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読書と映画とガーデニング

読書&映画&ガーデニング&落語&野球などなど、毎日アクティブに楽しく暮らしたいですね!

沢村凜「カタブツ」

2010年04月14日 | さ行の作家
主人公は堅物と呼ばれる人種 自分が決めたルールを頑なに守ろうとする どこにでもいそうな普通の人々 「バクのみた夢」 互いに既婚者でありながら出会ってしまった二人 真面目に将来を考える二人のとる行動がありそうでなさそうな、でもあり得るかもと思ってしまう 「袋のカンガルー」 世話の焼ける双子の妹に振り回される兄 恋人が出来ても邪魔されて長続きしない 今度こそ、妹より恋人だ、と心を決めて玄関を出 . . . 本文を読む

青来有一「てれんぱれん」

2010年04月06日 | さ行の作家
てれんぱれん 九州の北の方や山口で使われている言葉 なんとなくぶらぶらと過ごして怠けている人を非難するときによく使われるそうです 1枚20円のニラ焼きを焼いて生計を支える母 いつも母に「てれんぱれんせんと!」と叱られていた父 そんな両親と過ごした町に40年ぶりに戻ってきた「よっちゃん」 よっちゃんと父の秘密 それは「てれんぱれんさん」が見えること 父は小学生くらいの年齢で被爆した後「てれんぱ . . . 本文を読む

佐藤亜紀「激しく、速やかな死」

2010年04月03日 | さ行の作家
中世ヨーロッパを舞台にした短編集 当時のヨーロッパの歴史に詳しければ詳しいほど楽しめるでしょう 「荒地」 これ1編のみ舞台は新大陸アメリカへ亡命した男の話 どの時代でもどこにでも夢のような儲け話を持ち込む輩がいるようで… 「フリードリヒ・Sのドナウへの旅」 純粋に自国をナポレオンから解放する、という目的だけでナポレオン暗殺を企てた若者 「1809」にチラッとこんな若者が登場しなかったっけ? . . . 本文を読む

佐伯一麦「あんちゃん、おやすみ」

2010年03月11日 | さ行の作家
小品47編 男の子には突破しなければならない関門がある 一人寝 おつかい メンコ勝負 補助なし自転車 クロールでの25メートル 親友との喧嘩 淡すぎる恋 同じ一瞬などない 日々脱皮していく少年というはかなくも美しい季節を叙情豊かに紡ぐ 表題作「あんちゃん、おやすみ」 初めての一人寝の夜 襖の向うのあんちゃんに「おやすみ」と声を掛けたらイビキが聞こえてきた 微笑ましいですね 「クロール」 . . . 本文を読む

沢村凜「ヤンのいた島」

2010年02月23日 | さ行の作家
最初の1頁で 池澤夏樹「マシアス・ギリの失脚」を思い浮かべます マシアス同様、南の海に浮かぶ島の開発問題、先住民問題、環境問題を取り上げていますが マシアス以上にファンタジックです 想像上の生物・ダンボハナアルキが生息しているといわれているZ国イシャナイ島に生物調査に来た主人公の瞳子 「ダンボハナアルキはいる。ダンボハナアルキは実在する。ダンボハナアルキは棲息している」でなければここまで来た意味 . . . 本文を読む

白石一文「この胸に深々と突き刺さる矢を抜け」

2010年02月09日 | さ行の作家
白石ワールド 人に薦められる? ごく限られた人にしか薦められない 例えば、私の生き様をうんと近くで見てきた人とか、同じ苦しみを体験をした人とか 主人公は週刊誌の編集長カワバタ 政治経済 宗教 病気 家族、愛人 カワバタの周辺の問題をカワバタの言葉と様々な分野の著名人の言葉、著作からの引用で読ませる 上下巻で610頁を一気読みでした 僕は自分の必然に従って生きていくんだ 必然?何それ 要 . . . 本文を読む

沢村凜「脇役スタンド・バイ・ミー」

2010年01月24日 | さ行の作家
再読必至の連作ミステリー! 第一話から第六話、そして最終話 連作?? 第三話でやっと、市民の話を真摯に聞き事件の解決に導いてくれる警察署の親切な人「脇田さん」がストーリーの鍵を握ることに気付く 最終章で第一話から第六話までの「主人公」が勢揃い 脇田さんについて話し合う いつもは主人公のあなたも、他人の人生では脇役 傍らに立ち手を差し伸べるか、あるいは… 題名の「脇役スタンド・バイ・ミー」は . . . 本文を読む

島田雅彦「徒然王子」

2010年01月12日 | さ行の作家
ユーラシア大陸の東の際の日昇るところ、太平洋が果てる西の際の日沈むところ 一人の悩める王子がいた テツヒト王子は神話の時代から続く王家の末裔だが首都の森の邸に半ば幽閉状態で暮らしていた 権力者たちからはないがしろにされ、国民からは、いてもいなくても同じといわれ、妃も恋人もおらず、前例を踏襲するだけの日常に甘んじていた 誰にも意味を理解出来ない儀式を行い、外国からの賓客を接待するのが王子の主な仕事 . . . 本文を読む

斉藤茂太「「捨てる」「片づける」で人生が楽になる」

2009年12月17日 | さ行の作家
人とモノの腐れ縁を断つ あれこれ溜めると心はグズになるのだ 簡単に言えば 『足るを知りなさい』ということです 欲張りもケチも『足るを知らな過ぎ』なのだそうです 不要なモノ、思い入れのないモノは捨てる →ストレスが軽減される 捨てることをもったいないとは思わない →モノを大切にする心が養われる もったいないと思ってあれもこれも自分で処理しようとするのは無理ですよね 理想論に陥って逆にストレス . . . 本文を読む

佐藤亜紀「1809 ナポレオン暗殺」

2009年12月10日 | さ行の作家
1809年 ナポレオンの欧州支配の極点の時代 仏軍工兵隊のパスキ大尉はオーストリア宮廷の異端児ウストリツキ公爵と出会い、ナポレオン暗殺の陰謀に巻き込まれていく 佐藤亜紀さんに書かせると ナポレオンは 青白くむくんだ小男 おそろしくひ弱な、ちっぽけな、指の先でひねり潰してやることもできそうな男 要人暗殺というと フレデリック・フォーサイスの「ジャッカルの日」を思い出します プロの暗殺者ジャッカ . . . 本文を読む

白石一文「この世の全部を敵に回して」

2009年10月26日 | さ行の作家
白石さんが考えていることを、とにかく全部ぶつけたもの 白石さんの作品を読んだことの無い人には薦められません 御自身、20歳前後の若い人に読んでもらいたい、と書かれています 若い読者のうち何パーセントが白石さんの『死生観』を読み取ることが出来るのか これを理解出来るか出来ないか それは、さておき 小説家・白石一文の今後が楽しみです . . . 本文を読む

佐伯一麦「川筋物語」

2009年10月10日 | さ行の作家
佐伯さんの故郷・仙台の山や川 その風土、歴史、伝承を描いた連作集 まるで仙台周辺の自然を満喫する旅をしたような気分 東京方面から東北新幹線に乗って下って来ると、仙台駅に着く手前で、まず名取川を渡った辺りから、向かって左側の車窓の前方に、小高い山の上に三本のテレビ塔が横並びに林立しているのが遠目に見えてくる 降車の準備を促す社内アナウンスが流れてくるのもその頃だ ふぅ~ん そうなんだ 「鉄塔 . . . 本文を読む

佐伯一麦「ピロティ」

2009年10月09日 | さ行の作家
あとがきより 20代で、首都圏で電気工として働いていた頃、修理に訪れた団地やマンションで多くの管理人さんとの出会いがあった 現代の都市生活を黒子役に徹して支える、そんな管理人の姿をいつか小説で描いてみたいと思い続けてきた 本作に出てくる主人公は、それらの管理人さんたちの総体ともいえる 舞台はおそらく仙台、ピロティを持つマンション マンション(現代の長屋)の管理人(長屋の大家)・山根が膝を悪くし . . . 本文を読む

白石一文「心に龍をちりばめて」

2009年09月21日 | さ行の作家
私の胸の奥底に野蛮な龍が棲んでいる 美貌の女と二人の男 三人の秘密が交錯するとき、封印したはずの過去が動き始める ドラマティックの頂点を極めた書き下ろし長編 帯の過激な文とは裏腹 読んでみれば白石さんにしては穏やかな部類に入るのでは? 今までの作品に見られた死生観・哲学観 生きるとは?死ぬとは? 生きる方向に暖かさ柔らかさが感じられます 登場人物は例の如く 秀才で美人・美帆 年収2000万 . . . 本文を読む

白石一文「私という運命について」

2008年11月19日 | さ行の作家
主人公・冬木亜紀の29歳から40歳直前までの、女として揺れる10年を描いています 恋・別れ・義妹の死・仕事・結婚・出産 白石カラーは出ていますが、随分ソフトだし、読み易かったなぁ 解説を読んで納得 自分の考えを打ち出す小説こそが読者をひきつけるという確信をもってやってきた 一方で、読者を選んでしまう部分もあった だから、今回は、より多くの読者に親しんでもらう作品を書いてみた 通勤電車や寝る前に . . . 本文を読む