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原子炉を廃炉にすると・・・

2013年09月28日 00時40分53秒 | 学習支援・研究
債務超過がなかったことに? 
役所が行う「会計マジック」


(更新 2013/9/19 07:00)


9月3日に首相官邸で開かれた原子力災害対策本部会議。
安倍首相は「世界中が注視している。政府一丸となって解決にあたる」と呼びかけた 
(c)朝日新聞社 

役所に手品師がいる。
ルールに従えば電力会社が吹っ飛ぶほどの廃炉損失を
会計マジックで、みごと消してしまう。
さてその損害は、誰にまわるのか。

経産省によると、原発をもつ電力10社が
すべての原発を廃炉にする場合、今の会計ルールでは、
総額4兆4664億円の損失が出る。
10社中6社で損失が純資産を上回り、
債務超過に陥る。

東京電力を例に、どんな事態になるか、
経産省の資料をもとに試算してみよう。
東電には事故を起こした福島第一の4基と別に、
13基の原発がある。資産価値は核燃料を含め
7,571億円あるが、廃炉になると価値はゼロになる。
さらに解体費用も必要となる。
廃炉引当金を積んで備えているが、
積み立て不足が東電の場合、4,076億円もある。

いまの会計ルールでは、これらを足し合わせた
1兆1,648億円を特別損失として計上しなければならない。
純資産は8317億円。
つまり3,331億円の債務超過になる計算だ。

福島第一の残る2基や、福島第二原発の4基は
廃炉を求める声がある。
柏崎刈羽原発は地元の新潟県が再稼働に反対だ。
東電の原発はすべて廃炉、という事態もなきにしもあらずなのだ。
汚染水対策にも政府が乗り出し、
当事者能力を失う東電には、
「ひと思いに法的処理」という声が各方面から上がる。

ところが、経産省はそれを避けたいらしい。
東電を破綻(はたん)させれば銀行が困る。
持っている電力債の償還や利払いができない。
株券は紙くずになる。経営責任どころか、
行政責任も問われるだろう。

そこで会計原則をフンニャリ曲げた。
こんなやり方だ。
(1)廃炉になっても引当金は運転停止後、10年延長できる。
(2)廃炉と決めても原子炉などの価値を認め、減価償却できる。
(3)福島第一で追加対策が必要になった場合、
新たに作る設備の費用は減価償却を認める。
新たに認めた引当金や減価償却費は、
発電コストとして料金に上乗せできるようにした。

「経営破綻を回避するという結論が先にあり、
会計常識を無視した特別なルールを役所がつくった。
国家的粉飾といわれても仕方がない」

企業の粉飾決算に長年取り組み、
『公認会計士vs特捜検察』などの著作がある細野祐二氏は、
そう指摘する。

※AERA  2013年9月16日号
http://dot.asahi.com/aera/2013091800036.htmlより


『公認会計士vs特捜検察』


細野祐二著
定価:1,890円(税込)
amazon.co.jp
公認会計士vs特捜検察
単行本: 432ページ
出版社: 日経BP社 (2007/11/15)
言語 日本語
ISBN-10: 4822246213
ISBN-13: 978-4822246211
発売日: 2007/11/15
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822246213/dot_asahi-22/


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