My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

「一日三本論文読むのは研究者のディシプリン」

2009-10-16 07:27:50 | MBA: 研究&TA

昨日は弱音を吐いてましたが、あの後結構元気になってきました。
「書く」ことで自分を客観視できるものですね。。
それから、色々コメントいただけて、とても嬉しかったです。

さて、一日4本授業が入っている怒涛の火曜・水曜が終わり、昨晩からまた論文読みの生活に。

Utterback先生は、私にはとにかく「本を読めー」「論文を読めー」と言う。
先生の口癖は「1日に3~4本の論文を読むのは、ディシプリンだ」。
(余談だけど、ハーバードのクレイ・クリステンセンも授業で全く同じことを言っていた。)
ディシプリンって、「自分で自己管理してやるべきこと」みたいな感じの意味の英語

理系の研究だと、ここまで先行研究を勉強するのに時間はかけないと思う。
実験でも理論でも、体系化された方法論があり、それを習得すれば研究は出来るようになるから。

だが、イノベーションの研究者は、自分が実際に何かイノベーションを生み出すわけではない。
それに方法論も、数学や物理のように体系化された、確立した何かがあるわけではない。

ちゃんと先行研究を勉強しないと、みんな自分のフレームワークを色々作って、勝手なことを言うだけになって、何にも体系化されない。
あーだこーだと言われていることをちゃんと「まとめて」、更に「上を行く」議論をしなければ、ただ新しいことを言っても価値が無いわけである。

したがって、研究者が論文を読むのは大事である、と。
毎日、論文を読んで考えろ、という。

もうひとつは、私がコンサルタントだから。
実は先生はメーカー出身者とかには、そこまで「論文読めー」とは言わない。
彼らは、自分のメーカーの研究開発部門などにどんどんインタビューをかけたり、観察を進められる。
それは、その企業の人たちにしか出来ないことだから、そっちに時間をかけるほうが価値がある、と考えている。

しかし、コンサルタントというのは、社内とかに観察対象があるわけではない
研究者と同じで、どうせ他人様の事例を使って研究するのである。
だから、全体像を把握し、深い知識を詳しく持っていなければ、相手に与えられるインサイトも無い。
そうしたら意味のある情報なんて何も引き出せない。
価値のある研究なんて出来ないでしょ、ってこと。

一方、私は、いろんな論文を読むのを楽しんでる。
特にTAの仕事が始まってから、自分の興味がある以外の論文も次々に読むようになって、「あの研究はこの研究から発してるんだな」とか、つながりがすごくわかるようになってきた。
こうやって全体像を把握し、縦横無尽に知識があるのって、コンサルタントとしてこの分野で価値のある仕事をするためにも大切だな、と心底思う。

読みながら、「あのプロジェクトのあの時、この本/論文を知ってたら、もっとインサイトが出ていたかもしれない」とか「もっとうまく説明できたかもしれない」と思うことも、正直たびたびあった。
(逆に授業を聞きながら、「あ、この先生、あの論文読んでないな」と思うことも増えた)

先生が、何故あそこまで「論文読めー」と口を酸っぱくして言うのか、今はよーくわかる。
コンサルタントを続けてたら、ここまで死ぬほど読み続けることは出来なかっただろう。
それで満足して、井の中の蛙になってたかもしれない。
やっぱりMBAに来てよかったなー、と思った。

クリックして応援してください



最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。