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My Life After MIT Sloan

組織と個人のグローバル化から、イノベーション、起業家育成、技術経営まで。

ついにユーロが…

2008-10-23 15:29:41 | 7. その他ビジネス・社会

124円まで下がってしまった…
正直、ショックだ。私の持っているユーロの価値が3分の2になってしまった。(たいした額じゃないけど)

ここまで、円がダメージを受けていないところを見ると、日本の金融業界って本当に世界から切り離されてるんだな、と感じざるを得ない。それは、いいことなのか、悪いことなのか。
もちろん、実体経済の部分はつながっているから、これから日本の製造業の売上などに、じわじわと影響していくのだと思うけれど。

ユーロが安くなると、ワインが安くなるんだけど、まあ私が輸入してるわけじゃないからなあ。。。


金融破綻、世界同時株安、大恐慌、そしてMBA

2008-10-11 15:25:15 | 7. その他ビジネス・社会

ここまできて、触れないいわけにも行かない。
米、欧、英の中央銀行が皆で公定歩合を下げても、株価は未だ下がる。
Dow Jonesは連日数%下がり、9000を切っても更に下落。
アイスランドなんて、国が破産しかけてる。
世界経済とまるで"デカップリング"している日本だけが、やたら円が強くなって、このブログを書いてる現在で1ドル101円。1ユーロ135円だ。
私が5月にフランスを旅行していた頃は1ユーロ170円だったのに。

MIT Sloanの建物の1階にテレビがある。
今日学校が終わった後、Dowが8,000近いところまで達し、8451で終わったたというニュース
を、投資銀行出身のAlfredoと一緒に見ていた。彼は口をぽかんと開けたまま、首を振って、It's crazy... I just cannot believe it..とつぶやいた。
今日、授業の企業訪問で会った金融ベンチャーの社長は、We're now facing historyと言っていた。

7000近くまで落ちる可能性も誰も否定できない。今週末G7が共同でなんかやるらしいが、何も信じられるものはない。メディアはいつまでも、Fear of recession (景気後退の恐れ)という表現を緩めないが、これはRecessionどころか、Depression(恐慌)というべきじゃないのか、とすら思う。

日本で、これがどう報道されているのか分からないが、アメリカにいると、これはもう、ブラックマンデー以来の恐慌だと思わざるを得ない。

SloanのFinanceの教授、Andrew Loは、それでもFinanceのJob marketは縮まない、と強気だが、ここまでくると、Job marketなんて無いも同然だ。景気の良かった昨年まで、MBAトップスクールの3割近くを奪っていた投資銀行が、これだとほとんど採用ゼロになる可能性すらある。
その3割の人間は、金融に比べるとまだ採用が安定している、コンサルティングや製造業へと行く。競争率が高いから、今までもらっていたSigning bonus (内定のサインをすることでもらえるボーナス)なんか、大幅にカットされるのは間違えない。

今のMBA一年生は、それでも本当の就職活動までは時間もあるが、この状況が1年で回復する保証はどこにも無い。みんな真剣である。人によっては、1,500万以上の教育ローンを背負って、より良い職を得るためにMBAに来ているのだから。

今日誰かに、"You're the luckiest guys in the world"と言われた。
今、現役で仕事をしている人たちは大変だし、今年卒業して就職した人たちは解雇の不安に悩まされながら仕事をしているし、今就職活動している2年生は大変だ。それに比べて、いまのMBA一年生は遊んでられるからいいね、ということだ。

でも今の1年生だって、この世界恐慌が、一年で終わる保証はどこにも無い。別に遊んでいられるわけじゃないのだ。


そして化学賞も日本人だけど…

2008-10-09 11:00:14 | 7. その他ビジネス・社会

この数年、ずっと音沙汰なかったのに、突然日本人が4人も(正確には3人)ノーベル賞をもらうとびっくり。
化学賞でも、ひとり日本人、下村さんが含まれていた

下村さんも、物理学賞の南部さんも、日本の大学を卒業した後、大学院からアメリカに来て、ずっとアメリカで過ごしている人だ。南部さんなんて国籍まで移してる。
当然、受賞した研究も、アメリカの研究機関においてなされたものだ。
昔、生理学賞を受賞した利根川進もそう。
日本人として、日本人の受賞は嬉しいけれど、これで日本の基礎研究のあり方は何も評価されない。

国家目標である「50年でノーベル賞30人」は、

  1. 戦略的に、優秀な日本人を海外の大学院に送り出すことで達成
  2. 日本の大学院・研究機関を向上し、日本の研究機関からノーベル賞を輩出することで達成

どちらを目指すべきだろうか? 1)は中国や韓国がやってることで、やりやすいと思うが、日本が本来目指しているのは2)ではないのか。このままでいいのか。

ちなみに受賞したGFP技術とは、ずばり「光るたんぱく質を作る遺伝子」。
生物学の実験で、遺伝子が体の中のどこで発現しているのか調べるのに使う。

遺伝子というのは、体の箇所によって動いたり動かなかったりする。
たとえば唾液を作る遺伝子は、足では発現せず、唾液腺でしか動かない、というように。
調べたい遺伝子の隣にこのGFPの遺伝子を挿入すると、調べたい遺伝子が動くと、隣にあるこのGFP遺伝子も動いて、光るたんぱく質を作り出す。そうすると、光った場所で、調べたい遺伝子が動いている、とわかるわけだ。(おおざっぱな説明)

下村さんはこの光るたんぱく質GFPを最初に抽出した人。

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ノーベル物理学賞は日本人-「対称性の破れ」

2008-10-08 15:16:53 | 7. その他ビジネス・社会

ついに待ちに待ったNobel物理学賞の日がやってきた。

小林・益川理論の小林さん、益川さん、Nambu Goldstone Bosonの南部さんが受賞。
日本人が一度に3人も受賞するのは初めてではないだろうか。
もっとも、南部さんは遥か昔に米国に帰化しているので、アメリカ人というべきかも知れないが。

何故この3人が一緒なのか、というのは物理をやっていた人間からするとちょっと不明。
つながりは「対称性の破れ」くらいだけど、南部ボゾンと小林・益川理論の間には大分ギャップがある。
そんな大きな括りでいいんですかね。日本人だから?

物理では普通に考えると、系の対称性が保存することが多いんだけど、それが破れることによって、新しい粒子が生じたりする。(おおざっぱな説明…)
南部さんの発見した、Nambu Goldstone Bosonというのは、円や球状の対称性のような、割と簡単な対象性が破れるときに出てくる粒子。彼は数学的な定式化をしたのだが、素粒子物理学だけでなく、超伝導とか超流動など物性物理での面白い現象も説明できてしまう。
小林・益川理論は、初期宇宙にこの対称性の破れが生じたことでクオークが発生したとして、素粒子の存在を予言した理論。数年前に実験で無事確認されてから、ノーベル賞は未だか未だかとずっといわれていた。

次の物理学賞は磁束量子の日立の外村さん巨大磁気抵抗で有名な東大の十倉さんナノチューブのNEC飯島さんでしょうか?ナノチューブは化学賞でもいいかも。

明日の化学賞が楽しみです。

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エズラ・ボーゲルと松下村塾

2008-09-28 15:34:49 | 7. その他ビジネス・社会

エズラ・ボーゲル(Ezra Vogel) と言えば、1979年に「Japan as No.1」を書いた著名な日本学研究者。
そんな有名人のボストンの私邸で月一度行われる勉強会がある。その名も「Vogel塾/松下村塾」。

Vogel氏は70年代という、まだ世界の日本への関心が薄い時期、華々しい戦後経済成長を遂げた日本に着目。90年代に日本が凋落(?)してからも親日家として知られ、日本の研究を続けている。そんな彼が、ボストンに学ぶ日本人を集め、幕末に日本を変えた志士を生んだ松蔭の松下村塾のように、将来の日本を背負うリーダーを育てたいという目的で開いている私塾がこれ。

木曜は今年度初めての集まり。

来ているのは全員日本人だが、そのバックグラウンドは多様。ハーバードのケネディスクールの学生が中心だが、ハーバード・ビジネス・スクール(HBS)、ハーバード・メディカル・スクールやロー・スクール、タフツ大学やボストン大学で国際関係論や社会学を研究する研究者も来ている。MITスローンからも数名。

人数が多いので自己紹介に時間がかかったが、その後20分ほどの議論がなかなか盛り上がった。
議論はすべて英語。

まずは自己紹介で何人かが興味を持っていた、日本の少子化問題をとっかかりに議論が始まる。
その解決方法のひとつとして移民政策へ。
日本人が「当然あるもの」と考えているHomogeneity、それをベースとする「平和観」が移民受け入れの際の壁になること。じゃあ「平和観」とは何物なのか、という社会学的な議論へ突入してしまう。

私としては、「平和観」とは何か、という議論をしても神学論争になるだけ、という思いがあったので、違う方向に議論を振らせることにした。

日本人の強み・Identityを維持しながら、いかに文化的多様性を生かすか、というジレンマは移民政策に限った話でない。企業経営の切り口からも大きな問題になっている、ということでGlobalizationを進める日本企業のジレンマについて発言してみた。

近年、自動車・電機などの日本企業は、生産工場だけでなく、R&Dや商品開発などの上流部分も海外に移行する必要に迫られている。少子化で十分な技術者が日本だけで採用できない、という事情もあるが、海外で売れる商品を作るため、現地での商品開発が必須であったり、IT・電機関連だと、海外のほうが優秀な研究者がいる、という事情もある。いわゆる「R&D Globalization」と呼ばれる。

ところが、実際に移行しようとすると、高品質・効率性といった日本ならではの強みが、実は日本人のBasic educationの高さや文化、High-contextな言語に起因しているため、一筋縄ではいかない。それで、外人技術者をうまくイノベーションのプロセスに組み込めないし、組み込むと日本の強みが生かせない、というジレンマに陥っているのが現状。

そんな話を提供すると、他のビジネススクールの学生などからも議論が巻き起こった。
そもそもMulticultureをどこまで入れる必要があるのか、分野によっては無理に多様化させず日本人だけでやっていく方法もあるのではないか、など。

議論時間が20分しかなかったので、そのあたりで議論は終了。
来週木曜に再度集まって、複数の分科会に分かれ、今後1年間で勉強したいトピックを決めるという。

集まっている日本人学生は多様で、政治、経営だけでなく、医療・健康や、国際貢献といった幅広い分野から来ている。出来るだけ多くの学生の興味を満たすようなテーマを選ぶ必要がある。

ちょっと考えて、松下村塾のメーリングリストに次のトピックをポストしてみた。

Japan as a melting pot or Sakoku - How to manage multi-culture and diversity while maintaining Japan's strength and identity (日本・日本企業が、日本のIdentityと強みを維持しつつ、今後迎えうる、文化・人材の多様性をどう組み込んでいくか)

こういうテーマなら、移民問題や私が言った企業のGlobalizationの課題だけでなく、医療や国際貢献などの分野にもアナロジーのきく問題があるのではないか、と思ったのだ。


BestBuy 体験

2008-08-02 12:53:11 | 7. その他ビジネス・社会

夕方から、BestBuyに行った。
フルブライトの学生の一部は、ラップトップを持たずに来ている(中にはミャンマーみたいに、そもそもパソコンの持ち出しが禁止されている人もいる)。その人たちがパソコンを購入するのが目的。

昔、ヤマダ電機に初めて行った時、「ここは倉庫?」と思ったものだが、BestBuyはもっと倉庫のようだ。
プレハブに、天井から光が照らされている。
奥の方に、特に仕切りもなく、大量の段ボールが積まれているのが見える

しがないペンシルベニアの郊外店だからかもしれないが、メーカー主導のブース・装飾も非常に限られている。わずかに、マッキントッシュ、iPod、パナソニックのホームシアター、ボーズのオーディオ、ソニーのテレビの一部にブースが付いているくらいだ。

写真は、ホームシアターコーナーのパナソニックの展示だが、店員がいない。

テレビなど、ただ並んでいるだけ。
メーカーごとに並んでいないので、メーカーを見つけるのが大変。(一応大きさ順にはなっている)
店員を捕まえるのも大変。

ヤマダ電機も同じコンセプトだとは思うが、私の観察だと、もっと面積当たりの店員の数が多い。
並び方も、メーカーやタイプに規則性がある。例えばプラズマと液晶は分かれてるし、メーカーごとに陳列されていることが多い。
ここは本当に大きさの順に並んでいるだけだ

こういう店舗が普通の国に、例えば、日本の家電量販店が進出するとどうなるだろうか。
親切に、わかりやすく陳列するのは、かえってわかりにくいと迷惑がられるのか。
店員を多く配置しても、誰も来なくて無駄になるのか。
それとも、他店との差別化要因になるのか。

家電メーカー側からみると、差別化の余地は大きい。専用ブースを作ったり、マーケティングキットを用意して置いてもらうなどは他が余りやってないので、やれば目立つ。
例えばスピーカーでちゃんとマーケティングしてるのはBOSEだけだ。

ところが、こんなところでも、PCだけは日本の家電量販並みにきちんと整列されている。
店員も張り付いている。

不思議だ。なぜPCだけ。。
PC売ると利幅が大きいものなのか、メーカーがお金を払っているのか。

謎が解けないまま時間切れ。


WALMART 体験

2008-07-30 22:46:53 | 7. その他ビジネス・社会

今まで、ウォルマートは何度もケーススタディではお目にかかってきたが、本当に行くのは初体験。
本当に、何でも売っているのでびっくりした。これがWalmartなのか…

ジャスコ(GMS) + マツモトキヨシ(ドラッグストア) + ヤマダ電機(家電量販店)
というのが、売場の様子を一番表現していると思う。

これだけ幅広い商品を扱っている店舗は、日本には未だないのではないか。もっとも家電量販が酒類や日用品を売るようになったり、ドラッグストアが食料品を置くようになったりしている。それでも、ヤマダ電機がマツモトキヨシに勝る品揃えの日用品を置いているという話は聞いたことがない。

WALMARTはすごい。まずデジタルカメラが家電量販店並に並んでいる。

テレビはサンヨーやVIZIOなどのローエンドものしか置いていないが、こんな感じ↓ 
ローエンドしかない、というのが、Best-buyやCircuit Cityなど家電量販店との違いなのだろう。

日経エレクトロニクスという雑誌で以前見た限りでは、もっと大きなWALMARTなのか、テレビが20台近く並んでて、もっと家電量販店みたいだったが。



下は炊飯器のコーナー。ここもローエンドばかりで一台30ドルくらいと安い。マイコン制御のものなどは存在しない。日本で買ってきて良かった、と少し胸をなでおろす。

もちろん食料品も山のように売っている。下は北京オリンピックのスポンサーであるコカコーラのタワー。
アメリカのコカコーラは日本と味が少し違い、もっと炭酸が弱くて甘め。香りもちょっと違う。(薬臭い)

そして衣料品。食料品や靴などと違い、衣類は同じ値段なら日本の方が品質がいいという印象だ。
30ドルで売っているジーンズは縫製があまり良くなく、布の品質も低い。
日本なら、ユニクロでもっといいジーンズが同じ値段で買える。

衣類や食料品などのコモディティでは、生産工場を目利きし、実質のデザインと品質管理を行う流通業の役割が非常に重要なんだな、と思う。

ユニクロで安く高品質の衣料が買えるのは、ひとえにファストリが、自社でデザインし、中国の生産工場を見つけ、品質管理をきちんと行うことで、安く高品質の商品を調達しているからではないか。一方ウォルマートは、工場の目利き、デザイン力、品質管理で一歩劣るため、このレベルの商品しか並べられない。

もともと、自動車、家電などの製造業では、メーカーがデザイン・製造ノウハウや品質管理を行っており、商品自体の価値に対する流通業の役割は限られている。極端な言い方をすれば、買い叩いて値段を下げるくらいだったのではないか。

もっとも、最近ではVIZIOのような製造拠点を持たないメーカーも出てきている。自動車や家電製品を、ウォルマートのような流通が、デザイン・品質管理して売る、というケースもそのうち出てくるかもしれない


米国入国とHomeland Security

2008-07-21 20:51:23 | 7. その他ビジネス・社会

「帝国論」を読んでいる。第一章はHomeland Securityという概念の誤謬を突く目的で書かれているが、こちらにきて早速ケースを目の当たりにした。

最初に友人になった南米コロンビア出身のOscarと、主催者のConnieと共にスターバックスで朝食。
彼によると、コロンビアから米国行きのVISAを獲得するのは大変だという。彼が修士で米国留学を試みた時は、I20など必要書類が全て揃っているにも関わらず、大使館がVISAを発行してくれなかった。結局その時は国内の大学院に進学し、今回Fulbrightの援助を得てVISAを獲得し、Ph.D留学と相成ったそうだ。

Connieは"That's homeland security law"という。
「Homeland Security lawによって、米国への国別流入数を管理するようになった。流入が多くなっている地域は、VISAの発給を停止したりすることがある。今まではVISAの書類がそろっているのに発給されないなんてことはなかったのにね。Homeland Securityによって学生まで影響を受けるのは忍びないわ。」

9.11の後、ものの数か月で作られたこの法律が、目の前の友人の入国を困難にしている事実も然りだが、一人のアメリカ人の口から、何度もHomeland Securityという言葉が飛び出てくることに驚いた。そこまで米国国民にはこの言葉が「浸透」し、概念が「理解」されているということか。

初日から突然、「アメリカ」を感じた。

帝国論 (講談社選書メチエ)
山下 範久
講談社

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