白狐のお導き

本日は、前回投稿した写真に関する、ベルリンでの出会いのお話をひとつ。

ベルリンは“トレプトー”という場所にある森です。
その森はトレプトーパークという、とても大きな公園のもっと奧にありました。

秋のある朝、撮影場所を探しにトレプトーパークに行き、大体の目安をつけ、帰ろうとしたとき、
まだ薄暗い景色の中で、白い生き物が森の中に入って行くのが見えました。
あれはもしや、、、そうです！
ベルリンでは「キツネ」に出会えるというのを聞いていましたが、実際出会ったのは
これが初めてだったので、私は追いかけてみることにしました。

一度は見失いましたが、ずんずんと暗い森に入って行くと、いました、トコトコと走るキツネ。
私がじっと見ていると、キツネの方もじっとこちらを見て止まる。
しかしまたすぐ走り出し、見失ってしまった。
そして更に森に入って行く。
またいた！　目が合う。そしてまた行ってしまった。
ふと現れては消え、また全然違う場所から現れる白狐。

しばらくして、やっと昇った朝日が細かくこぼれる森の中、再び勢い良く走っている狐が見えました。
今度は朝日を受けて銀色に光っています。

もう追いかけなくて良い気がしました。

そして陽が昇りきったそのとき、秋に彩られたこの森の全貌が。
素晴らしい場所！
ここを撮影場所に決めました。

白狐さん、ありがとう。



[Futatabi] 写真:土方雅哉
video
http://youtu.be/rXVAc08fzqk