My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

タダよりこわいものは無い?

2009-07-30 22:47:54 | 7. その他ビジネス・社会

おとといは、午前中アメリカ大使館にJ-1 VISAの再申請に行って来た。
これが前と違って思ったより早く、ものの1時間で終了。

大使館から、虎ノ門駅まで歩いている途中、こんな看板を発見。

フリーカフェ。
ドリンク各種 0円
おかき・せんべい 0円

ドリンクもお菓子も全部タダ?
なんだそりゃ?

ふと見ると「播磨屋本店 東京店」の看板が出ている。

なるほど。
播磨屋というせんべい屋さんがやってるカフェなのか。

しかし、何故「タダ」なのか、というのが不思議だ。
奇心に負けて、入ってみることにした。

入ると、15人くらいの人が並んでいる列がある。
「タダ」のコーヒーや紅茶、そしてこのお店の売り物のおかきをゲットするための列。
紙コップ(一人ひとつまで)を取って、コーヒーか、紅茶か、オレンジジュースか、好きな飲み物を注ぐ。
で、プラスティックの小さなお皿に、10種類の中から好きなだけおかきを取って良い、という仕組み。
一応、「お持ち帰りはご遠慮ください」と書いてあって、大量に取るのを阻止している。

席を見ると、午前10時なんて時間なのに、かなり込んでる。

サラリーマンが半分以上。
近くの会社の人たちで、喫茶店代わりに使っているのだろう。
中には商談してるっぽい感じの人までいる。

のこりは、主婦っぽい人たちや子供連れ、おじいさん・おばあさんのグループなど。

食べ終わって、片付けコーナーに行くと、みんな有り得ないほどきちんと分別してくれている。
日本人はタダでさえ分別好きだが、紙コップやお皿のごみもちゃんと種類ごとに積み重ねて捨てるなど、分別が行き届いている。
やはり、「タダで食べてる」負い目があるから、後片付けもちゃんとやるっていう効果があるんじゃないか。

おかきはとっても美味しかった。
久しぶりに、日本の味を食べたからかもしれないが、程よい甘辛さとか、ふわっとした揚げ具合とか。

で、家族にも食べてもらいたいし、どうせ会社に日本からのお土産買って帰らないとならないし、と思って、買って帰ることにした。

店の奥が、品物売り場になっているのだが、そこにも5人くらいの人が並んで、品定めをしていた。
実は、かなりの割合の人が、私みたいに引っかかって、なんらか買って帰るみたいだ。

ここのおかきは結構安くて、大判のおかき15枚入りでも、700円くらいで買える。
それならお財布も余り痛まないしね。

で、15枚入りで700円のおかきと、バラエティおかきが個袋30袋入っているお徳用パック2200円を購入。

携帯と比べると、このおかきがどんなに大きいか分かるでしょ。

そんなわけで、「タダ」に釣られて入って、まんまと3,000円を使ってしまったわけです。
更に、こんな風にブログにまで書いて、宣伝してしまったり。
すごいぞ!「タダ」の効果!

帰り道、色々考えてみたんだけど、実はこういうやり方って、単なるマーケティングの一環で損が出ても有名になれば、というものではなくて、
本当に利益を上げるのに役立ってるんじゃないか、と思った。
古典的にデパ地下で売るより、売上げがはるかにあがる、素晴らしいやり方なんじゃないか。

デパ地下で、常時5人くらいの人が品定めしているような店って見たこと無い。
平日の午前10時なのに、レジには常に人が並んでいるお菓子やなんて世の中に無いんじゃないか。
たとえ客単価1,500円だったとしても、1時間に60人は下らない勢いだ。
で、朝10時から夜8時までの10時間営業でしょ。
1,500 X 60 X 10 = 900,000 円。
まあ、ほぼ一日100万円ってとこでしょ。

一方、典型的なデパ地下の売上げは、客単価3,000円で、一時間に10人といったところか。
10時から8時まで、ひっきりなしに客が来ていたとしても、一日の売上げ
3,000 X 10 X 10 = 300,000 円。
30万円ってところか。

コストも、この不況の中、虎ノ門のあたりでビルの地下一階を借り切るのと、銀座や新宿のデパ地下で1店舗持つのとではそんなに変わらんのじゃないか。
いや、違ったとしても、一日100万も稼げるなら、取り返せるでしょ。
人件費としては、デパ地下が通常1,2人なのに対し、この店は常時5人以上が働いている。
でもその差なんて、せいぜい1日5万円くらいなものだ。

そうすると、コストはそこまで変わらず、売上げが3倍くらいになる、素晴らしい方法なんじゃないか。

「タダで提供する」というのは、一瞬損をしているように見えて、実はこの店はかなりの売上げを上げているんじゃないか、と思った。

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オバマはGMを潰すか?

2009-05-29 09:07:07 | 7. その他ビジネス・社会

この記事は、一ヶ月前にクライスラー倒産を受けて書き始めた予想記事。
二日後には価値がなくなるので、急ぎ書き終えることにした。
ていうか、もう既に破産は免れなさそうで、それに対して国有化なんて話も出てるので、すでに予想記事としての価値はあまりなさそうだけど。

まず背景から。
3月末に政府に資金支援の継続を申し入れていたGMとクライスラーの2社は、
「君たち、まずは自分で何とか再建してみなさい。出来なければお金はあげませんよ」
と言われ、クライスラーは1ヶ月、GMは2ヶ月の猶予をもらって見直しをはじめた。
具体的には経費の削減、借金の圧縮、提携先(つまり他に金を出してくれるところ)の確保。
借金は現状の70~90%を削減しろ、という厳しい~条件。

彼らの経費・債務の大きな源は、労働組合から要求されている医療費や年金、賃金などだ。
これが尋常でないほど高い。
以前分析したが、販売台数で割ると、車一台に数百ドル(数万円)のコストが上乗せされてる形になる。
GMやクライスラーの労働者は、安定した給料と豊かな老後が保証されているわけだ。
それなのに、トヨタ・ホンダなどの他社にシェアを奪われて、売り上げが落ち込んでるから、経費を支払うことも出来ず、借金がかさんでいる。

だからGMやクライスラーを援助するってことは、
退職した労働者の過剰な医療費と、不況でも解雇されない労働者の給料を支払い、
競合他社に比べて経営努力もしてこなかった経営陣を救うために、
職もなくあえいでいる国民の血税を使うことになる。

共和党政権の下では、政府は何にも言わず援助していたわけだが、「そうはさせじ」とオバマ政権。
「新たな責任の時代」を標榜する大統領は、例えアメリカ経済を支える大企業だとしても、
今まで問題を見過ごしてきた経営陣と、それだけ高い給料をもらいながら、競合に勝てる商品を生み出せなかった労働者たちには、「ちゃんと責任を取ってもらおうじゃないか」、というわけだ。

クライスラーは、米財務省の協力を仰ぎながら、債権者に「借金を負けてください」とお願いした。
が、結局主要銀行の協力を得られず、4月末にChapter 11(民事再生法)を申請。
提携先候補のフィアットも、「そんな債務をたくさん背負った会社を引き受けるのはヤダ」と断った。
結局、政府の支援を後ろ盾に、銀行や機関投資家に借金を三分の一に減らせと要求する経営陣は、体質が何も変わっていない、といえる。

クライスラーが終わると、次はGMの番だ。
ようやく「オバマ政権は本気だ」ということが分かったのか、GMの経営陣も積極的に動き出した。
トヨタより売れてないのに、4倍も数があるディーラー網を削減へ。
債権者に借金を減らせないか同意を取り付けたり、借金を証券化した商品の売り出したり。
でも今日の時点でも、政府が要求した厳しい水準を全くクリアできていない。
期限はあと二日。

本当にオバマ政権はGMを潰すつもりか?
GMって、規模ではトヨタより大きな会社だ。
それに、トヨタと同様、各国に事業を展開し、子会社の車会社をたくさん持ってもいる。

だからGMのつぶれた影響は、トヨタがつぶれることを想像してみればよい。
下請けや部品会社、ディーラー、関連金融機関、など、世界中にあるGM関係者が受ける影響は計り知れない。
GMの五分の一の規模で、売上の9割が米国内であるクライスラーを潰すのとはわけが違うのだ。

それでも、私は「オバマ政権は、GMが現状の維持しかできないなら、一回潰すつもりだ」と思う。
それは今のままのGMを残すことは、オバマ政権の基本方針に反するからだ

政権の強い意思を示すって意味では、象徴的なイベントだと思う。

私の見る限り、オバマ政権の方向性のひとつは、
現状の税収を増やすのではなく、不均衡・非効率をなくすことで、政府の資本投入に対する経済のレスポンスを最大化する仕組みを作ること、をまじめにやろうとしてるんだと思う。
彼の就任演説にあった、「The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works (我々が今問うべき問題は大きな政府であるべきか小さな政府であるべきか、ということではない。機能しているかどうかということだ)」というのは、正にそれを指していると思う。

政府の資本投入が少なくても、経済が活性化する、効率的な仕組みを作るためには、国民一人一人が、資本投入を効率的に使い、イノベーションを生み出す「責任を果たす」必要がある。
資本投入を現状維持の資金繰りに使い、医療費も削減できず、イノベーションも生まない現状のGMは、「責任を果たしている」とはいえない。
そして「責任を果たしていない」企業と人に、資金投入するのはそれこそ、資本効率が悪い。

オバマ政権が掲げる医療費削減も、減らすことが目的というより、効率化が目的だ。
国民の不摂生で成人病が増えたり、たいした病気でもないのに医療費がかかったりするのを避け、本当に医療費が必要な人に分配されるようにする、というのが政策の意図ではないか。
一方、GMの退職労働者に支払われる医療費は、他社の水準に比べて圧倒的に高い。
この状態を容認しているGMが、アメリカ最大の企業のひとつとして医療費削減の責任を果たしているとはいえない。

オバマ政権が目指している目標の一つに、イノベーションの活性化、がある。
マクロ経済を勉強した私も漸く口について出るようになったが、生産効率を上げ、資本投入に対するアウトプットを格段に向上させられるのは、何らかのイノベーションしかない。
(インドの緑の革命しかり、90年代の米国のIT革命然り)
特に現政権が特に目指しているのは、新エネルギー分野でのイノベーション。
しかし、まさに「イノベーションのジレンマ」で、環境負荷が少ない車は現状のGMの商品の強みを揺るがしかねないわけで、お金があったとしても、積極的にGMが資本投資をする理由はない。

一言で言うなら、せっかく政府が投入した資金を、イノベーションに投資するわけでもなく、
医療費や年金などの経費も削減できず、商品も売れずに、借金繰りに使わざるを得ないのが今のGMだ。

そんな会社に単に支援を継続することは、現オバマ政権の目的には全くかなっていない。
従って、国有化云々の話も出ているが、絶対に現状のGMを引き受けて、だらだらと支援を続けることだけはなく、必ず一度破産させるだろう。

とはいえ、ただ現状のGMを潰すのでは、ディーラー、部品会社もろもろ、失業者の急増と不況の深刻化を招きかねない。
つぶれても、出来るだけ早く再建し、被害が最小限に食い止める必要がある。
クライスラーを先に潰したのは、GMがつぶれることへの株主と債権者の心の準備であり、民事再生法を適用して再建することへのテストだった、と思う。

だけど、被害を最小限にするためのセイフティネットはあんまり進んでいない。
本来は、企業再建でリストラされる失業者をサポートするために、この時点ではもっと進んでいる予定だったのだろう。
なのに、Stimulus Packageの予算も、ちゃんと効果的に使われていないことが、つい最近分かったりして・・・。

仕方がないので、セイフティネットによって被害を食い止めるのは諦めて、「国有化」で再建のタイミングを早め、被害を最小限にしようとしているのかもしれない。
だけど、GMの再建を政府に出来るのか。
労働組合への過剰な支払いを止め、工場や労働者をリストラし、変わってきた消費者の嗜好を捕らえて商品を開発し、環境対応した車を生むようなイノベーションを進ませる・・・。
誰か優秀な経営者でも連れてこない限り、政府には無理だろう。。
「再建できないかも」という債権者と新株主の不安を取り除くくらいの効果しかないと思う。
しかし、ないよりましかもしれない。

いずれにせよ、オバマ政権は現状のGMに対しては、まず潰す→出来る限り被害を食い止める、という方法でアプローチするんだと思う。
6月1日に果たしてどうなってるか、大どんでん返しがあるのか。
「底を打って上向きかけてきた」とされる景気の動向を左右するだけの話。
見ているほうも気が気じゃない。

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わかる!金融危機

2009-03-03 11:42:40 | 7. その他ビジネス・社会

友人から面白いビデオが回ってきたので紹介します。
米国で昨年起こった金融危機を非常に分かりやすく説明しているもの。

サブプライムローンって何なのか、レバレッジって何なのか、CDS(Credit Default Swap)ってどういう金融商品なのか。
などなどが感覚的に分かる感じ。

面白いっ!


The Crisis of Credit Visualized from Jonathan Jarvis on Vimeo.

それと、Mortgage Brokerとか、ちゃんと省略しないで書いてるのがえらい。
日本にはこういう人はいなくて、銀行が直接住宅ローンを売ってるから、バリューチェーンが分断されて、誰も全体を見てる人がいなくなった感覚が分からないからね。

プレゼンの仕方、説明のしかたも上手いので、参考になる。
こういう言い方すると、分かりやすいんだ、ひとつ話が終わったら一言でまとめたり、Signposting wordをはさむと分かりやすいのね、とか、分かる。

個人的には、「Iess responsible borrower」の絵が、親がタバコを吸ってて、子供が大泣きしてる絵なのが、へええ、と思った。
喫煙はともかく、子供が泣いて他人に迷惑かけているのを放っておく親がIrresponsibleだという感覚は、こっちの人も一緒なのね。

もちろん、英語だけど、英語のスピードもそんなに速くない。
発音が、TOEFLのリスニングを思い起こさせる。リスニング教材としても良いかも。

まあ、金融を分かってる向きからは、多少正確さに欠けるとか指摘はあると思うが、それでもこれだけ平易に伝えられるってすごい。

是非是非見てください!

←こっちも見てください


やっぱり日本人が一番買うのかな?

2009-02-23 15:21:21 | 7. その他ビジネス・社会

サンフランシスコからボストンへの、帰りの飛行機もヴァージン。
SFO(サンフランシスコ空港)の場合、Virgin AmericaとJet Blueの新興2社は、国際線ターミナルに乗り場がある。
BOS(ローガン)でTerminal Bに新しいゲートが作られていたように、従来の国内線ターミナルには新興の入る余地が無いからである。

お客としては、国際線ターミナルに行っても、国内線だから免税店で買い物は出来ないんだけど。
まあでも、時間が有るのでウィンドウ・ショッピングを楽しむことにした。

入ってみて、日本語の宣伝の嵐にびっくり。
香水や化粧品、バッグなどの棚のところに
「円高だから今がチャンス! 12年ぶりの円高ドル安水準の今、ブランドショッピングが大変お得です」
と書いたプレートが大量に出ている。

何か日本語もこなれてるし、何よりフォントが普通だ。

さらに横に英語で「The Yen Advantage」とか書いてある。
何でわざわざ英語で?
日本語が読めない人に、何書いてあるか分かるようにするためなのかな?
それとも、英語でも円高を強調することで、日本人の購買意欲が高まるの

やっぱりこういう免税店で買い物するのって未だに日本人ばっかりなのだろうか?
そして、英語が読めないで海外旅行するのも日本人が多いということか。

ウォン高だったかつても、中国人観光客が増えてきた今も、免税店に中国語や韓国語が書いてあるのは見たことが無い。
一方、日本語は世界中どの空港の免税店に行ってもあふれている。

中国人がいくらお金を落とすようになった、といっても、結局お金を一番落としてくれるのは日本人なんだろうなー、と思った。

←ぽちっと。票を落としてください。


はじめてのヴァージン

2009-02-22 13:16:10 | 7. その他ビジネス・社会

挑発的なタイトルですみません。
Virgin America に初めて乗った、という話です。

ヴァージン・アメリカ航空は、ご存知ヴァージン・グループが運営している航空会社で、アメリカ国内便だけをやってる会社。
すでに「ヴァージン・アトランティック」という会社がありながら、なぜ別の会社を作ったのか。
恐らくアメリカ航空局の許可を得るため、外資資本のヴァージンアトランティックではだめだったのだろう。
でも結果として、「アメリカ」という名前に弱いアメリカ人にも親しみやすい航空会社になった。

ともかく、2007年8月に就航したばかり、ということもあり、いろいろなものが新しい。

ボストン-ローガン空港では、Terminal Bの片隅にヴァージン・アメリカだけのゲートが作られている。
たぶん今までのゲートでは足りなくなって継ぎ足されたんだろう。
だからまだ新しい。
手荷物検査もヴァージンに乗る人しか通らないので、とても空いている。

そして、これが私が乗った飛行機。
エアバスA320ですね。
(航空機は見ただけで種類が分かってしまうオタクな私です。え、誰でもわかるって?)

まだあたらしい。
以前読んだ専門誌では、機体は中型機15機だけでやってるって話だったんだけど、その後増やしてるんだろうか。

今回乗ったのは、今年2月12日に就航したばかりのボストン-サン・フランシスコ線。
ボストンと西海岸(サンフラン、ロサンゼルス)は利用者が結構多いにもかかわらず、直行便が少ない。
そこを狙って就航したもの。

離陸に向けて機体が動き始めると、突然機内の照明が紫に!
時間帯によって色が変わるってことなんだけど、ちょっとびっくり。
でも、なんか綺麗。

離陸前に、いつもどおり酸素マスクや非常着陸時胴衣の説明があるが、これがまた面白かった。
ヴァージンのは全部漫画なのだけど、ユーモアたっぷり。
面白いところでは、周囲の人たちから笑い声が起こったりする。
みんなに真面目に見てもらうことに成功してるんだな、という印象だった。

一番感心したのは、酸素マスクの説明のところで、
"Most unlikely, but if the air pressure in the plane goes down..."
(ほとんどありえないことなんですが、機内の空気圧が下がった場合、酸素マスクが出てきます)

さらに、その後の胴衣(あの黄色くて、空気が足りないとき横のチューブからいれるやつ)のところで、
"Also most unlikely possibility.."
(これも殆どの確率で起こりえないことなんですが…)

と付け加えてから、使い方の説明に入ること。
なんというか、乗客の気持ちをつかみつつ、うまく注意を向けさせているなあと。

でも一番驚いたのは、機内のエンターテイメントシステム。
まず、地図がGoogleマップ!
あの見づらい、そして凡人にはなぜその名前がピックアップされてるのかわからない地名がたくさん入った、あの地図ではない。

ほら、日本国内だと、大阪、名古屋という大都市ではなく、新潟、富士山、などなぜその地名が日本の代表みたいに選ばれているのか良くわからない機内の地図、あるじゃないですか。
あれはアメリカの他の航空会社でも同じで、更にアメリカだから外人には無名の、本当に知らない地名が出てくるわけですよ。
それが、見慣れたGoogleマップに置き換わってるっていうのは結構感動。

そして、CNNやDiscovery Channelがただで見られる!

何より感動したのは、食べ物・飲み物のオーダーが全て自動化されていること。

例えば、飲み物はこんな感じで写真入りのメニューから選んで、指でタッチして選ぶ。
ちゃんと水とかりんごジュースなどの、ただのものもここから注文できるしくみ。

そして注文中も、見てる途中のCNNも画面の下にちゃんと小さくなって表示されている。

ブラッディーマリーミックス(タダ)とウォッカ(6ドル)を注文したところ。
このあと、画面の下についているカードリーダにクレジットカードをスライドさせるだけで、注文が完了。

ものの2分もしないうちにほしいものが届く。
すごいスピードだ。

機内にはフライトアテンダントが3人。
ほら、A320って、あの左右に3列ずつあって、縦に20-30席程度が入る、定員120-180名のあの飛行機ですよ。
そこにフライトアテンダント3人って普通じゃないですか。
だけど、他社に比べてサービスが圧倒的に速い。

やっぱり決済やったり、注文したりする時間が削減されただけ、モノを運んでくる時間に使えるわけですね。

この注文システムが面白くて、何度もいろいろ注文してしまった。

サンフランシスコに着くまでの6時間半、楽しく快適に過ごすことが出来た。
ヴァージングループの航空会社って始めて乗ったけど、本当によかった。
いいね、ヴァージン航空。

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「新たな責任の時代」は誰の責任か

2009-01-22 17:42:11 | 7. その他ビジネス・社会

株価、大幅に下がってるじゃん-就任演説の直後に。

昨日は、オバマ氏の演説に対するMITの学生や職員の反応がすごいポジティブだったので、支持率80%の凄さを感じていた。
が、今日の新聞読んだら、経済界の反応は余り良くないのね。
就任演説後としては、歴代最大の下げだという。
やっぱり、演説の内容が抽象的だからかなあ。

ただし、後で書くが「新たな責任の時代」という表現で、責任を負うのが割と富裕な白人ベビーブーマー世代のことを指し、そこからの富の分配を目指しているのだとしたら、結構面白いかも、と思ったのだが・・・。(←深読み君出動中)

>最初の10分:Barack Obama Inaugural Speech(1/2)
>後半10分:Barack Obama Inaugural Speech(2/2)

最初の数分間、歴史を振り返り、私たちの先祖が我々子孫のために、どんなに苦労してこの国を築き上げてきたか、という下りは感動的だ。
だからこそ、我々も自分たちの子孫のために、今こそ立ち上がってもう一度アメリカを作り直す必要がある(上の(1/2)の6'40'')。
表現もすばらしく、何度か聴衆が大きな歓声を上げる箇所がある。
何よりすごいなあ、と思うのは、このスピーチを起草しているのが、若干27歳のスピーチライターだってことだよなあ。

ところが、じゃあどうやって作り直すのか、というところに入ると、いきなり具体性に欠けるのである。

- We will build the roads and bridges, the electric grids and digital lines that feed our commerce and bind us together.(同7'03'')
(道を作り、橋を架け、通信網を作り、デジタル回線を引いて、ビジネスに活気を与え、我々をひとつにつなげるのだ。)

これって何にも言ってないよね?道路や橋って1930年代じゃないんだから・・・
デジタル回線を引いてって・・・ITが得意な大統領とは思えない発言。

- We will restore science to its rightful place, and wield technology's wonders to raise health care's quality and lower its cost. (同7'11'')
(科学を正しいところに使い、すばらしい技術を医療の質の向上と医療費削減に活用する)

アメリカの医療に大きな問題意識があり、質を上げ、コストを下げたい、ということは分かるが、科学と技術への他力本願デスか!?
政策は?

- We will harness the sun and the winds and the soil to fuel our cars and run our factories.(同7'20'')
(太陽と風と土壌を活用して、車や工場のエネルギー源とする)

オバマ氏の演説って、全体を通じて環境問題のところだけやたら具体的なんだよね。
別のところでも、「アメリカが無駄なエネルギーの使い方をしていることはゆるぎないデータが示してる」と言ったり。
いわゆる Green Newdeal で、代替エネルギー開発に投資していく、ってことを指しているのだろうが。

- And we will transform our schools and colleges and universities to meet the demands of a new age. (同7'26'')
(そして、学校や大学を新しい時代の要請に応えられるよう変革していく)

新しい時代の要請って何じゃー!?

大丈夫かなあ、と再び不安になるのであった。
で、そのあと、あれ、これって政策の方向性?と思うような重要なことをいくつか言う。
雇用創出のこと、市場の監視、富裕層優遇の廃止、それからイラクからの撤退と関係改善。

その中で、雇用創出にかんしては、あれ?と思う表現がいくつかあり、気になった。

- The question we ask today is not whether our government is too big or too small, but whether it works - whether it helps families find jobs at a decent wage, care they can afford, a retirement that is dignified.(同8'20'')
(問題は「大きな政府」か「小さな政府」かってことではない。上手く機能している政府か、ということだ。つまり、皆がそれなりの給料で雇われ、払える範囲で医療を受け、尊厳をもって引退できるような。)

オバマ氏が「大きな政府」にはならない、というのは前から言われてることだが、「それなりの給料」「払える範囲の医療」という表現が気になった。

これって暗に、医療費上昇の大きな原因となっている現在のベビーブーマーと、その上の世代に対する批判と警告じゃないのか?
日本の年金問題もそうだけど、上の世代が割と裕福で、そのしわ寄せが下の世代に来ている、というのはアメリカも一緒だ。
ベビーブーマー以上の世代の労働組合がやたら強くて、高い給料と年金を維持できているし、医療費もちゃんと払われている。
アメリカは移民とその出生率の高さが、高齢化を支えているから、日本ほど問題にならないだけだ。
だけどお蔭様で、移民や有色人種の若い世代は、日本以上の貧困問題に苦しんでいる。
もしこれが、そのことに向けられた発言だとしたら、結構すごいこと言ってないか?(深読みしすぎ?)

それから、イラク問題とアフリカ支援について触れた後、国民の協力が大事だ、と述べる下りで

- It is the kindness to take in a stranger when the levees break, the selflessness of workers who would rather cut their hours than see a friend lose their job which sees us through our darkest hours. (上の(2/2)の5'18'')
(必要なのは堤防が壊れた時に見知らぬ人を受け入れるような親切心であり、友人が仕事を失うのを見るくらいなら、自分の労働時間を減らそうと思うような無私の心だ)

ここだけ、やたら具体的なんだよね。
つまり、政府も雇用創出に力を入れるけど、限界あるから、皆も時短運動とかして、雇用率が上がるように努力してね、と暗に言ってないか?

オバマ氏が演説全編にわたって言っている「新たな責任の時代」。
小泉元首相が「痛みを伴う改革」と言ったのを髣髴とさせる。

だけど、小泉改革が、どちらかというと中間層に「痛み」を与え、新たな貧困層を生む政策だったのに対し、オバマ氏がすでに豊かなベビーブーマー以上の世代に「責任」を取ってもらう政策なのだとしたら。
それが成功したら、結構すごいことだよな、と思った。
ただ、どう具体化するか、というのが問題なのであるが。

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オバマ就任の受け止められ方

2009-01-21 17:25:00 | 7. その他ビジネス・社会

今日は、お昼の11時半頃から、Barack Obama大統領の宣誓式と就任演説があった。
何がすごいって、周りのアメリカ人たちの反応がすごかった。

オバマの演説も、ホワイトハウスに集まる人々の歓声も、別に、Youtubeでも、日本のテレビでも見ることができるだろう。
でもアメリカにいると、自分の身近のアメリカ人が、どんな風に興奮し感動するかを目の当たりに出来るのが違うな、と思った。
国民の8割が支持しているってこういうことなんだ。

まず朝8時頃、SloanのStudent Affairs Office(学生課)から、オフィシャルなメールが流れてきた。
「11時半からスローン校舎の一階ロビーで、オバマ大統領就任演説を見ながら軽食ランチやります。」
そんな政治的な話を公式に祝福して、公式メールに流してしまうんだ、とまず驚く。

11時から100Kの関連でミーティングが入ってたので、学校に行く。
ミーティングに遅れてきたBrianが、
「いやー、スローンの校舎すごかった。満員で入れなかったよ。みんな就任演説見ながらカップケーキ食ってたよ。」とご報告。
この報告だと、就任演説のために集まったのか、カップケーキほしさに集まったのかわからないのだが。

でも、私たちのいたミーティングスペースのそばにテレビがあって、そこにも人がたくさん集まっている。
演説は良く聞こえないのだが、たまに拍手と歓声の渦となる。

一緒にミーティングしていた、大学職員のふたりの会話。

A(30代後半女性)「うちの母なんて、こんなのケネディ大統領の就任演説以来だって、本当に楽しみにしてるわ。
バラック・オバマなら、この疲弊しきったアメリカをきっと救って、良くしてくれるに違いないって。わくわく
するわね。(声上ずり気味)」
B(50代女性)「あらそれは期待過剰じゃない。あんまり期待しすぎると、後で裏切られるわよ。」
A「でも、本当に彼が大統領なら、絶対に今度こそ変わるって思うわ。」

信じる力ってすごい。

その後に入っていたミーティングが、「大統領就任式を見たいので、後にしよう」という理由でキャンセルされる。
すごいな。

仕方なく、別の用事のため大学のオフィスに行くが、昼休みでもないのに、人っ子一人いない。
事務の人たちが、みんなテレビのあるところまで、就任演説を見に行ってしまってるのだ。

学校のあちこちに、ポスターが張ってある。
"Inauguration party" (大統領就任を祝うパーティ)と称したパーティがあちこちで開かれる模様。

とにかく、今まで見たことが無い、興奮と感動の嵐。
これだけの興奮と感動を呼び起こすって、オバマ大統領ってやっぱりすごいなあ、と感じる。

いろいろイベントが終わり、ようやく家に帰ってきて、YoutubeでInaugural speechと検索して動画を探す。
一回で全部で分かるほどではないが、2回、3回と見ているうちに、内容も理解できるようになってきた。
しっかり聞くと結構リスニングの勉強になる。

それにしても、私TOEFLのリスニング、よく30点満点取ってたんだけど、オバマの演説の内容を一回で分からないなんて、本当に意味無いなあ...
何回か聞いているうち、感動ポイントが分かってきて、聴衆と一緒に感動できるようになる。

一応Youtubeへのリンク、貼り付けますね。

最初の10分:Barack Obama Inaugural Speech(1/2)
後半10分:Barack Obama Inaugural Speech(2/2)

聞き取れない時は、Speech全文を読んでから聞くと、聞き取れたりします。
http://www.iht.com/articles/2009/01/20/america/20textobama.php

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もつ鍋ビジネス考

2008-12-30 18:24:26 | 7. その他ビジネス・社会

前から非常に疑問だったことが昨日ひとつ解決。

東京には最近、もつ鍋屋さんが増えてきた。
勤務先の六本木にも何軒かあったので、良く通っていた。

とにかく安い。一人当たり、1,300円とかいう低予算からもつ鍋が食べられる。
疑問だったのは、こんなに客単価が低いのに、六本木なんかの地価が高いところでどうやって成り立っていられるのだろう、ということ。
もつの原価がいくら安いのか知らないが、どんなにコストが安くても、客単価が低ければ粗利に限界がある。
地代だって払えないだろう。

昨日、久し振りにもつ鍋屋さんに行ってみて、ゆっくり観察してみて理由が分かった。

1, 回転率が高い
実はもつ鍋って、普通の鍋より圧倒的に回転率がいいことがわかった。
見てると、早くて1時間、ゆっくりの客でも2時間程度で、店から出て行く。
そして新しいお客さんが次々に入る。
最初の客が、開店時の5時に入店し、7時前には出る。
そして7時頃から入店する客がその席に座り、9時頃から入店する客が交代する。
夜だけで、ひとつのテーブルが三回転くらいしているように見える。
六本木なんか、私みたいな不健康な外資系社員なんかが11時ごろに入店したりするから、四回転くらいしてるのかも。

これは普通のレストランや居酒屋が、夜は一回転、多くて二回転なのに対して、圧倒的な量だ。
3倍稼げるってことだからね。

何でこんなに速いのだろう。
ひとつに、鍋の盛られ方にコツがあると思った。

普通の鍋料理(すき焼きもしゃぶしゃぶも)は、具材を自分でとって料理するから、時間がかかる。
居酒屋では、料理を幾皿も注文するから、時間も人手もかかる。
ところがもつ鍋は最初から鍋の中に具が入っており、煮立ちはじめたら、一気に食べる。
そして、それだけでおなか一杯になる量だから、それ以上に頼もうと思わない。
料理を頼まないと、手持ち無沙汰になるので、飲み物を頼む。
それでも手持ち無沙汰になるので、店を出る。
所要時間は1.5時間。

普通の居酒屋みたいに「2時間制」とかしなくても、回転率が圧倒的に高いのは、もつ鍋という料理の形態のせいなのでは、と思う。

2, 利益率の高い飲み物で戦う
それから、もつ鍋自体が安いこともあるのか、結構いろんな飲み物を頼んでいる。
もつ鍋に行ってビール一杯で終わらすってことは余り無い。

鍋自体がとても味が濃いので、のどが渇いてしまうこともあり、みんなじゃんじゃん頼むよね。
焼酎もいろんな種類があって、みんなついつい数種類頼んじゃってるしね。
個人的には、あれって本物の佐藤黒や富之宝山なのかな、って疑ってるんだけど。

ともかく、通常飲食店では、食事の原価率が3-5割なのに対し、飲み物の原価率は1-3割と言われている。
同じ客単価でも、飲み物がたくさん出るほうが、店としては儲かるのだ。

さっそく計算してみよう。
お通し300円(原価20円)、もつ鍋1,300円(原価400円)に加え、飲み物は平均ビール2杯として平均客単価1,200円(原価300円)とする。
と、客単価平均2,800円、粗利で2,000円程度は行くに違いない。
一平方メートルに1人の計算で、三回転とすると、一平米あたりの売上は8,400円(粗利6,000円)
一ヶ月なら、一平米25万円(粗利約18万円)。
これなら確かに地価の高い六本木でも十分いける。

しかも、もつ鍋って、もつ買ってきて客席で煮込むだけだから、調理場ほとんど要らないし。
シェフも雇う必要なし。バイトだけでいけるもんね。
コストサイドも切り詰められる。

とても客単価安いように見えて、流行れば結構おいしいビジネスなのかもしれないと思った。

←明日はまたMBA受験情報に戻りますので、応援してください!


郵政事業切り離しの影響

2008-12-29 19:26:12 | 7. その他ビジネス・社会

私は、このブログでは「批判は書かない」と固く誓っていた。
が、とてもショックを受けたことがあったので、起こったことだけ書く。

年賀状を買いに郵便局に行った。(今頃だけど…。まあ一応帰国してるので出そうと思って。)
ついでに、転居時の郵便の扱いが1年後はどうなるかなどについて、聞いてみた。

すると、窓口の男の人は即座に
「それはちょっと別の会社のことですから、分からないんですよ」
と答えて、それで終わり。

説明しよう!
民営化して、郵政公社は、郵便局を運営する「郵便局株式会社」と、切手を発行して郵便物の配達・集配をやる「郵便事業株式会社」に分かれてしまったのだ。
(ほかにもゆうちょ銀行とかかんぽ保険とかあるけど)
だから、郵便局としては、郵便の細かいことは郵政事業株式会社がやっていて分からないから、そっちに直接聞いてくれと。

一瞬、は?別会社って何?と思ったが、上記を思い出し、「じゃあ、どこに聞けばいいんですか?」と聞いた。
そうすると、窓口の男の人は、郵便事業会社のフリーダイヤルの紙を渡してくれた。
ここに直接電話して聞いてくれと。

それにしても、「別会社だから分かりません。自分で調べてください」って郵便局の人が言うのは、すごいなー、と思った。
郵便や郵貯のことは、郵便局の人が何でも知ってると信頼してるから聞いたのに。
郵便局って、そうやって地域に根ざしてるから、数を減らさずに残そうってことになったんじゃなかったっけね。


ビッグイシュー的なビジネス

2008-12-28 17:22:47 | 7. その他ビジネス・社会

今日ずっと頭を占拠している問題がある。
そればっかり考えていて疲れてしまったので、ここに書くことで放出しちゃおうかな、と思う。

日本に帰ってきたら、毎日テレビでは、大量解雇された非正規社員の話ばっかりだ。
解雇された人の生活、ワーキングプアの若者の生活にカメラを向けたりするドキュメンタリーも結構あって、身につまされる思いもする。
うちの家族も社会派なんで、日本に帰ってきてからは、こういう問題をどう解決するか、という話ばかりしている。

日本って、一度解雇されて職を失った人たちが、もう一度再起していくための場所が無い国だ。
病気になって、解雇されて、収入が無くなって、家賃が払えなくなって路上に出たりすると、転がり落ちるだけ。
住所がないと、ちゃんとした職につく事もできない。
一方で職につかないとお金も無いので、敷金・礼金を払うこともできないから、定住することもできない。
どうすりゃいいんだ、って感じだ。
今回の大量解雇で、こうやって職を失い、最終的に路上に出る人たちが今後多発するんだと思う。
アメリカのような「低所得者市場」がある国から、もう一度この国を見ると、本当にひどい国だと思う。

ビッグイシュー、という路上生活者の人が売る雑誌がある。
これは、路上生活者の人が一冊140円でこの雑誌を買い入れて、300円で売って、お金を稼ぐことができる。
これを始めて何とか収入を得て、お金をためて、アパートに住み始める減資を稼いで、路上から脱出する。
定住所があれば、職も得やすいので、悪循環から脱出していくことができる、という仕組みだ。

このビジネスモデルのすごいところは、路上生活者の人にお恵みをするモデルじゃないところだ。
そりゃ住む場所や食べるものに困っていることは確かだが、彼らも人間だ。
金銭的な援助をしても、彼らは人間としての尊厳を失っていくだけだと思う。
ビッグイシューは、売る人の創意工夫や努力によって売り上げが変わっていく。
彼ら自身が工夫をし、努力することが結果につながっていくことは、彼ら自身の自信ににもつながっていくのだ。

100Kでオーガナイザーをやっていると、発展途上国を救うためのビジネス-マイクロ・ファイナンスみたいなビジネスプランがすごく多くて、なんだかなあ、といつも思う。
いや、別に発展途上国を救うことが悪いんじゃなくて、私が想像力に乏しいだけなのだろう。
アメリカは、ワーキングプアや格差社会が身近な問題なわけで、途上国に飛ぶ前に自分の国の問題があるだろ!と思っちゃうんだよね。
日本も、もうワーキングプアや大量解雇に伴う問題が現実になってきたわけで、それを解決するようなビジネスを始めることって何かできないかなあ、と思うのだ。

ビッグイシューもいいんだけど、日本ってフリーペーパー天国なわけで、発祥国イギリスに比べると、ビジネスとしては成り立ちにくい。
この手のビジネスにもっとバリエーションがあったほうが良い、とも思うし。

それで、そんなことばかり考えていたわけです。

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最近の大学って変わったな

2008-12-24 09:17:04 | 7. その他ビジネス・社会

現在日本に一時帰国中。
で、昨日は、以前のエントリで書いた女子高生向けの講演会に行ってきました。
私の講演自体は、割と好評だったみたい。
後からいろんな女子高生やその保護者の方から声をかけられたりした。

最初、1枚目のスライドにネタをたくさん仕込んだのに、受けないのでちょっと焦った。
が、2枚目のスライドで漸く笑いを取ることが出来てから、後はうまくいった。
受験生とその親が中心なので、最初は硬い雰囲気だったのだと思う。
それが一度大笑いして緊張が解けると、聴衆の心のガードが取れて、ぐっと入り込みやすくなる。
そうすると、ちょっとした冗談でも笑ってくれるなど会場の反応が良くなる。
こちらの伝えたいメッセージも、素直に受け止めてもらえるようになる。
こういう聴衆のダイナミクスって面白い。

さて、私の講演はともかく、昨日参加して驚いたのは、日本の(国立)大学の変貌ぶり。
卒業して10年も経ってないのに、カリキュラムにせよ、広報の仕方にせよ、「良く」なっていて驚いた。
これだけ見ると、独立行政法人化して良かったんじゃないか、と思う。

昨日は、女子入学生を増やすための広報イベントだけど、そんなものが開催されること自体、昔はあまり考えられないことだった。
講演会会場の外には個別相談ブースが設けられて、教授だけでなく、大学生がボランティアで受験生の相談に乗っている。
こういう大学へのコミットメントが、アメリカみたいになってきたなー、と好感触。
パンフレットの表紙や紙袋まで、まるでブティックの袋みたいに美しく素敵にデザインされていている。
このイベントのために、わざわざ作られたものだという。
女子学生の心をつかむには、こういう細やかな気遣いが大切だと思う。

講演会のプログラムには、入試事務室から、入試についての説明もあったが、その内容がとても親切。
センター試験はどの教科を受けたほうが良いとか、何点くらいを目指したほうが良いとか、解答欄を間違えると救いようがないから絶対に間違えるな、とかいう話まで。
その後パネルディスカッションでも、
どうやって勉強したか、塾に行ったか、なんて話も。

私の頃なんて、センターで受ける教科を間違えて、受ける大学を変えた、なんて人もいたのに…。
大学があぐらをかいてるより、こうやって親切に入試広報をやってくれるのは良いことだ。
主催者の方は「時代の流れですよ」と言っていたが、需要は昔からあったはずで、やっぱり独法化で供給側のマインドセットが大きく変わったのに違いない。

学部教育も、大枠の方針は維持したまま、授業自体にインタラクティブな方法論が導入されていたり、面白い教科が増えていたりするのは、あるべき姿だと思った。

そんなわけで、講演会も最後まで聞いていたのだけど、面白くて全く飽きることは無かった。
もちろん、教育の問題はいろいろあって局所解に過ぎないかもしれないが、こうやって大学が、広報にも力を入れて、開かれていくことによって、変わってくることも多いんだろう、と個人的には期待している。

←開かれる大学に一票。


肥満税導入@ニューヨーク州

2008-12-22 17:48:24 | 7. その他ビジネス・社会

先週のFinancial Timesの記事の話。
ニューヨーク州で"Obesity Tax"(肥満税)とか"Fat Taxと言われる税金の導入が検討されているらしい。
カロリーの高いソフトドリンクにだけ15%程度のの税金を課す、ということで論議を呼んでいる。
例えばDiet Cokeは免税されるが、普通のコーラは課税されて、2割程度値段が高くなってしまう。

相当議論になってるみたいで、この記事だけでなく、翌日の社説や意見欄でもこの話が扱われていた。

特に議論の焦点なのが、どこで課税の線引きをするのか、ということ。
さっきも書いたように、Diet CokeやPepsiは課税されないが、Diet飲料じゃないコーラは課税される。
一方で、牛乳やフルーツジュースはカロリーが高いにもかかわらず、免税されるらしい。
この辺の課税の線引きが不透明なのである。

そもそも、この税金がどれだけ意味のあるものか、ということも、当然議論の対象。
課税の根拠は、国民の肥満率が高くなってるため、成人病への医療支出が増えている。
だからその原因となっているところに課税する、という、良くある理由。
反論は、ソフトドリンクだけに課税することで、肥満がどれだけ解消するというのか、というやつである。

全くごもっとも。
この税金が、いったいどのような調査に基づくものなのかは知らないが、アメリカに住んで、特に低所得者層の食生活を観察していると、ソフトドリンクが高い肥満率の原因とは全く思えない。
もっと社会構造と食生活の根本的な問題に思える。

おかしな話だが、アメリカって、カロリーの高い食事の方が安く手に入り、カロリーの低い健康的な食事を採るのには金がかかる国だ。
カロリーと価格が全く比例しない。むしろ反比例する。
肉やチーズなどの乳製品はとても安く、野菜や魚はバカ高い。
外食も、安くて低所得の労働者でも簡単に手に入るのは、カロリーの高いマクドナルドのハンバーガーだ。
少しでも野菜の入ったりした、低カロリーの健康的な食事を求めると、とても低所得者には手が届かない値段になる。

結果として、この国の低中所得者層の肥満率は高い。
それが高所得者のそれより圧倒的に高いことは、統計を調べずとも、ちょっと労働者人口が多い地域に行ってみるだけでわかる。
ちょっと歩いてみるだけで、特に子供の肥満率が高いのに驚く。
白人ばかりの富裕者層が住む地域では見ない現象だ。

(ちなみに統計を見ると、所得と肥満率が反比例しているのでそれも驚く。
またChildren, Income, ObesityというキーワードでGoogleると、それに関する記事が出てくる。)

こうした低中所得者層の肥満率の高さが、(高齢ではなく)労働年齢での成人病に伴う、医療支出の増加に繋がっているんじゃないか、と私は見ている。
と考えると、日々のドリンクをコーラからダイエットコーラに変えたくらいで、国民総肥満が解決するとは思えないのだ。
かといって、マクドナルドなど低所得者層を支える食生活全体に課税したとしても、解決するどころか別の問題を巻き起こすだろう。
そもそも、課税によって解決しようってのが間違ってるんじゃないのか。

それに、私はダイエットコークが嫌いだ。
あの変に舌に残る、人口甘味料の甘みが嫌い。
レギュラーコークが高くなって、ミーティングとかに出されるコーラがみんなダイエットコークになってしまったら、泣いてしまうに違いない。
だから、個人的にも課税は反対。
まあ、どうでもいい理由ですけど。

←肥満税導入反対に一票?


アマゾンのワイン直販は未だ?

2008-11-21 06:41:31 | 7. その他ビジネス・社会

http://www.yomiuri.co.jp/gourmet/drink/wnews/20080912gr05.htm
http://www.excite.co.jp/News/odd/E1224649584264.html
http://www.vinovinovino.com/news/?p=660

今年の9月頃から、各メディアが「アマゾンがワインの直販に参入?」とか騒いでいる。
が、アマゾン側は未だにノーコメントだ。

ビジネスモデルは、カルフォルニアのワイナリー300軒くらいと直接契約し、そこのワインを直販する、というもの。

アメリカには日本の楽天みたいに便利なインターネットのワインサイトがない。
かろうじてWine.comなんかがあるが、日本の楽天ほどの品揃えはないし、そもそも余りメジャーではない。
統計では、オンラインでのワインの売上は、市場全体の売上の0.1%近くしかいかないそうだ。
だから、アマゾンが成功すれば、ワインの流通構造自体が大きく変わる可能性もある。

http://www.vinovinovino.com/news/?p=660によると、アマゾンは現状で中間業者が取っている50%近くに上るマージンをカットすることで、消費者向けの小売価格を20%ダウン。
しかもワイナリーに対しても、売上の47%を還元する約束をしているという。
現状で、ワイナリーは価格の約33%くらいしか取れていないらしいので、ワイナリーにとっても約12%の利幅増。(80%×47%=38%, 38%÷33%=112%)
しかもアマゾンの客に買ってもらえれば本数増加も見込める。

だけど、一方で、アマゾンがどうやってワインという難しい商品の「直販」をやるつもりなのか疑問だ。

1)まず、ワインは保存や輸送の仕方で品質が大きく変わってしまう。
書籍や家電製品と同じようなオペレーションで「直販」は出来ない。
楽天の場合、ワインショップを束ねて手数料を得ているだけなので、実際のワインの保存や輸送は各ワインショップに任せている。
よって、楽天自体にワイン管理のノウハウは特に必要ないし、何か起こってクレームを受けても楽天自体が責任を取る必要は少ないから、リスクが少ない。
直販の場合、そこをどうするつもりか?

2)ワインは品揃えも重要だ。
たった300件の、しかもカリフォルニアのワイナリーと契約しただけで、本当にビジネスが成り立つのか?
輸入物はどうするのか?アメリカワインだけで勝負できると思っているのか?
「直販」にこだわる限り、フランスワインなど輸入ものは扱えない。
ボルドーやブルゴーニュは、フランスの法律で、酒業者(ネゴシアン)を通じてしか輸出が出来ない仕組みだ。

楽天の場合は、ワインはワインショップが持ってるから、全体の品揃えは日本中のワインショップの品揃えを合わせたものになる。それは莫大な量だ。これも楽天が日本でワイン販売で成功しているもうひとつの理由だと思う。

3)ワインの購買タイミングをアマゾンが捉えられるのか? という別の課題もある。
今まで、アマゾンは書籍以外にも、DVDやゲームソフト、電化製品、オフィス文具などに分野を広げて、成功してきた。
しかし、それって、商品のつながりが濃いし、モノを買うタイミングが同じだからじゃないのか。
書籍とDVD、または書籍と文房具、または書籍とiPodなどの電化製品を一緒に買うのは何となく想像がつく。
しかし、消費者はワインも書籍や他の文具と一緒に買うだろうか?
ワインって、ワインだけ買うもんじゃないだろうか?あるいはせいぜいチーズなどの食べ物と一緒に。
アマゾンを利用している人たちが、大きなワインの購買層であることは容易に想像がつく。
だからって、ワインが、アマゾンの持つ他の商品とクロスセルできる気は全くしないのである。

ところでアメリカは、州によっては、酒類のオンライン販売が厳しく規制されている。
アマゾンも、合法な州26州に限って販売を始めるという。
マサチューセッツ州はオンライン販売NGの州なので、アマゾンがワイン販売を始めても、私のワイン生活は何も変わらない。(しくしく)
だけど、アマゾンのワイン直販の行方には興味深々。
私にも何かビジネスチャンスがあるかもしれないしね。

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米大統領選速報-Obama won

2008-11-05 15:50:42 | 7. その他ビジネス・社会

369対162。
オバマの圧勝だ。

先月末くらいから、オバマの優勢を聞いてはいたものの、こうやって米国初の黒人大統領が生まれたと思うと、やはり興奮する。

とはいえ、サブプライムに始まった、大恐慌以上の恐慌といわれる今回の金融破たんを本当にどう対処するかは、まだ謎のまま。新しい大統領に課せられた課題は重い。

CNNの速報ページより。

昼はクラスメートと一緒にランチ。大統領選自体は、流石に政治の話なのでしないが、選挙にまつわる話をする。

アメリカ人人は、みんな学校に来る前に投票を済ませてきたという。
アメリカって、今でもまだ州ごとに投票のプロセスが違うらしい。たとえばフィラデルフィアは完全に電子化されているが、ボストンはいまだにマークシートを使っているとか。2000年の大統領選のときに問題になった、バタフライ投票用紙は、いまだに使われている州もあるという。

日本はいまだに、人の名前を書いて投票するんだよ、と話すと、何でそんなにローテクなのかと不思議がられた。
確かに。何でなんだろう。お年寄りに優しいから?

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MBAでの日本のプレゼンス

2008-11-04 23:49:37 | 7. その他ビジネス・社会

MBA一年生の就職活動がだんだん本格化してきた。
と同時に、
一応コンサルティング会社出身の私も、クラスメートから相談を受けることが増えてきた。
英語が不自由な身なのに、ありがたいことである。

10年前なら、日本人に、Toyota Production Systemとか日本の成功例を聞いてくるMBA生は多かったに違いないが、今は違う。
Toyota Wayは今でもMBA生に人気だけど、トヨタ出身の人はアメリカ人にもいるわけで、日本人ではなく、トヨタ人に注目が集まる。
あくまでトヨタのものであって、日本のものではないのだ。
逆に、日本人の私は、日本人とみなされて話を聞かれるのではなく、いちコンサルティングファームの一員と見なされて、話を聞かれる。
国ではなく、企業体が人々のIdentityの拠り所になり始めている。ハート・ネグリの「帝国」を思い出す

一方で、国としての日本のプレゼンスが下がっているのは確かだと思う。
ケーススタディで、日本が取り立てて取り上げられたことは、今のところ一度もない。
インドや中国だと、ビジネスの話題で盛り上がるのに、日本の企業について積極的に聞いてくる人、というのは余り見ない。
もちろん、それだけ日本が経済発展して、評価が安定しているせいともいえるし、ソニーや任天堂、トヨタがもうグローバル企業と認識されていて、とくに強く日本を意識しないせいかもしれない。
ただ、アメリカのMBA全体が、日本人の採用を減らしているという事実とも合わせて、日本人としてちょっと寂しいものがあったのだ。

MBAのエッセイを書いていた初期の頃、自分が日本人であるという色を出そうとして、エッセイのカウンセラーに反対されたのを思い出す。
たとえば、
「日本のハイテク産業に貢献したい」とか
「日本企業の事例について色々知ってるからクラスのディスカッションに貢献できる」とか、
色々書いていたのだが、
「今のアメリカ人がそんなことに興味があると思うか?」
「20年前ならともかく、MBA学生が、日本企業だけに学びたいという気持ちが、そんなに強いと本当に思うのか?」
と散々反対された。日本人としてではなく、自身のバックグラウンドをよりどころに、自分らしさを構築すべきだ、というのである。

今は、彼が言っていたことが身にしみて分かる。

アドミッションが日本人を採るのは、あくまで国際色を豊かにしたいという目的の一環。
日本がRising countryだからとか、注目されているからとかじゃないのだ、もう。
そういう注目は、今は日本ではなく、韓国であり、そしてインドや中国に移っている。

日本人は、ドイツ人やフランス人とかとある意味一緒。
成熟し始めた国として、国を代表してではなく、あくまでいちMBA生として勝負しなくてはならない時がきている。

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