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“牛丼御三家”それぞれの戦略とは

2014年03月30日 21時33分14秒 | 学習支援・研究
吉野家、すき家、松屋…
“牛丼御三家”それぞれの戦略とは

All About
2014年3月24日 14時45分
(2014年3月24日 16時45分 更新)

[拡大写真]:牛丼業界で繰り広げられている新たな次元の争い

牛丼戦争”と呼ばれる低価格を競う激しい争いも一段落し、
牛丼業界では新たな次元の争いが繰り広げられています。
今回はすき家、吉野家、松屋といった“牛丼御三家”の各社の戦略を
フィリップ・コトラー教授の
『業界内のポジションに応じた戦略』に照らし合わせて、
その妥当性を検証していくことにしましょう。

吉野家の戦略
牛丼業界において、吉野家はかつて“絶対王者”として
リーダーに君臨していましたが、
2008年9月にすき家に店舗数で追い抜かれると、
業界2位としてすき家を追いかけるチャレンジャーの立場となりました。

2位に転落以降、吉野家にとっては
苦しい戦いが続いていましたが、
2013年4月には、それまでライバル2社に比べ
価格の高かった牛丼を380円から一気に100円値下げして、
ライバルと同等の280円に設定。

消費者に大きなインパクトを与えて、
これまで奪われてきた顧客を再び奪取する大胆な戦略に打って出ます。
ただ、値下げ当初こそ思惑通りに大幅な客数アップを実現して
客単価の減少を補い、最終的な売上アップにつなげたものの、
6月には早くも勢いを失い、値下げの効果は
短期的なものに終わってしまいます。

そこで、繰り出した次の一手が『牛すき鍋膳』。
吉野家はこれまで顧客に浸透していた「うまい、やすい、はやい」
というポリシーを破ってまで、テーブルでゆったりと
“一人鍋”が堪能できるメニューを投入してきたのです。

この『牛すき鍋膳』がチャレンジャーの戦略として有効だったのは、
それまでの『牛丼』というもはや
コモディティ化した商品でリーダーであるすき家と価格競争を行うのではなく、
580円という高価格で差別化を図ったポイントでしょう。

チャレンジャーがリーダーを出し抜くには“差別化”が定石となるのです。
吉野家はこの『牛すき鍋膳』が顧客の支持を受けて、
ライバル2社が売上アップに苦しむ中、
業績は独り勝ちの様相を呈することになります。

更に4月の消費税増税のタイミングで牛丼を20円値上げし、
増税によるコストアップを価格に反映することを検討しています。
これは、牛丼においても差別化を推進し、
ライバルより高い価格でも顧客を呼び込もうという
チャレンジャーに適した戦略といえるでしょう。

すき家の戦略
様々な外食チェーンを展開するゼンショーホールディングスの傘下にあるすき家は、
食材の大量仕入れによる低い原材料コストという強みを活かして、
低価格で売上を伸ばし、リーダーの座を獲得してきました。…

積極的に価格競争を仕掛けてライバル企業から顧客を奪うなど、
リーダーの定石ともいえる戦略でライバル2社を圧倒してきたのです。

ところが、最近では低価格だけでは顧客を取り込むことが難しくなり、
業績は前年同月比マイナスが続くなど苦戦の色が濃くなってきています。

そこで、苦境を打破するために繰り出しだした戦略が
『牛すき鍋定食』の投入。吉野家が
2013年12月に投入し好調の一因ともなっているメニューを、
2ヶ月遅れですき家でも提供することを決定したのです。

リーダーの戦略のセオリーは、チャレンジャーが差別化した製品で
シェアや市場の拡大を図る際に、
同じような製品を投入して阻止する“包み込み(同質化)戦略”にあります。
このセオリーに基づけば、すき家が『牛すき鍋定食』を投入してきたことは
リーダーとして当然のことと受け止めることができるでしょう。

また、すき家は4月からの消費税増税に際して、
吉野家が牛丼の価格を値上げするのに反して
10円の値下げを行い、低価格をアピールして
増税後に見込まれる需要減を乗り切ることを目指します。

これも、コストリーダーシップによって
チャレンジャーが追随できないような価格を設定し、
マーケットシェアをアップさせるリーダーとしては
正しい選択といえるのではないでしょうか。

松屋の戦略
さて、牛丼御三家の中で三番手に位置する松屋は、
最近ヒットメニューに恵まれず、
業績的には3社の中で最も苦しい立場にあります。

そこで、この苦境を脱するために
今月中に投入されるのが580円の『すき焼き鍋膳』。

ただ、この戦略の妥当性の判断は難しいところです。
もし、松屋がチャレンジャーのポジションであれば、定石は差別化です。
つまり、ライバル企業が提供していないメニューを考えて、
より多くの顧客を呼び込む必要があるということを踏まえれば、
すでに吉野家やすき家が投入して成功を収めている
『すき焼き鍋膳』の投入はあるべき戦略ではありません。

一方で、上位企業に挑戦する意志はなく、
業界でそこそこのポジションを獲得を目指すフォロワーであれば、
上位企業でヒットしたメニューを真似ることは適切な戦略といえるでしょう。

ただし、その際には上位企業よりも安い価格で提供することが
成功の重要な鍵を握ります。つまり、同じ
“すき焼き鍋”を提供するのであれば、
上位2社の580円に対して570円など、
価格でアピールして顧客を呼び込む必要があるというわけです。…

松屋が投入する『すき焼き鍋膳』は、3月に入り、
すでに鍋のシーズンも終わりかけということで、
タイミング的にも微妙ですし、3匹目のドジョウということで、
うまくいくかどうかは未知数の面も否めないでしょう。

戦略というのは闇雲に立てたとしても、成功はおぼつきません。
自社の置かれている状況やライバル企業、
そして顧客との位置関係を把握し、
適切な戦略を立てなければ、効果が上がるどころか、
逆効果になることさえあり得るのです。

業績目標を達成する戦略を立てる際には、
自社のポジションを踏まえてセオリーを重視した戦略を検討すれば
成功する確率も高まるといえるでしょう。

(安部徹也)

【ガイド:All About News Dig編集部】

http://www.excite.co.jp/News/column_g/20140324/Allabout_20140324_12.html?_p=1より


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