チームを率いるリーダーにとって、チームメンバーを活用して、仕事そのものを成功に導くことは最も大切なことだ。
加えて、チームの人の力を最大限に活かして、長期的視点で育てていくことも大切だと思う。
特に性格的にENFJ(=teacher,memtor)の私は、どうしても後者の方に関心が行ってしまうらしい。
チームを任されるようになって半年程度の私自身が出来てるとは限らないけれど、
後者のポイントでこれが出来ると人の力を活かせるなあと常々思っているポイントを5つ、自戒をこめて書いてみるです。
(個人的には4と5が大切だと思うです)
1.動きやすいように、見通し・段取りをつけてあげること
これは単にプロジェクトを成功させるためだけでなく、人を活かすという観点でも重要だと思う。
ある仕事を達成するために、どの時点でどのようなことが出来ていなければならないのかを明確にし、合意する。
そうすれば、チームメンバーは取り合えずその目標に向かって自分の力で動いていける。
逆にこれがなければ、その人は何に向かって自分の力を発揮すればよいか分からないし、
どのタイミングで一番力を入れるべきかが分からず、力を発揮するタイミングを失ってしまうだろう。
見通しや段取りを、どこまで細かくするかは、その人の能力や性格に応じて変える。
細かく計画を立ててないと動けない、というタイプの人には細かく正確に。
逆に、細かく指示されるとやる気を失ってしまう、というタイプの人には重要なポイントだけ設定して、あとはゆるく。
いずれにせよ、その人が動きやすいように、見通しをつけたり、段取りを手伝うことで、
最大限その人の力を活かせる素地を作ってあげることが大切だと思う。
2.受け入れること-その人の性格や能力に合わせてテーマや進め方を変えること
マネージャーが自分のやりやすい進め方しか知らず、それをチームメンバーに押し付けたりすると、場合によっては、その人の能力をつぶしてしまうことになるだろう。
以前、「チームの人を活かすということ-My Life After MIT Sloan」という記事で書いた。
チームの能力や興味が計画や進め方にあわないなら、メンバーを入れ替えるのではなく、
進め方を変えて、チームのやる気を出し、力を最大限活用できるようにする、という話。
記事で書いたとおり、特に新規事業の立ち上げとか、起業のときなどにも大切な考え方だ。
いくつもの起業経験のある有名なシリアルアントレプレナーからも聞いたことがある。
起業するときは、一度一緒にやろう、と誓い合ったチームを変える、というのは難しい。
目的のためにメンバー交代などしたら、チームの良い雰囲気が壊れてしまう。
そういうときは、チーム全員が最大限力を発揮できるように、起業時のやり方や事業計画などを変えてしまう柔軟性が重要になる、そうだ。
起業で最も大切なのは、戦略や技術ではなく「人」だ、とその人はいっていた。
自分と気のあう、一緒にいるとやる気の出る人をまず見つけ、チームを組み、
そのチームの力を発揮させられるようなテーマを見つけるべきだ、というのが彼の考え方だった。
軍隊やスポーツなど、ミッションが「勝つこと」と明確に決まってる場合は、メンバー交代をしてでも、ミッションを果たすことが重要になるだろう。
しかし普通の組織では、プロジェクト遂行のためにメンバー入れ替えすることが必ずしも解ではない。
計画や進め方を変えることで、その人の力を発揮させ、成長させることも出来、
またそうすることでチームの力を5倍にも10倍にもすることが出来るだろう。
それは組織の成長の面でも大切なことだ。
ただ、これはマネージャーとしての経験と引き出しの数の多さが最も問われるところだ。
いろんな進め方、計画の立て方を知っており、人に合わせて柔軟に変えることが必要になる。
3.話を良く聞いて、一緒に感じて、その視点から解決すること
チームメンバーが、自分の任された仕事に問題を感じているときにどうするか。
特に、リーダーの視点から見ると、局所的なことや、大したことが無いと思える問題でチームが悩んでいることがある。
そういうとき、大局的な視点を与えて、その人の視野を引き上げたり、解決策を示すのもひとつの方法だ。
ただそれでは、その人の成長のためにならないことがある。
自分から視野を上げたり、自分で解決出来るよう導いてあげるのが、本当にその人を育てることになるだろう。
そのためには話を良く聞いて、共感して、その人と同じ視点でものが見られるようになるまで十分に聞くこと。
その上で、その人にとってその大局的な視点とか解決策がどのように見えるのかを考えてから、話すこと。
4.信頼して任せること
その人の力を信じて、任せることによって人は大きく成長する。
任されてみて、初めて真剣に全体を成功させようと考えるし、責任感を育てることが出来る。
ということで、私は少しでも「あ、出来そうだな」と思ったらどんどん任せることにしている。
本人が苦しそうなときだけサポートし、大失敗にはつながらないよう軌道修正する。
もちろん、任せておいてその人が少しの失敗をすることがある。
失敗したときこそ、思い切って任せること。
そうすればその人は、自分が信頼されているんだと感じて、よりいっそう頑張るようになる。
だいたい、リーダーの自分だって失敗なんてたくさんしてきたはずだし、今でも失敗しているはずだ。
そして失敗することで成長してきたはずなのだから。
5.チームの人に感謝すること
プロジェクトが佳境で、風邪で倒れるメンバーも出て、チームメンバーの仕事もすべて自分で引き取って、一日3時間程度しか睡眠が取れない日々が続いていた時のこと。
ついつい実家で愚痴を言ってしまったことがあった。
そのとき、母がこう言った。
「何言ってるの?
チームはあなたの下について、あなたを信じて頑張って仕事をしてくれてるのよ。
そんな状況になっているのはあなたが能力が無いのであって、彼らじゃないでしょう。
むしろそういうあなたの下で働いてくれることを感謝すべきじゃないの?
マネージャーのあなたが、そんなことを言ってたら、本当にリーダー失格ね。」
もちろん、そんな状況になるのは一般的にマネージャーの能力のせいだけではないと思うが、
(そのせいもあるが・・・)少なくともチームのせいではない。
そんな中で、チームは自分の期待に沿っていなくても、それぞれ精一杯働いてくれている。
第一、期待に沿わないなんて、それは自分の勝手な期待に過ぎないだろう。
彼らがいなければ私はこのプロジェクトを推進することなんて出来ないのだった。
そう思うと、心から感謝の気持ちが沸いてきて、彼らが一生懸命に働いてくれてることを本当に有難いと思った。
少しでも不満な気持ちになっていたことを本当に申し訳なく思った。
山本五十六も言っていた。
有名な「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」の続きで、
「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」という句がある。
仕事を任されて、感謝されることで、初めてチームは一心同体になるし、やらなければという本当の責任感が生じる。
私もそうやって感謝されて、やる気が出て、これまでやってこれたのだから。
以上、チームの人の力を活かして、育てるという観点で最も重要だと思う5つのポイントを上げてみました。
他にも何かあれば、教えてください。
(Special Thanks to Prof.JMU, KS, KN, KU, MK, MN, OM, YM, YF, and My Mom)
しかし、これすごく消耗すると思う。
特に4.。任せるより自分でやったほうが普通はるかに楽だと思う。
だからこそ余裕があるときに4.を実行してチームの能力を向上させる必要がある。
チームリーダーは常に時間を計ってチームの能力向上と、今ある仕事の処理とのバランスをとる必要があると。
ある特定のソフトウェアの、特定の開発工程だけを日本から請け負うビジネスのため、
メンバーの要求されるスキルが高い割りに、その仕事自体の面白みに欠けるといった欠点があります。
職場・会社自体に強いこだわりを持たないという国民性も相まって(そんなこだわりがあるのは日本だけでしょうが)、
離職率が高く、組織としての生産性と品質を保持するのが難しいというのが課題の一つとしてあります。
今回のエントリーを読ませていただいて、彼らを繋ぎ止めるために今私たちの組織がやるべきことを深く考えさせられました。
a) は拝読した今だけでなく、日々のルーチンに自分が入ったときに思い出せることが大事ですね。なかなか忘れてしまい、かといって机上に貼り出すわけにもいかず(^o^;
5. に関しては、僕らの場合、近所のメンバーにお菓子を配るというのが、感謝を示す小さいバロメーターになっています。(余裕がないと配り忘れる)
人によって進め方を変えるのは理解出来ますが、起業や例で出されていた授業でのチームなどの、よっぽど特殊なケース以外、テーマとか目的とかゴールとかは変えれないのではないのでしょうか?
アウトプットが自由な場合(これって異常に特殊だと思いますが)に限って言える事で、チームを形成する時点で何らかの最終形が既にイメージされていると思います。
もしチームメンバーの選択に自由があれば、メンバー選択を(テーマ(ゴール?)を意識し、最終形をイメージした上で)慎重に行うとした方がベターではないでしょうか?
進め方は人に合わせて柔軟には、全く同意です。
以前のエントリーの時も気になっていたのですが、一般論になると、もっと気になります。
アウトプット/ゴール/目的の達成のために、手段(テーマ/進め方/事業計画)を変更するのは十分考えられるでしょう。
「テーマ」という表現だけではどの次元の話をしているか分かりづらいかもしれませんが、「進め方」や「ミッション」との関係を考えれば素直に読み取れるかと思います。
ただ、実際にそれを実践するには、自分にかなりの裁量が無ければいけないので、タイトルの通り(「マネジャー」ではなく)「リーダー」という立場でなければ妥当しないとは思いますが。
徐庶のお母さん思い出しました。
あ、三国志ですw
何となく思ったことをコメントしておかないと気持ち悪くなったもので。
ysjournalさんの言われることと少し関連しますけど、上記5つの他にもう1つあるんじゃないかと思います。
それは、4と5の内容を補完するものが抜けていると思うんですよ。
1の内容は2と3で補完されていると思います。
リーダーが示すプラン(1)を、メンバーの能力等の要素を踏まえて(2&3)進めていくというものですよね。
同時に、上記は実務的、かつ、技能的な視点になると思います。
ただし、心構え的、資質的な視点である(4&5)が補完する内容、つまり、上記の(1)にあたる部分がないように思います。
個人的にysjournalさんが言われている「テーマとか目的とかゴールとかは変えれない」というのは、状況等の他に、成功に導くためにはリーダー自身が絶対に変えられない軸になる部分を持っている必要あると思うんですよね。
信頼や感謝はリーダー⇔メンバーである必要がありますので、メンバーにとって信頼や感謝を持てる要素をリーダーが持つ必要があるというイメージですね。
そのためには、「ブレない軸を持つ」という要素をもう1つ加える必要がある気がします。
初めてコメントさせていただきます。
私もちょっとした組織のリーダーをしているのですが、1~5番まで全てとても重要な要素だと思います。その中でも私は(1)番を重視して業務をしています。
グループメンバーが一つ一つの仕事を回り道することなくこなすことで、メンバー個人はストレス無く仕事に専念でき、結果的に組織としての成果をあげることができると考えています。
ヒヨッコな私のちょっとした意見でした。
山本五十六さんは、私の尊敬する理想のリーダの一人です。「やってみせ、言って聞かせてさせてみて、ほめてやらねば人は動かじ」というのはよく知っていたのですが、この続き「やっている姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」は知りませんでした。
ありがとうございます。
人の繋がりは、信頼と感謝は大切ですよね。