徒然なるままに。

徒然に小話を載せたり載せなかったり。

get the better of (~に勝つ)

2006年01月28日 | スレイヤーズ
 夢の中で、昏い大きな闇が目の前に立ちはだかっていた。


 
 夢から覚めると、目の前には見知らぬ天井。しかしそれはいつものこと。
 夜も早い時間に眠りについたにもかかわらず、体はまだ重く休息を必要としている。
 うーんと唸って、リナはそのまま寝返りを打った。

 ふと、薄く開けた目に銀色が映った。

「………あー」

 色素の抜け落ちた髪の毛。それは他の誰のものでもない、リナ自身のもので。
 自慢の栗色は、今はまだ影も形も見えない。
 生体エネルギーを根こそぎ使うような真似をしたのだから、当然とも言えたが。

 それにしても、髪がこんな状態であるということは。
 先程までの夢は、夢であって夢ではなかったのだと実感する。


 誰が信じるだろうか、数日前確かに、世界は滅亡の危機を迎えていたのだということを。
 ……誰が信じるだろうか、赤眼の魔王シャブラニグドゥを、他の誰でもないリナが斃したのだということを。

 今でも信じられない、とは言わない。あれは確かに現実に起こったことだ。
 確かに、リナはレゾ=シャブラニグドゥを斃したのだ。

 けれども、それを誰かに言ったところで信じるものはいないだろう。
 それでいいのだということにして、リナは再び目蓋を閉じた。



No one believed they when they told how they had gotten the better of Shabranigudo.

get on one's nerves (人を苛々させる)

2006年01月12日 | G.A.
 フォルテ・シュトーレン。
 ≪白き月≫の月の聖母の特殊部隊であるムーン・エンジェル隊の(一応)リーダーで、隊の中では唯一の中尉。
 趣味は火器コレクション、それが高じた射撃。
 さっぱりしていて細かいことにはこだわらない姉御肌。エンジェル隊一のプロフェッショナル――――

「あ゛~~ッ、苛々するー!」

 先程からずっと貧乏揺すりをしていたフォルテがいきなり立ち上がって叫んだのを見やって、ミルフィーユとミントは互いに顔を見合わせた。
 とうとう部屋を周回しはじめたフォルテを見やって、ミルフィーユが心配そうに呟く。

「……どうしたんだろう、フォルテさん」
「今のフォルテさんには、あまり近づかない方が身のためですわね」
「どうして?」

 小首を傾げて訊ねると、ミントははぁ、と悲しげに頬に手をやって、

「ミルフィーさん、今このエルシオールは物資が圧倒的に足りていないということは判っていますわよね?」
「うん、だから食堂でお代わりが出来なくなったし、シャワーも制限がかかったし、宇宙コンビニの在庫が空っぽなんだよね」
「ええ、そうですわ。今現在の状況では、物資補給のために近くの惑星に立ち寄ることもままならない。危険ですものね。かといって、このままでは物資がつきてしまう――」

 こくこく、とミルフィーユが律儀に肯く。

「補給を受けられないということは、消耗品を補充できない、ということです。さて、フォルテさん特有の消耗品とはなんでしょう?」
「う~~~ん………、あっ、もしかして、射撃の弾?」
「ええ、おそらく」
「フォルテさん、銃を撃ちたくて撃ちたくて仕方ないんだね、きっと……」
「ええ……」

get mixed up (頭が混乱する)

2006年01月07日 | 少年陰陽師
「…………………」

 問題をじっと見つめる。
 更に見つめる。わからない。
 教科書に目をやって、読む。問題集に戻る。やっぱりわからない。
 直線Pと直線Tがこうだからああで、それで――

「彰子、どうした? 眉間に皺が出来てるよ」

 声をかけられて、彰子ははっとなって顔を上げた。
 テーブルの向かいの昌浩がこちらを見ている。

「うん、ちょっと、図形問題がわからなくて……」
「図形? どれどれ……、ああ、これは俺も最初判らなかったなー」
「頭こんがらがっちゃって……もう、ねじれとかわかんない」

 男は空間を把握するのが得意なのだという。
 ならば女の自分に判るわけがない、と彰子は思うのだが、結局は言い訳にすぎない。
 昌浩が説明し始めたので、大人しく聞くことにした。



すいません、ねじれとかがわかんないのは未森です(爆)

初夢

2006年01月02日 | スレイヤーズ
『リナ』

 あたしを呼ぶ声。
 近いようで遠い、ガウリイがあたしを呼んでいる。

『――リナ』

 振り返った先に、探していた姿。
 いつになく、真剣な表情。
 じっと、あたしを見ている。

『――リナ、オレと――』


 ――――――というところで、目が覚めた。

 ぼうっと見つめる先には見慣れた天井。
 あたしの部屋。

「……オレと、何よ?」

 呟いた言葉に、誰も答えるものはなかった。