徒然なるままに。

徒然に小話を載せたり載せなかったり。

get on one's nerves (人を苛々させる)

2006年01月12日 | G.A.
 フォルテ・シュトーレン。
 ≪白き月≫の月の聖母の特殊部隊であるムーン・エンジェル隊の(一応)リーダーで、隊の中では唯一の中尉。
 趣味は火器コレクション、それが高じた射撃。
 さっぱりしていて細かいことにはこだわらない姉御肌。エンジェル隊一のプロフェッショナル――――

「あ゛~~ッ、苛々するー!」

 先程からずっと貧乏揺すりをしていたフォルテがいきなり立ち上がって叫んだのを見やって、ミルフィーユとミントは互いに顔を見合わせた。
 とうとう部屋を周回しはじめたフォルテを見やって、ミルフィーユが心配そうに呟く。

「……どうしたんだろう、フォルテさん」
「今のフォルテさんには、あまり近づかない方が身のためですわね」
「どうして?」

 小首を傾げて訊ねると、ミントははぁ、と悲しげに頬に手をやって、

「ミルフィーさん、今このエルシオールは物資が圧倒的に足りていないということは判っていますわよね?」
「うん、だから食堂でお代わりが出来なくなったし、シャワーも制限がかかったし、宇宙コンビニの在庫が空っぽなんだよね」
「ええ、そうですわ。今現在の状況では、物資補給のために近くの惑星に立ち寄ることもままならない。危険ですものね。かといって、このままでは物資がつきてしまう――」

 こくこく、とミルフィーユが律儀に肯く。

「補給を受けられないということは、消耗品を補充できない、ということです。さて、フォルテさん特有の消耗品とはなんでしょう?」
「う~~~ん………、あっ、もしかして、射撃の弾?」
「ええ、おそらく」
「フォルテさん、銃を撃ちたくて撃ちたくて仕方ないんだね、きっと……」
「ええ……」