麦倉ナオトには8歳年下の恋人がいる。
しかもつい先日までナオトが担任していたクラスの委員長で、ナオトの下宿先の一人娘で、さらにはいわゆる許嫁とゆーカンケイである。
そういうわけで、2人は自分たちのカンケイをひた隠しにしてきた。
しかし先日、とうとうノリミが高校を卒業した。
≪教師と教え子≫から、≪教師と元・教え子≫になったのである。
とりあえずこれで一段落だねと、2人で胸をなで下ろしたのは、ついこの間のことだ。
それはまあ、いい。
いくら教師だからとはいえ、ナオトだって健康な成人男子だ。ノリミも、普通の女の子だ。
キスをしたことは、ある。とりあえず両手の指の数以上には。
それもまあ、いい。……と思いたい。
けれども2人は、まだ、そこまでだ。
ナオトとしては、まあ、ゆっくりと進んで(笑)いきたいなあと、思っている今日この頃なのだが。
突然だが、ナオトは自室の入り口で固まっていた。
肩にはタオル、少し長めの髪は濡れている。風呂上がりである。いい湯加減だった。……いやいやそうではなくて。
ナオトは困惑気味に頬を掻いた。
開けっ放しのドアを何となく気にしてみる。ノリミのおばあちゃんは居間でテレビを観ている。
視線を部屋の中に戻す。見た光景が見間違いではないことを確認して、ナオトはその場にしゃがみ込んだ。
「~~~~~ノリミちゃん………」
風呂から帰ってきてみれば、ノリミがいた。それはまあ、いい。彼女はしょっちゅう遊びに来る。
それはいいのだが、人がいない間に仮にも男の部屋で寝ているというのは、それはちょっとどうなのだろうか。
なんだか自分が情けなくなってきたナオトである。
人の気も知らないノリミは、星柄のクッションを膝に抱きベッドに寄りかかって、健やかに目蓋を閉じて寝息なんぞを立てている。実に平和な光景だ。これがナオトの部屋でなければもっと良かった。
……いっそのこと、襲ってやろうか?
一瞬魔が差し掛けるが、いやいやと首を振る。ゆっくりやっていきたい、などと考えていたのはどこのどいつだ。もちろん自分である。まあ、ノリミのおばあちゃんは大いに喜ぶに違いないが。
ひとつ、大きく息をつく。
とりあえず、この鈍感娘を起こして、それから説教だ。
ナオトは立ち上がり、苦笑した。
もちろん、寝顔も可愛いなあ、とか思ってしまった自分にである。
しかもつい先日までナオトが担任していたクラスの委員長で、ナオトの下宿先の一人娘で、さらにはいわゆる許嫁とゆーカンケイである。
そういうわけで、2人は自分たちのカンケイをひた隠しにしてきた。
しかし先日、とうとうノリミが高校を卒業した。
≪教師と教え子≫から、≪教師と元・教え子≫になったのである。
とりあえずこれで一段落だねと、2人で胸をなで下ろしたのは、ついこの間のことだ。
それはまあ、いい。
いくら教師だからとはいえ、ナオトだって健康な成人男子だ。ノリミも、普通の女の子だ。
キスをしたことは、ある。とりあえず両手の指の数以上には。
それもまあ、いい。……と思いたい。
けれども2人は、まだ、そこまでだ。
ナオトとしては、まあ、ゆっくりと進んで(笑)いきたいなあと、思っている今日この頃なのだが。
突然だが、ナオトは自室の入り口で固まっていた。
肩にはタオル、少し長めの髪は濡れている。風呂上がりである。いい湯加減だった。……いやいやそうではなくて。
ナオトは困惑気味に頬を掻いた。
開けっ放しのドアを何となく気にしてみる。ノリミのおばあちゃんは居間でテレビを観ている。
視線を部屋の中に戻す。見た光景が見間違いではないことを確認して、ナオトはその場にしゃがみ込んだ。
「~~~~~ノリミちゃん………」
風呂から帰ってきてみれば、ノリミがいた。それはまあ、いい。彼女はしょっちゅう遊びに来る。
それはいいのだが、人がいない間に仮にも男の部屋で寝ているというのは、それはちょっとどうなのだろうか。
なんだか自分が情けなくなってきたナオトである。
人の気も知らないノリミは、星柄のクッションを膝に抱きベッドに寄りかかって、健やかに目蓋を閉じて寝息なんぞを立てている。実に平和な光景だ。これがナオトの部屋でなければもっと良かった。
……いっそのこと、襲ってやろうか?
一瞬魔が差し掛けるが、いやいやと首を振る。ゆっくりやっていきたい、などと考えていたのはどこのどいつだ。もちろん自分である。まあ、ノリミのおばあちゃんは大いに喜ぶに違いないが。
ひとつ、大きく息をつく。
とりあえず、この鈍感娘を起こして、それから説教だ。
ナオトは立ち上がり、苦笑した。
もちろん、寝顔も可愛いなあ、とか思ってしまった自分にである。
麦倉×ノリミ@星座シリーズ/日向章一郎