My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

取れるところからお金を取る、という考え方。

2009-12-02 13:44:25 | 7. その他ビジネス・社会

今日は疲れてるし、ブログは書かないで寝る予定だったのだが、
「鍵持ってくの忘れたから起きてて!」と言って、パーティに出かけたルームメートのYEが、
約束の時間になっても帰って来ないので、待つついでに短い記事を更新することにした。

アメリカの大学のトップ校って、学費がすごい高いんですよ。
まあ、トップ校はどこも私立だから、って話もあるけど、年間300万円とか400万円とか普通である。
そんなに払える家庭がどこにあるの?
あー高等教育は金持ちだけ受ければいいって発想なのね、とか思うでしょ。

そうじゃないんです。

学費免除などのファイナンシャルサポートが非常に充実してるんです。
例えばMITの場合だと、半数以上の学生が、何らかの学費免除を受けてるらしい。
(じゃあ残り半分は金持ちか、っていうとそれもあるけど、実際はもらってない多くの人は教育ローンを活用しているのでしょう。)

免除のレベルは色々で、20%くらいの補助から全額免除まで。
"Need basis"と言って、サポートを受けないと生活できないことが分かれば、誰でも少なからず受けられる仕組み。
もちろん全額免除は、入学時の評価や成績が非常に良いひとだけ。
それから、足りない分はみんな、教育ローンとかで補う。

要は、400万円とか高い金額をチャージして、払える人にはそれで払ってもらう。
払えないけど優秀で是非来てほしい、という人にはどんどん免除して実質安くする
仕組み。

もうひとつ、大学とは別の「取れるところから取る」話。
以前紹介した話なんだけど、アメリカの一部の病院とかも、そういう価格設定してるらしい。

私の友人でアメリカで出産した人が、病院から500万円請求されたそうだ。
で、「こんなの払えない!」とものすごい苦労して交渉したら、サポートプランを色々出してきて、結局100万円くらいまで下げられたという。
これって逆に、交渉する労力を払いたくない(かなり大変)、お金を払える人からは500万円取ってるってことなんだよね。

まさに、取れるところからお金を取る仕組み。
アメリカに住んでると、あらゆるところでこの考え方が流通してるのが分かる。
(だから常に交渉が求められるんだけどね。過去記事参照。)

こういう「取れるところから取る」価格設定の考え方を、経済学ではPrice Discriminationという。
ひとつの商品・サービスに対して、人によって感じる価値(効用)が異なる。
例えばある人は、MITに来れるなら400万払ってもいいと思うし、ある人はどんなに優秀でも50万しか払えない、と思うだろう。

大学としては、お金は無くても優秀な学生は欲しい。
さてどうするか?

ここで、一律50万円に学費を設定し、50万しか払えなくても優秀、という人を取るのが日本的なやり方。
アメリカの場合は
、400万円の価値がある、と思う人には400万円チャージし、50万しかどうしても払えない、という人には50万しかチャージしない、と言う方法で、優秀な人を取るわけだ。
50万しか払えない人は、いろいろ面倒なApplication書いたり、それなりに成績がよくないといけなかったりする。

同じ優秀な人を取るとしても、後者のほうが儲かるよね。

「大学とか病院が儲けるって発想がおかしい」と思う人もいるかもしれない。
でも、実際のところ、日本の場合、足りない分を補うため税金だの保険だのが投入されてるわけです。
それなら、400万、500万ぽいっと払える金持ちから取った方がいいんじゃないですか?
という話だ。

もちろん、これは競争が激しい市場では出来ない。
競争が激しく、選択肢が他にあれば、たとえ沢山払える金持ちでも、安いオプションを選ぶから。
病院とか、大学のトップ校とか、実質、選択肢が無いわけで、事実上独占になっている市場では、こういう価格設定が出来るのだ。

日本の大学のトップ校は国立大学だから、こういう考え方はなかなか難しいかもしれないし、
アメリカの場合、教育ローンの仕組みが充実してるからできるってのもある。
(成績が悪かったりして援助をもらえないときは、教育ローンに頼れば良いから)

が、400万なんて極端にせずとも、一律50万円で学費免除も余り無い、というのはひどい気がする。
もう少しPrice Discriminationの考え方を導入し、
例えば国立大学でも私立同様の150万くらいに学費を上げて取れるところから取り、
学費免除も大幅に増やす、という方が国民のためじゃないかなあと思ったりするのであった。
だって、例えば東大って確か親の平均年収が1,200万円とからしいから、こういうところからはじめるのも手ではないか?

もちろん、ちゃんと学費免除がたくさんあります、ってことを明確に知らしめる必要はある。
でないと、「学費高い」と思ってしまって大学を諦めてしまう人が増えてしまうのは問題だから。
(あとは教育ローンの充実だね・・・)

日本の高等教育戦略による話なので、一概に何がいいとはいえないものの、
これを以ってトントンにするなら、経済的に困ってる人がより学校に行ける仕組みになるわけだし、
たとえ余るようなことがあるなら、それこそ国家予算を別のところに投入できるだろう。
格差が広がってるからこそ、こういう考え方がもっとあってもいいはずだ。

まあ、東大が学費上げたら、優秀な学生がハーバードやMITに流れちゃった、なんてことが起きたらショックだけどね(笑)

それにしても、約束を1時間過ぎてるのにYEまだ帰ってこないよ・・・
もうドア開けっ放しにして寝るかね。
と思ったら、
帰ってきた。寝れる。

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21 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
実施主体により効果は異なる (Willy)
2009-12-11 15:27:50
ふざけたコメント書いているうちに出遅れちゃいましたが、累進的な学費のような制度と大学側が行う価格差別は同じではないですね。累進的な学費では、入学選考は能力のみで判断される一方、大学側が行う価格差別は支払い意思額によって入学選考の難易度が変化する。後者の場合、個々の大学側から見ると学生の質と短期的な収入のトレードオフが生じます。国全体で見た場合は学生の質の平均は変化しないので、1)教育のリソースの利用効率が落ちること、および、2)大学のシグナリング機能が弱まること、が社会的なコストになると思います。
返信する
いろんな考え方がありますね (Lilac)
2009-12-09 14:59:31
>freedomさま

>東大も昨年から家計負担者の年収が400万円未満(給与所得)の場合、授業料の全額免除なんかをしたりしていますよね。

いや似たような制度は以前からあったはず。
私も院に入ってからは全免受けてましたから・・・。
ただその額が400万とかではなく、もっと低かったのかと思われます。

>でも私の身近な友人知人が全部見ていたら既に特定されているかも

そういえば私はFreedomさんが何者かよく知らないんですよね。
Freedomさんは私のことを知ってるのかもしれませんが。(調べりゃ分かるか)
そのうち私にだけ分かるように教えてください(笑)

>Sakaiさま

はじめまして。
コメント有難うございます。

>どのような制度を選択するかについては考え方のいろいろありうるところ

これは確かにそうですが、かといって日本の全ての制度が「個人主義は望ましくない」という考え方で設計されてるかというと、そうではないわけです。
だから、学費のことだけ近代西欧的個人主義を理由で反論するのはフェアじゃない、と個人的には思います。

例えば税金などでも、日本は「ちゃんと年末調整しないと多く取られた税金が帰ってこない」「スーツなどは年間200万円まで経費として認められる」などを知らないと、還付される額が変わってくる、と言う意味で、実は自己責任によるPrice Discriminationされているわけです。

寧ろ私が気にするのは、労働再生産コスト、と言う意味での教育費を、誰が負担するか、という国の方向性の問題です。
以前どこかで書きましたが、アメリカは学位を持つ人に高い給与を支払うことにより、企業が再生産コストを担っていると言えます。
ヨーロッパは国が再生産コストを担っている。したがって大学などの学費がタダ、と言うことになるわけです。
しかし日本はどうか?

以前は「終身雇用」制度により企業が再生産コストを担っていたわけですが、現在は放棄されつつあります。
だんだん通常の家庭の負担へと回ってきている。
これでは格差の固定が更に進んでしまうのではないかと心配しています。
それを緩和する方法のひとつとして、Price Discriminationを導入すべきではないか、と私は考えてるのです。
返信する
Unknown (Sakai)
2009-12-09 14:40:07
通りすがりの者です。お話大変面白く読ませて頂きました。

この話は、もう一段階レベルを上げて、そうした制度と、それが社会に与える影響という側面から見るのも、また有用かと思います。
たとえば「取れるところから取る」の例として挙げられた米国の大学のやりかたですが、
これは、減額を受けたい個人が交渉やその他学費削減のための自助努力によって、実質的な支払額が減るというものです。
このような考え方は、独立した個人が他者との競争、折衝の中で自己の利益を追求していくという個人主義の考え方と親和性が強いものであるように見えます。
よって、アメリカのようなそうした近代西欧型の社会では合理性がある制度ですが、これを日本に見た場合、まだ自己主張による自己利益の実現という趣旨が社会合意として必ずしもいきわたっていないという現状では、
「学費が定価どおりの400万なのは、交渉しなかったあなたの自己責任」と断じることは、学生の側から見れば過酷な制度となってしまいます。

ここで、もっと日本の社会にも近代西欧的価値観による個人主義を普及させるべきだ、と考えればPrice Discriminationの考え方を導入することにより個人主義を促進させるのが良いことになりますが、
必ずしも個人主義は望ましくない、と考えるならば、Price Discriminationの考え方の導入は望ましいオプションではありません。

近代的自由主義と個人主義の歴史はまだたかだか200年であり、それに対して批判も大きくなりはじめた昨今、
どのような制度を選択するかについては考え方のいろいろありうるところだと思います。
日本国の大学にPrice Discriminationの考え方を導入する必要は無い、というのが私の私見です。

最後になりますが、このブログが私に新しい視点を示してくださり、このようなことを考える機会を与えてくださったことに感謝します。
返信する
2つ目のT京で私も引っかかっていました (freedom)
2009-12-09 03:08:23
>結局、大学自体の学費に関わらず、いい大学に入るのは金がかかるわけですね。
入る前にお金がかかるのは、本人の努力の問題で克服できない場合があるので、人類の発展のためにも国の発展のためにも何らかの改善が絶対に必要だと思っています。
入ってからの改善は日本でも試みられており、以前ニュースになっていましたが、東大も昨年から家計負担者の年収が400万円未満(給与所得)の場合、授業料の全額免除なんかをしたりしていますよね。

>ところでfreedomさん最近隠語が多いですが、Bジコンはともかく東京まで隠語にされると違和感ありますが(笑)。これって何か最近の流行とか?
個々に若干理由は違いますが、主には始めの文字をイニシャルにしているが誰が見てもわかる物(恐らくこれに引っかかっておられるのでしょう)は、話を一般化するためです。その事を例にだしていますが、そのこと自体を言いたいわけではないからです。それと敢えてイニシャルにすることにより強調されるので一種の皮肉です(T京の例ですね)。
言外に表現していたりほのめかしている物は、書いてしまうと読み流されるだけで、そのことを知らない人が鵜呑みにすることなく自分で調べて確認され、自分なりに解釈されることを望んでいるからです。
わかる人にしかわからない物は、例として自分の経験や身近なことも書いているので、私が特定されないためです。その方が自由に書けるでしょう(でも私の身近な友人知人が全部見ていたら既に特定されているかも)。ある程度背景がわからない方がステレオタイプにじゃまされずに読めるということもありますしね。
返信する
Unknown (Lilac)
2009-12-08 12:18:50
>anyさま

はじめまして。
>この話、与信について触れてないですね。

なるほど、アメリカ人は信用に基づいてお金を借りることも、貸すことにも慣れてるから、高い学費でも「将来へ投資する」という考え方が日本より定着しているだろう、ということですね。
確かにその効果はあるのでしょうね。

一方でその教育費を負担してる国がすごい借金を背負っていても、「問題だ」と言いつつも、学費を上げることに大反対する人たちがいるわけですね。

>freedomさま

長いコメントを有難うございます。
>コンサル人は議論好きな人が多いので純粋に議論して遊びたかった

まあそうかもしれませんが、コンサルなんてノブレス・オブリージュと倫理観と社会正義が身上のはずで、それがなくなったらただの人ですから。
金持ちのために累進課税に反対する「コンサルの人」って言うのが個人的に大嫌いってだけです。

>逃げてないで早くきちんと説明して処理すれば構わないのではと私は思っています

個人的にはそんなことはどうでも良いので、真面目に国政に取り組んで欲しいです。
それこそH氏やM氏が国外逃亡していることに比べれば微々たるものです。
こんなことをおおごとにする野党とマスメディアと扇動される一部の国民を何とかしたい・・・

>日本人はお金さえ投入すれば全員T大K大のレベルになれるということを証明

ちなみにこれはアメリカの方が顕著でして、実際にハーバードやMITの高い学費(特に学部生)を払ってるのは親だったりします。
こっちの最高学部の親の平均年収は東大なんかより高かったはず。
結局、大学自体の学費に関わらず、いい大学に入るのは金がかかるわけですね。

ところでfreedomさん最近隠語が多いですが、Bジコンはともかく東京まで隠語にされると違和感ありますが(笑)。これって何か最近の流行とか?

>ゆーたさん

ビジット楽しみにしています。
もしお会いできたらいいですね。
返信する
ありがとうございます! (ゆーた)
2009-12-06 16:44:54
実は、2月のCampus Visitについては、
すでに日本人サイトの方からご相談を
お送りさせていただいており、ご担当
いただく方からメールを戴いている
のですが、もし宜しければ、現地で
お会いできたらと思います!

>freedom様
思いつきの議論にコメントをありがとうございます。
友人との議論でも課税所得を基準にしたらうまく
いかないかもねーと話していました。
ただ、現状の奨学金制度に問題が多いのも確かなので
何かしらの新し仕組みを考える必要があるのではという
問題意識があります。
あしなが育英会のような草の根の活動だけでなく一歩
進めた対策が必要じゃないかという話です。
その後、特に詰めた議論をしていないので粗粗ですが・・。

また、累進制度については、一般論としてはおっしゃる
通りだと思いますが、今回の案の場合、高額所得者は
所得に占める教育費の割合が限定的なので、たったそれ
だけの追加的拠出をもって海外に逃げていくことは
考えにくいと思うのですが・・・。
企業レベルの議論と個人レベルの議論では少し視点を
変える必要がある気がします。
そういう意味では、Liracさんの仰る簡単には海外に
移転しないという方がより現実的な過程なような気も
します(究極的にはやってみないと分からないとも
思えますが・・・)。
返信する
累進課税 (freedom)
2009-12-05 04:33:44
>>元文科省と元経産省の役人には結構受けが良かったのですが、コンサルの人からは累進制度そのものが経済活力を削ぐとコメントされ
>コメントを拝見して、二つ考えたことがあります。・・・
元官僚の役人は、ご本人も思考実験と書いておられるように、明らかに実現不可能なことなので若者にありがちな空論として適当に賛同してあしらわれたのでしょうね。左の耳から右の耳へという役人によくありがちな対応ですね。コンサル人は議論好きな人が多いので純粋に議論して遊びたかったのでわかった上でお相手をされたのでしょう。
課税所得なんて昔から「とうごうさんぴん10・5・3・1」とか「くろよん9・6・4」とか言われていて捕捉できないわけですから。そんなものを基準にすれば混乱を招くだけなのは明らかで不可能なのは誰でもわかる話でしょう。まさに今H山首相も「ぴん」(政治家の所得捕捉は1割と言われている)を露呈していますよね。今年までF1にタイヤを供給していた会社の創業者のストーンブリッジ氏の娘である母親から毎月1,500万円総額9億円も受け取っていたが贈与税は払っていなかったことが明らかになって戦々恐々としているところでしょう。(単なる形式犯であって日本の伝統的感覚から言えば企業等の利権を含んだお金ではなく、国民全てが知っている金持ちであり母親からもらったお金も含めてある意味では自分のお金なんだから逃げてないで早くきちんと説明して処理すれば構わないのではと私は思っています。)
現在大学等や教育行政で実際に権力を持っている世代は資本論に郷愁をあるいは愛着を持っておられる方が多いので、大学全入の今日では逆に無料化の方が実現性はあるかもね。

日本では大学のヒエラルキーと親の所得が一致していて日本人はお金さえ投入すれば全員T大K大のレベルになれるということを証明しているので、国家戦略としてはどこにお金を投入すべきかはわかっていますよね。実際私の住んでいる街では元々年に1~2名程度がT大K大に入っていた公立の学校に、2代続けて市長が教育長出身であったという幸運(建設部局出身なら巨大庁舎が建ったでしょう)でお金が投入され(箱物はもちろん教員も教育内容にも投入された。市長の出身の学校であることは言うまでもありませんが)その結果、毎年20~30名入るようになりました。(地域の大学進学率も全国1位になりました。)これは○○の奇跡としてマスコミにもとりあげられています(実際には奇跡ではなくてお金であり、お金で奇跡が起こせたことに私も驚いています)。しかし普通の公立校であったので当初は所得ヒエラルキーの外にあったのに有名になってしまい、現在では下段の小、中学校の段階で所得ヒエラルキーが形成されてしまう結果になりつつあり残念です(都市心過疎で学校統合したのに住民票上も含め子供が増え(マンションも増えた)教室が足りなくなっている)。このようにお金を投入すれば結果がでることは証明されています。国のことを考えられれば道路掘り返すのにお金を使ってる場合やないということです。

>累進制度そのものが経済活力を削ぐ
>本当に金持ちに多く課税すると、金持ちは出てくのか?
Lilacさんがおっしゃるようにお金以外のこともあるので何割とかいう多数にはならないでしょうが、厳密に金持ちに多く課税できれば、出ていく人はかなりあるでしょうね。(現在の低い累進でさえH江氏やM上氏がシンガポールを利用していましたよね。)でも金持ちほど逃げ道を利用して課税されていないのが現実でしょう。所得も資産も厳密に捕捉することはできないでしょうからいろんな所に累進制度が導入されると不公平感が充満するだけのこと。財務省もよくわかっているから今の中途半端な制度なのですよ。(財務省は自分の管轄する番号が欲しくて納税者番号なんて言っていますが、既に厚労省の年金番号はみんなについていますよね。総務省の住基番号もありますね。各省庁別の番号いっぱい作ってどうするつもりなのでしょうかね。国の組織は国単位で物を考えないのですね。)民主党政権も租税特別措置を廃止すると言っていたが現時点ですでに半分は残すようなことを言い始めていますね。

>住民票だけ(税金の安い)海外に移して、日本に長期滞在する人が出てくるようになれば、そういうのを禁止すれば良いだけのことだと思っています。
税金が安いからではないが、納税地域ということで国内でも類似の問題が発生していますよ。私が住んでいる街でも週末だけ住むとかリタイア後に住むとかいう小さなブームがあり、T京等で納税してこの街に住民税を納めていないにもかかわらず住民サービスだけ受けている人が増えてきています。(T京に納税が集中していて住民への行政サービスが厚いので実際には他に住んでいても住民票を他に移さないということもあるのでしょう。)元々学生の比率が高い街でまた学生に対して寛容な街なので住民票を移さない学生が多く住んでいても学生は所得がほとんどないこともあり問題視されていませんでしたが、今のところ問題は顕在化していませんが、稼いでいても住民サービスだけ受けて税金は他の街に納める一般人は問題でしょう。敢えて好きで住んでいる街なのだから個人的な小さな利益のためにT京に住民票を残すなんてせずにきちんと移して好きな街の方に納税して欲しいものですね。
返信する
Unknown (any)
2009-12-04 20:08:53
この話、与信について触れてないですね。

米はクレジットカード社会で、実際にその場で払わなくても、
契約やカードによって払うのを後回しに出来る制度が充実していて、
その生活に慣れてしまうと、実際どの程度払わなくてはいけないかと
いう勘が鈍ってしまう事があり、クレジットカードが止められるまで
浪費生活に拍車がかかるという事がままあるそうです。
http://video.google.com/videoplay?docid=-4896448479819549272#

将来の高学歴候補ならば、後で回収できる見込みもそれなりに立つので
高めに吹っかけるというのはありそうな話です(楽観的な米国人なら
将来に期待して高めの学費でもチャレンジする部分もあるでしょうし)
#一方で高収入職種に就けずが学費ローンが払えないという悲劇も
#当然起きている模様ですね
http://yamashi3.livedoor.biz/archives/51352012.html

ただまぁ、そういう先送り浪費社会もサブプライムがはじけ、
FRBさえも破綻寸前という状況になって与信も厳しめになってるという
話も聞きますんで、まぁ米国のこのままで行くのは難しいでしょうし
日本もこのシステムをまんま持ってくるのは少しきついでしょうね
返信する
書き忘れましたが... (Lilac)
2009-12-04 13:43:44
>ゆーたさん

2月にビジットされるとのことで、楽しみにしてます。
101に書かれてるSloan日本人会に連絡するとき、もし興味があれば私をご指名くだされば、私が対応係になると思います。
(月・水だとTAの関係で若干難しそうですが・・・)
返信する
累進課税を大きくすると金持ちがいなくなるという言説は本当か (Lilac)
2009-12-04 13:37:22
>ゆーたさま

お久しぶり、面白いコメント有難うございます。

>元文科省と元経産省の役人には結構受けが良かったのですが、コンサルの人からは累進制度そのものが経済活力を削ぐとコメントされ

コメントを拝見して、二つ考えたことがあります。
1.国が促進するのと、民が促進する「Price Discrimination」と考えることで人々の受ける印象が変わってくるんじゃないか・。
2.そもそも、「累進課税」が金持ち流出を招くという言説は本当か

1.ですが、これ、ゆーたさんが、国立大学や国の機関ではなく、私立の大学に提案していたら、だいぶ違っていたかなーと思いました。

Price discriminationとは(経済学をやった方は是非教科書に帰っていただきたいのですが)、そもそも、独占市場において、企業がより得するための方法です。
記事に書いたように、一律50万取るやり方だと、「400万払っても良い」と考えてる人からも50万しか取れない。
ですが、Price discriminationをすると400万払っても良い人から400万取れ、300万払ってもいい人からは300万とれ・・・となり、皆が「ここまで払ってよい」と思ってる額を根こそぎ取れるるわけです。
(一言で言うとConsumer surplusを根こそぎ取れる)

だから、私企業にとっては「より儲かる方法ですよね?」ということです。
「コンサルの人」も、きっと、こう言えば絶対に反対しなかったと思います。

ところが、これを国が推進する、となると話が違ってくる。
累進課税と同じ議論ですよね。
「累進課税を促進すると、金持ちが日本から逃げていくので逆効果では?」という議論があり、累進課税に反対する人が良くいますよね。
あれと同じ原理です。

国が、国民のReservation price(ここまでなら払っても良い、という価格)の違いによって、価格差別をしようとすると、「金持ちには不公平だ」「だったら外に出て行くよ」「俺たちが出て行って困るのは国でしょ?」という話が必ず出てくる。

ところが私企業だと考えると、この方法は(独占市場であれば!)一番儲かる方法なはずで、絶対に文句は出ない。

反対する人の根本に「国は儲けるとか考えてはダメ、平等であるべき」みたいな意識があるのかな、と思いました。

個人的には、同じコンサルタント出身の人間として、その反対した「コンサル出身の人」を叩きのめしたいですね(笑)
あなたは経済原理が分かってるのか、と。

2.実は「だったら外に出て行くよ」という発想は、日本の最高学府は実は独占市場ではない、ということを示している可能性があります。
記事にも書いたとおり、「東大のくせにそんなに取るなら、ハーバード行ってやるよ」みたいな感じで、実は東大・京大は独占市場ではないという。

これについては本当か?と思いますね。
現状では、東大にもハーバードにも行ける実力のある人が、「お金が無いから」東大に行っている、というケースはレアであると考えます。
20年後にどうなってるかは疑問ですが、現状では日本の最高学府に行く人は行きたくて行ってるんだと思いますね。

同じことが累進課税の議論にも言えるのですが、本当に金持ちに多く課税すると、金持ちは出てくのか?
まあ一部に、本当にがめつく、出て行く人はいるかもしれませんが、多くは日本に留まる気がしますね。
食事が美味しく、長い歴史と深い文化があるこの国を、ただ税金を多く取られる、という理由だけで出て行くひとはそんなにたくさんはいないのではないかと。
(それよりも、どこかでWillyさんが書いてたように、日本の金持ちとは、老人が大量の金融資産を持っていて課税できないことの方が問題)

また、仮に住民票だけ(税金の安い)海外に移して、日本に長期滞在する人が出てくるようになれば、
そういうのを禁止すれば良いだけのことだと思っています。
(住民票が日本に無い人は、90日しか滞在できないようにする、とか)
返信する
累進学費 (ゆーた)
2009-12-03 22:15:56
記事を拝見して、数年前に友人と友人と議論した内容を
思い出しました。
それは、累進学費制度の創設についてです。
世帯所得(世帯の課税所得とか)によって学費を累進的に
変動させるという制度です。
この制度は単なる所得再配分制度ですが、教育制度の中で
完結させられるので立法の手続き上比較的楽に導入でき、
教育格差是正の風に乗れば国会も比較的通しやすいかと
思います。
論理的には世帯所得が高いほど可処分所得に対する教育費の
割合が減るので、単位教育費の拠出に対する効用の減少が
相対的に低いことを勘案すると、制度的には社会厚生を
向上させると効果があるのではないかと話していました。
もちろん、制度を導入しても初めは国立だけでしょうし、
そうなると効果は小さいですが、賛同する私立が参入すれば
そこそこの効果があるかもしれないなぁと思います。
制度設計的には色々課題がありますが、思考実験としては
面白いと思います。
多分考え方としては記事でご指摘されている事と近いと
思います。ちなみに、この案、元文科省と元経産省の
役人には結構受けが良かったのですが、コンサルの人
からは累進制度そのものが経済活力を削ぐとコメントされ
すこぶる評判が悪かったです・・・。

あ、あと、2月中旬頃にMITにvisitする予定でいます。
宜しくお願いします!
返信する
「価格差別」って訳すのか・・・ (Lilac)
2009-12-03 08:08:03
>Rionさま

コメント&解説有難うございます。
そうか、Price Discriminationって価格差別って訳すのか、という別の驚き。

>Caericさま

でも一銭も払わずに済んですごいというかよかったですね。
そういえば500万請求された友人も、最初の250万くらいまでに落とすのはあっさり行ったが、そこから100万まで値引きするのが大変苦労した、と言っていた記憶があります。
(もしかしてその40万も交渉すればもっと下げられた?)
つまり、
1)最初は「そんなに払えない」と声を上げるかどうか
2)苦労してでも交渉するかどうか
ちゃんと段階をもうけてPrice Discriminateしてるのがすごいですよね。
返信する
あっさり値引き@病院 (Caeric)
2009-12-03 07:12:26
アメリカで子供が48hrs入院。単に点滴を受けただけでその請求額は80万円でした。旅行中で保険が無い事を伝えると、あっさりと半額で良いとの事。。。値段にも驚きましたが、簡単にdiscountするのも驚き。しかもその値段を言ったのは、医師でした。。。

結局、クレジットカードの付帯の保険で払ったんですけど。こっちはこっちで、全面全額サポート。別の驚きがありました。。。
返信する
競争と価格差別 (Rion)
2009-12-03 05:15:41
>トップ校以外では、選択肢が色々ありますので、Competitive market(競争市場)になります。「そんなに取るなら安い方を選ぶ」となって、Discriminateできない、というわけですね。

競争が存在する場合にはfinancial aidのようあthird-degree price discriminationはしないと一方的にコミットするほうが大学にとっては有利ですね。お店が値引きに応じなかったり、セールを行わなかったりするのがこれに当たります。
返信する
コメントありがとうございます (Lilac)
2009-12-03 04:09:33
>mamorukさま

お久しぶりです。入れ違いにコメントしてしまいました。
正確なデータを有難うございます。

>移行している最中

ええ。
確かに国立大学の授業料はインフレ指数以上に増えてきてますが、移行期間長すぎですよね・・・。
それに「単に教育・研究にお金がかかるようになってきたから」増やしてるだけで、経済学的に考えて動いてるように思えないのが気になります。

>東大京大みたいなところが独自財源で免除枠をもっと増やすべきなんでしょうね

その時、免除枠を増やすだけだと税金投入につながるので、まずは取れるところから取ることを考えないと・・・

>clonidineさま

ご明察です(笑)。

>現実逃・・・ではなく気分転換もほどほどに・・・

ハイ!

>Unknownさま

ええ、Price discriminationは独占市場での価格戦略ですからね。
トップ校以外では、選択肢が色々ありますので、Competitive market(競争市場)になります。「そんなに取るなら安い方を選ぶ」となって、Discriminateできない、というわけですね。
返信する
Unknown (Unknown)
2009-12-02 21:47:49
こんな記事もあります。
http://wileyeconomicsfocus.wordpress.com/2009/11/27/price-of-students-dreams/

トップ大学以外は価格差別戦略が成功しないようです。
返信する
試験前になると (clonidine)
2009-12-02 21:35:35
「試験前になると部屋の掃除を始めたり凝った料理を作りだす」みたいに、試験やらレポートの前になると、やたらブログを更新したくなるものです。

だから昨日の記事を読んで、「きっと今日も更新してる」と思ってました。

現実逃・・・ではなく気分転換もほどほどに・・・

Nさんへ

”取れるところ”=”留学生”
英語教育は国家的成長産業

というのは英連邦に共通する気がします。(本家がイギリスというべきか)。
返信する
Unknown (Lilac)
2009-12-02 20:26:48
>Willyさま

うーん、それは違う種類の「取れるところから取る」なんでしょうけど(笑)
老人に取り返す能力が無いことを見越してやってるところがひどい、というか。
学費も病院も、一律にチャージしてるから許されるのであって、「この人は文句言わないだろう」って人から取ってたら詐欺ですよ~

>Nさま

留学生からここまでハッキリと取るのはすさまじいですね。
そのオーストラリアの仕組みはすごいです。
「学生皆育英会」みたいな感じですね。
返信する
Unknown (mamoruk)
2009-12-02 20:21:32
日本の学費免除は学生の1割くらいですね。
http://d.hatena.ne.jp/akamac/20081226/1230300500
これを多いと見るか少ないと見るか……

上のページにも書いていますが、そもそも日本の国立大学って30年前は授業料数万円でしたよね。取れるところから取って授業料免除で還元、といいう状態に移行している最中なんではないかと思います。授業料免除が増える前に授業料だけ上がってしまったのではないかと……。免除の最低枠は文科が決める話なので、東大京大みたいなところが独自財源で免除枠をもっと増やすべきなんでしょうね。
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オーストラリアの場合 (N)
2009-12-02 19:17:04
Nです。
私はオーストラリアのUniversity of Sydneyで大学院生をしていますが、オーストラリアでは、
  ”取れるところ”=”留学生”
という考え方がはっきりしていて、もう国として留学生から金を取っちゃおうという考えかたをしています。とある先生に聞いたんですが、農業、鉱物資源、観光とならぶ産業の柱として留学生向けの教育産業を掲げているそうです。(まあこの場合は語学学校という意味合いもかなり強くなりますが)

年間の学費は、University of Sydneyの場合(大学院のマスターコース、1AUD=80円換算)
 domestic student : $17000ぐらい=136万円ぐらい
 international student : $27000ぐらい=216万円ぐらい
です。
(MBAは今サイトを見たところ1年半の合計で84000AUDみたいです。たけー!
http://www.firstemba.usyd.edu.au/ )

しかもdomestic studentは、入学金の何万円かを払うとそれ以外の学費を国が一度肩代わりをして、学生は卒業後に税金や年金のような感じで少しずつ国にローンを返すような仕組みになっているそうです。利子の扱いがどうなのかはちょっとわかりませんが。で、年収が一定額を満たさない場合はこの学費の返済は猶予してもらえる、なんて気が効いたシステムまであるようで。このシステムのおかげでオーストラリアの国民は、ある程度、親の経済状況に左右されず希望者は進学の機会が与えられる、という環境です。

これで優秀な学生が集まるかどうかはわかりませんが(これだと結局は大学の質が問われるのでしょうが)、少なくとも日本でこの間の選挙でよく聞いた「高校の授業料無料化」よりはこのオーストラリアのシステムのほうが良いような気が個人的にはしています。

で、ぼったくられている側の留学生としては、あぁ、あの新しいビルも僕らのtuition feeで建てたのね、なんて思ってしまいます。留学生のmajorityは、親がチョー金持ちの中国人(”チョー金持ち”ってのは僕の先入観ですが当たってると思います)と、国がじゃんじゃん奨学金を出している中東(特にサウジアラビアが多いらしい)になります。彼らは痛くもかゆくもないんだろうなぁ。もっとも最近のUAEなどは違うのかもしれませんが。特に中国人の数は本当に多くて、うちの大学のEconomy, Accounting, Finance, international business系の大学院生はその7~8割が中国人という状況です。当の彼ら自身が、オーストラリアに来てクラスメイトの8割が中国人ってどういうこっちゃ?!と言っています。。。

と、自分のブログでいつか書こうと思っていたことを思わず書いてしまいました。ははは。

では、試験とレポートがんばってください。
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あるところから (Willy)
2009-12-02 15:13:31
取れるところから取るといえば、証券会社が少し頭の弱った金持ち老人を嵌めてお金を毟り取ったりしてますね。あれも、老人がお金を貯めて不景気になるよりは証券会社の社員の給料になる方が経済全体から見るとプラスだと思います。もちろん、非合法なのはいけませんけども(笑)。
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