ひとり井戸端会議

主に政治・社会・法に関する話題を自分の視点から考察していきます。

請願権を行使すればいい

2008年02月17日 | 外国人の人権
 これまで外国人参政権について、憲法上の問題点、付与対象のいかがわしさ、そして推進派の裏事情を書いてきたが、今回は、実は既に憲法上、外国人も政治に参加する手立ては「請願権」という権利によって保障されている、ということを明らかにする。

 請願権について憲法16条は、「何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別的待遇も受けない」と規定している。「何人も」と規定してあることからも分かるように、請願権は日本人のみならず、外国人であってもその行使は許されるとされる(なお、未成年者も請願権を行使できる)。
 
 請願権とは、地方公共団体を含む国家機関に対し、要望や苦情を述べる権利である。請願権は関係機関を拘束する力はないが、請願を受けた機関は、請願を受理し、誠実に処理する義務を負うとされている。
 請願権の行使としての請願署名の紹介件数は、2002年の当時の数字ではあるが、年間約6000万人以上にのぼるという(ちなみに共産党がトップの件数を誇る)。その内訳に外国人がどれだけ含まれているかは定かではないが、まず間違いなくこの中に外国人が含まれていると考えて差し支えないだろう。

 請願の処理の仕方は、請願法で定められた規定をクリアし、適法な請願の要件を満たしていれば、国会の各議院や地方議会は請願を審査し、採択をし、執行機関が措置をすることがよしと認められれば、これを執行機関に送付することになっている。

 しばしば外国人参政権推進派は、「政治に外国人の声も届けるべきだ」と主張しているように思われるが、もう既に請願権という、憲法上保障された権利によって、外国人であっても、自身の主張を政治の場に反映させるための権利は確保されている。このように、外国人参政権を導入しなくとも、請願権を通じて政治に参画する権利はある。ゆえに請願権は参政権の一種と理解されている。

 政治の場に、自分たちが直接選んだ人間を送り込む選挙権と、既に選挙された人間に対し物申すだけの請願権とは、そもそもその性質が違うと指摘されるかもしれないが、全く外国人が日本の、しかも地方政治でさえも口をさしはさむことは許さないとされているわけではなく、一定の範囲で政治に参画し、意見を言う機会が確保されている以上、外国人の参政権を認める必要はなおのことないと思う。
 
 選挙権とは、その国に所属している国民のみが行使を許された、外国人には認められない特権であると思う。しかし、外国人であっても日本国内に居住する以上、何らかのかたちで政治の影響を受けるのだから、物申すことぐらいは許されたっていい。そこで、この両者のバランスを取るのに請願権が一役買っている。私はこう理解している。

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