ところが、その学生さんは当時、理科2類に通う学生さんで、たまたま病院見学で血液内科を回った際に患者・家族と話したことがキッカケで、医者になろうと決意し、猛勉強し、狭き門をくぐって医学部へ進学したことを、最近知りました。
ご縁とは不思議なものです。一昨日、訪ねたS教授の研究室に、あのときの学生さん(Y先生)がいらっしゃったのです。今は血液学分野の基礎研究者として、この春からは米国へ留学するそうです。
昨年、S教授の研究室を訪ねた私を見かけて、「どこかで会ったことがあるなぁー」と思われ、私のことを尋ねたそうです。東大病院で移植した患者の姉でミスマッチドナー、主治医の名前を聞いたY先生は、あのときの家族(ドナー)が私だったと記憶が繋がったとのこと。
『自分が医者になるきっかけになった、人生を変えた人』と言ってくれ、一昨日も、「あのときのドナーが私だったと知った時、感動して鳥肌が立ちました!」と話してくれました。私も感動でウルウルしてしまいました。
あの時、弟と私は笑顔でY先生と話したそうです。かなり厳しい状況ではありましたが。その時のことを、Y先生はよく覚えてくださっていました。
医師になろうと思い直して、医学部へ進学してくれて、本当に嬉しい!私たちがキッカケになったなんで、患者家族として、こんなに嬉しいことはありません。患者冥利に尽きるというものでしょう。
S教授はおっしゃいました。「大きな決断というものは、偉い人から言われたり、教育の場などでできるものではなく、多くが人との出会いや、小さな気づきや感動がキッカケだったりする。でも、それは沢山の偶然が積み重なった状況でおこるものだよ」と。
S教授は、私が小さな勉強会を始めたとき、大きなバックアップをしてくださった先生です。
週末の勉強会のために、ラボのミーティングルームを貸してくださり、患者が学ぶことは大切だと支えてくださいました。そのS教授のもとでY先生が研究をしていらしたなんて、、、この偶然は、「ご縁」としかいいようがありません。
そして、この奇跡のような「ご縁」の細い糸を繋いでくれたのは、E子先生です。
E子先生は弟の闘病時に病院にいらしたドクターで、その後、S教授のもとで研究をされていたのです。
(S教授のところへ伺った後、E子先生とのランチをご一緒させていただくのが大きな楽しみでした・・・☆)
Y先生が医師になった理由は、E子先生もご存知だったそうですが、その患者とドナーが、まさか私と弟だったとは、想像もされていなかったのでしょう、非常に驚かれたそうです。私もE子先生からこのことを知らせるメッセージを読んだ時の感動は、なんとも言葉では表現できません。
これも、あれも、振り返ると、み~んな「すてきなご縁」で結ばれています。
残念なこと、悔しいことを、絶対に「負のこと」だけで終らせない。ピンチはチャンス!をモットーに、これからも背筋をのばして日々過ごしていこうと、改めて思っています。