。輿石氏は「そんなことで解散することはあり得ない」と否定。「今、解散したら50~60人しか当選しない」との見方も示し、年内解散に反対する姿勢を強調した。
首相が「近いうち」とした解散時期をめぐり、年内が持論の前原氏は9日、「首相は約束は守る」と指摘。一部の民主党幹部や首相に近い若手議員にも年内解散論がある。衆院選で議席を減らしても来年夏の参院選で巻き返す余地を残すには、できるだけ参院選と間隔を空けるのが望ましいとの見方が根拠だ。(jijicom)
どうやら、年内解散も視野に入ってきたのかもしれない。同時に、民主党の旗頭が鮮明になりつつある。環太平洋連携協定(TPP)交渉参加を明確に打ち出すことで、党内に残る「小沢・鳩山色」を削ぎ落とす覚悟をしたのかもしれない。民主党は、一度スリムになって、力を蓄えたほうがいい、それが結果的に政治の質を高めることになる。冷静に眺めれば、ここ数年の間に、政治集団として大きくレベルアップしてきたのは、野田さんを軸に「厳しい舵取り」を経験してきた彼らではないか。彼ら民主党の精鋭たちが残りさえすれば、選挙に負けたとしても、自民党の返り咲きや維新の会の寄せ集めと比べて、決して見劣りするはずがない。この3年間の経験を「旗頭」に掲げ、右往左往せずに毅然と前を向いて、闘っていただきたい。わたしは、彼らを支持する。