大学の授業にかかわる話題

授業日誌・キャリア・学びのスキルについて

消費税転嫁法案

2013年05月01日 23時14分05秒 | 学習支援・研究
クローズアップ2013:
消費税転嫁法案 
「セール規制」小売り反発 
納入業者は「厳格適用を」

毎日新聞 2013年04月26日 東京朝刊


拡大写真

消費税率(現行5%)の8%への引き上げが
来年4月に予定される中、
国会で「消費税還元セール」などと銘打った安売りを禁止する
「消費税転嫁法案」が審議中だ。
売り上げ減を恐れる大手小売りなどが
中小納入業者に増税分の値引きを迫るのを防ぐ狙い。
野党にも異論はなく、
法案成立は確実だが、スーパーなどは
「国をあげての安売り禁止はおかしい」などと猛反発。
政府は禁止行為を明示した指針を作る方針だが、
安売りをどこまで制限するか、線引きは難しそうだ。
【葛西大博、横山三加子、西浦久雄】

「セールには消費を喚起する面もある。
規制は景気回復を遅らせる」(セブン&アイ・ホールディングス)。
法律で消費増税還元セールを禁止する国の方針に対して、
スーパーなど大手小売り各社は反発を強めている。

アベノミクス期待で株価が上昇し、
景況感も上向いているとはいえ、
給料は上がらず、所得は増えていない。
このため、多くの家庭はより安い製品を求めて
購入先を探す生活防衛姿勢を変えるとは考えにくい。
そんな中、消費増税が理由でも値上げすれば、
買い控えを招きかねない。

イオンの岡田元也社長は
「(小売価格に)転嫁して顧客が受け入れる見込みはない」と明言。
コンビニ業界からも増税に伴う値上げに対し
「(商売にとって)マイナス以外の何ものでもない」(幹部)と不満が出ている。

また、「ユニクロ」などカジュアル衣料の
製造から販売まで一貫して手掛けるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は
「法律で何かしようとすること自体理解できない。
これで先進国かな、と思う」と政府の対応を疑問視。
同社は海外での生産コスト低減などで、
増税後も価格を据え置く構えだ。
ユニクロのように製販一体で商売する事業者が価格を据え置けば、
大手スーパーなども対抗上、商品の値上げはしにくくなる。

一方で、消費増税後、還元セールが常態化すれば、
中小・零細が多い商品の納入業者の経営は苦しくなりそうだ。
大手スーパーなどが最終製品価格に消費増税分を実質転嫁しなければ、
納入業者も原料仕入れなどにかかった増税分を納入価格に反映できず、
自らかぶらざるを得なくなる恐れがある。

全国中小企業団体中央会のアンケート調査(昨年12月実施)によると、
209組合のうち約半数が
消費増税分の納入価格への転嫁は困難と回答。
「交渉相手が大手量販店だから」(製麺業)などが理由で、
値上げすれば仕入れ先を変更されかねない納入業者の弱い立場を浮き彫りにした。

日本商工会議所などの調査では、
消費税率が3%から5%に上がった1997年
中小・零細業者(年間売上高5000万円以下)の5割超が
増税分を納入価格に転嫁できなかった

日商関係者は「今回の増税でも大手小売業者の出方を懸念する中小は多い」と指摘。
政府に対して増税還元セールを禁止する法律の厳格な運用を求めるが、
売り上げ減を心配する小売業者側との認識の溝は深い。

◇買いたたきか自由な価格交渉か…規制の線引き難しく

「消費税還元セール」「全品3%値下げセール」
「こういう時期だから全品生活応援セール」「春の生活応援セール」……。
どれがアウトで、どれがセーフなのか。

24日の衆院経済産業委員会で、
民主党の近藤洋介議員が消費税転嫁法案に関連し、
禁止される安売りの具体的な説明を政府に求めた。
消費者庁の担当者は「『消費税』の文言を使わなくても、
消費者から消費増税に関連した安売りと認識されるものは禁止」と答弁した。

政府は消費税率を来年4月に3%引き上げて8%に、
2015年10月にはさらに2%引き上げて10%にする予定。
消費者庁担当者の答弁を厳格に解釈すれば、
スーパーなどが来年4月以降、
税率アップ分を連想させる「3%値引き」や
時期を想起させる「春の安売り」などと宣伝すれば、
違法になる可能性があり、政府内にもこれらの表現を禁止すべきだとの意見がある。

しかし、山口俊一副財務相は25日の記者会見で
「単なる『3%値下げ』や『春の応援セール』は
(禁止対象に)該当しないと判断している」と発言。
どこまで規制すべきか、政府内の意見が集約しきれていないことをうかがわせた。

転嫁法案は17年3月末までの時限立法
大企業が中小納入業者から商品を仕入れる際に
増税分の上乗せ(転嫁)を拒むことを禁じるほか、
小売業者には「消費税還元セール」などの表示を禁止。
違反した場合、罰金などは科さないが、
公正取引委員会などが是正を指導し、
従わなければ、会社名を公表する。

政府は国会での法案成立後、
夏ごろまでに転嫁拒否の実例や禁止するセールの表現を明示した
指針を策定する方針だ。
ただ、24日の衆院経産委に参考人として出席した
立教大法学部の舟田正之名誉教授(独占禁止法)は
セールの表現について
「指針を作っても(違法かどうか判断しきれない)グレーゾーンは残る」と説明。
転嫁拒否禁止に関しても
「(大企業が)転嫁を拒否するので、値段を下げてくれと言うはずがない。
不当な買いたたきなのか、自由な価格交渉なのか、
判断は非常に難しい」と取り締まりの困難さを指摘した。

==============

 ◇消費増税時のセール表現などの可否


一部商品のみ値下げ          〇

3%還元セール            △

全品3%値下げセール         △

生活応援・全品価格据え置きセール   △

こういう時期だから全品生活応援セール △

春の生活応援セール          △

消費税還元セール           ×

消費税率上昇分値引き         ×

消費税相当分、ポイント付与      ×

※衆院経済産業委員会の質疑などから作成。
○は実施可能。×は不可。
△は広告や表示全体から総合的に可否を判断

http://mainichi.jp/opinion/news/20130426ddm003010101000c.htmlより


最新の画像もっと見る