ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

人権擁護法案と外国人参政権法案を同時に審議させることの意味

2008年02月17日 | 外国人の人権
 外国人参政権法案と並ぶ稀代の悪法である「人権擁護法案」の法制化に向けた動きが、参院選での自民党敗退、安倍内閣退陣によってか、俄かに活発になっている。そこで今回は、人権擁護法案と外国人参政権法案を同時進行で論じることの「裏の思惑」を、勝手に邪推してみる。

 いわずもがな、人権擁護法案で問題となっている点のひとつが、人権擁護委員に国籍条項が存在しない、というものである。人権擁護委員という機関自体は、人権擁護委員法という、今から約60年近く前に制定された法律によって既に存在しているが、この人権擁護委員就任要件のひとつに、「市町村の議会の議員の選挙権を有する住民」(人権擁護委員法6条3項)という規定があるのはご存知だろうか。つまり、地方議会の選挙権を有していない者は、人権擁護委員になれないというのが、今の法律上の決まりなのだ。

 もう賢明な方ならばお分かりいただけるだろうが、外国人参政権法案による選挙権の付与範囲は地方議会の選挙権である。ということは、外国人参政権法案と人権擁護法案を同時進行で進めて、外国人参政権法案が成立すれば、人権擁護法案が成立したのと同時に既存の人権擁護委員法6条3項の要件も満たせるということだ。

 換言すれば、仮に人権擁護法案が廃案になっても、同法案よりは批判が強くない外国人参政権法案だけでも成立させられれば(両法案どちらが成立可能性が高いかを考えると、外国人参政権法案の方が、メディア規制条項など、左右マスコミから総スカンを喰らうようなものもないので、成立させ易いと思う)、既存の人権擁護委員法の規定に基づいて人権擁護委員に外国人を就任させることは可能となってしまう。

 こうなれば、外国人参政権法案が成立した後に、人権擁護法案の国籍条項の危険性を訴えても、もはや人権擁護委員に外国人が就任できる要件が揃ってしまった以上、無駄ということにもなりかねない(人権擁護法案における人権委員に国籍条件が欠けていても、これを是認したとみなされてしまう)。いわば、外堀を埋められて既成事実を作られるようなものだ。

 外国人参政権法案と人権擁護法案は決して別ものではない。どちらも一蓮托生の稀代の悪法である。反対派は是非このことにも注意を払って欲しい。

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