今週のNEWSWEEK(日本版)の表紙は「2006年世界のキーパーソン」でした。そして写真は安倍官房長官のアップ。確かに次期総理大臣候補ということで日本のキーパーソンかもしれません。しかし、日本人は「親の七光り」などと言いつつ、「2世」や「プリンス」という響きに弱いようで、安倍官房長官個人の政治的な資質などよりも、その「血筋」に安心感と期待感をもつようです。ただし、大企業などでもよくありますが、創業者一族があまり大きな顔をしすぎると、業績が傾いたり取締役会での反乱がおこったりするので、適宜外部の「血」を入れて、しばらく経ったら「プリンス」に禅譲などというストーリーが好まれるようです。
イギリスのキーパーソンとして、ブラウン財務相があげられていました。「ブレア(首相)の忠実な「見習い」に徹して禅譲の日を待っている」などという記事を見ると、なにやら「小泉=ブレア」「安倍=ブラウン」という相似形が浮かび、同じ島国であるイギリスとの政治的な雰囲気の共通性を感じてしまいます。ただしブラウン財務相は牧師の家庭に育った、元ラグビー選手ということで、イギリスの「質実剛健」を体現しているところが、安倍官房長官とは違っています。イギリスの総理大臣は下院(庶民院)の与党の党首がなることになっており、上院(貴族院)の議員は総理大臣になれないことになっています。「ノブリス・オブリージュ(貴族の義務:尊敬を受けるエリートほど、社会や戦場でも先頭に立つ義務がある)」が有名ですが、イギリス貴族が政治には向いていないということなのかどうか、そのへんの政治風土はよくわかりません。
そのほかのキーパーソンは政治家から大企業の次期CEO、学者やデザイナー、アスリートまで幅広く採り上げられています。日本人としては安倍官房長官のほかに、金城武、宮里藍がピックアップされていました。
もう一つ注目した記事は「2005年の傑作・駄作を総まくり」というもので、2005年の映画のトップ10、ワースト5、最も輝いた男優・女優ベスト5が発表されていました。しかし制作に大金をかけたハリウッド大作を素直に喜ぶ映画鑑賞オンチの私には「必見!トップ10」にあげられたタイトルはほとんど印象に残らないものでした。評者によると、2005年は「ダークな作品が揃った年」だそうで、コメディーや歴史大作が好きな私の好みとは合わなかったようです。映画などは、世相を反映した作品が印象に残りがちですが、やはり昨年は何かとダークな一年だったようです。