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実生活でのビットコインの使用実験

2014年03月01日 00時59分22秒 | 学習支援・研究
実生活でのビットコインの使用実験―知っておくべきこと
By GEOFFREY A. FOWLER


[image]Geoffrey Fowler/The Wall Street Journal
ビットコインはカップケーキといった日常的な購入にも使用可能

 
インターネットの規制されていない弱点の深部にある
秘密の仮想通貨とでも言うべきビットコイン。
このビットコインは匿名性を求める犯罪者の間での人気の高さと同じくらい、
変動の激しい相場についてもしばしばニュースになっている。

これだけでも大半の人々が避けるのに十分な理由だろう。
しかし、ビットコインは合法的な日常の商品の支払い方法として
ますます多くの場所で利用されている。
したがって私はこの仮想通貨を1週間使ってみて、
その経験に驚いた。ビットコインの使用は
匿名でもなければなぞに包まれてもいなかった。

私がビットコインを使える所を探してみたところ、
いかがわしいマッサージパーラーも見つかったが、
インターネットのうさんくさい奥まった場所に足を踏み入れる必要はなかった。
私は近くの店でカップケーキやすしを買うためにビットコインを使用し、
米ネット通販会社オーバーストック・ドット・コムで
グランピーキャットのスウェットシャツを購入した。

ビットコインはクレジットカードやネット決済サービスの
ペイパルに置き換わるところまでは来ていない。
広範な流通や消費者保護、安定性にも欠ける。
また、ハッカーからのサイバー攻撃で最大の取引所2カ所が
引き出し停止などを経験し、価値が3分の1ほど下がり、
ビットコインは現在、危機的状況にある。
私が実験した1週間の間でも、私自身のビットコインの価値は最大7%下落した。


Personal Tech Columnist Geoffrey Fowler spent a week
shopping with the Internet's mysterious bitcoin currency.
The result? Cupcakes and Grumpy Cat.

それでも、最初の主要インターネット通貨の
小さな財布を持つのを止める気にはならない。
私は投機筋ではなく、自分の預金をビットコインに投資したり、
誰かにそれを勧めたりしているわけではない。
私はその可能性に興味がある――オンラインアートのための
「チップ入れ」あるいは、チャリティーへの日々の小額の寄付など。
そして、あなたも興味があれば、願わくば、
このコラムが無一文にならずに済むのに役に立つだろう。

試すために、高額の資金を危険にさらす必要はない。
私は「コイン」1個丸ごと購入したわけでもなく、
ビットコイン1個のうちの約0.25、つまり約160ドル(約1万6,000円)相当を購入しただけだ。
私は仮想上の財布を契約した。この契約は、
あなたのお金である一連のコードの保護を約束するとともに、
ビットコインとドルを交換する。
私はビットコインの取引プラットフォーム、コインベースを勧める。
コインベースでは仮想の財布があなたの通常の銀行口座につながり、
1回の取引ごとに約1%といった小額の手数料が課される。

こうした関係者たちは信頼できるのか?
コインベースはシリコンバレーの一部有力企業が後ろ盾となっているが、
これは通常の銀行でドルを使用することに対する
政府機関の保証のようなものではない。
過去15カ月間で、コインベースは約100万の消費者の
仮想財布を設定したと明らかにしている。

私が最も驚いたのは、コインベースが仮想通貨から
匿名性の一部をいかに剥ぎ取るかということだ。
ビットコインを購入するには、私は自分の銀行口座の情報や
クレジットカードの番号、自分の銀行のウェブサイトでの
ログイン時の詳細情報さえ質問された。
同社はこうした情報のすべてを保持しないが、
照合プロセスのスピードアップに使用される。
このプロセスは通常では4日かかることがある。

コインベースのブライアン・アームストロング最高経営責任者(CEO)は、
こうした情報すべてを収集する要点は「不正行為」を防ぐことで、
そうすれば従来の銀行はコインベースを合法的とみなすだろうと話す。

コインベースはビットコインの使用を単純にするという点で
いい仕事をしてきた。近くの店での
すし代金の支払いのために、私のサーバーに表示された
クイックレスポンス(QR)コードをスキャンするために
私は自分のアンドロイド搭載携帯電話のコインベースのアプリを使用した。
(アップルはiPhone(アイフォーン)向けの
コインベースのアプリをまだ承認していないが、
ウェブサイトを通して支払いが可能だ。)

私がすし代金の支払いを確認すると、
直ちに送金が実行された。消費者にとって
ビットコインのスピードは両刃の剣でもある。
つまり、何か不具合が生じると、
仲裁に入ってお金を取り戻してくれる第三者は存在しない。
また、価値の変動の激しい通貨でリターンを得ることは難しいこともある。
(幸いなことに、わたしのすし代金の支払いについては不満はなかった。)

オンラインで物を購入するやり方もほぼ同じような仕組みだ。
オーバーストック・ドット・コムでは、チェックアウトの
ページでビットコインでの支払いを選択し、
携帯電話でスクリーン上のコードをスキャンする。

ではなぜビットコインを使用する必要があるのか?
ボストン大学で金融について教えるマーク・T・ウィリアムズ氏は、
ビットコインは実際、速さや便利さといった消費者の
主な問題を解決するものではないと指摘する。
同氏はビットコインの懐疑派だ。同氏は
「何かを秘密で送りたい場合には問題を解決する」と話す。

コインベースをはじめとする仮想財布は
あなたに関する情報を収集するが、
送金や支払いを匿名で行おうとすることも可能だ。
もし誰かがあなたにビットコインを提供すれば、
個人情報の詳細の多くを入力することなく
コインベースの仮想財布を設定できる。ただ、
保有するビットコインをドルに交換したい際には身分証明の必要が生じる。

小売業者を参加させるのは、大変な仕事となるだろう。
コインマップ・ドット・オーグによると、
世界で約3,000社が支払いにビットコインを受け入れている。
私の住むサンフランシスコ地帯では60を超える企業が受け入れているが、
私は自分のビットコインを使う価値のあるお店を探すのにいまだに苦労している。
そういうお店が見つかったときには
ビットコインでの支払いは通常速いが、
クレジットカードや現金の使用より速くないことは確かだ。

オーバーストックはビットコインで支払いをする際の
金銭面でのインセンティブを提供することを計画している。
小売店はビットコインでの支払いによって
クレジットカード手数料が省ける。このため、
オーバーストックはビットコインを使用する顧客に購入代金の1%を
(お店での金券という形で)払い戻すことにした。

これまでのところ、ビットコイン向けの優れたアプリは国際送金かもしれない。
これは従来の銀行やペイパルといったサービスではコストが
高くスピードの遅いプロセスだ。香港の友人に
10ドルの価値のビットコインを送ってみたら、
数分のうちにその友達はコインベースを通じてそのお金をすぐに私に返してきた。
私はそれを再度送りつつ、通常なら
数日かかるプロセスを瞬時に行き来できる能力に感心した。

しかし私のその友人が香港でビットコインを使用しようとすると、
機会は限られていた。ビットコインを受け付ける
マッサージパーラーは見つかったが、
そこで利用できるサービスに友人の妻は感心しなかったという。
その友達はやっと、ビットコインの使用できる花屋を見つけたが、
ブーケを買えるほどの価値のビットコインを私は送っていなかった。
もっと多くのビットコインを購入するためには、
正当であるように見える香港の仮想財布会社は
その友人のパスポートや住所の証明などを要求し、
多くの時間もかかった。

いつかはあらゆる手続きがもっと容易になるだろう。
ビットコインを持ってバケーションに出かけることで、
国際通貨やクレジットカード手数料を回避できる方法が
提供されるかもしれない。しかし、
その日はまだ到来していない。

私はビットコインを使用しているときに「いつの日か」と
しばしば考えていることに気づいた。
ビットコインは将来の通貨かもしれないが、
現時点では引き続き役立つ理由を探している状況だ。

http://jp.wsj.com/article/SB10001424052702304775004579393774076298100.html?reflink=Goo&gooid=nttr

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