徒然なるままに。

徒然に小話を載せたり載せなかったり。

Jealousy

2008年01月26日 | 影の王国
 人見の巫女と神殿の女戦士というのは、特別な関係だ。
 巫女は女戦士をとても頼りにするし、女戦士は巫女を何よりも大切に思い、守ろうとする。
 そしてその間は、固い絆で結ばれている。
 かつて、瞳の母連理と、自分の母カヤティーザがそうであったように。

 それは判っている。

 判っているのだが。

 ……ちょっと、なんかこう、仲が良すぎはしないだろうか。


 瞳の斜め後ろを歩いていたアルマデティアが、段差に体勢を崩した瞳の腰と腕をさっと支えた。アルマを見上げて瞳はにっこり笑う。

「マーリ……瞳、気をつけて」
「ありがとう、アルマ」

 月哉の出番はまったくない。
 美少女の瞳と、美しく凛々しい女戦士アルマデティア。
 その2人が寄り添い、睦まじく笑う姿はさながら絵画のよう。
 そのバックには花が散っているような気すらする。

 だがしかし。

「月哉? どうかした?」
「……なんでもないよ」

 ……それは、お姫様と王子様、もしくはお姫様と騎士のようで。
 ある意味それは間違ってはいないのだけど。

 一応僕は王子様なんだけどな、という思いは、口に飲み込んだ。