★ベルの徒然なるままに★

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映画『オーケストラ!』

2010年06月16日 | 映画鑑賞記
今日は、先週見てきた、映画『オーケストラ!』の感想を。

この映画、ずっと気になっていたのですが、なかなか行く機会がなくって(>_<)
上映最終日・・・既に、1日1上映になってたのですが、ギリギリ行けました~。

もう、すっごく良くって!!!
見に行って良かった~~~~♪♪
クラシック好きな人には、オススメですよぉ。

因みに、私、この日は、最後の1枚になってしまった『のだめ 最終楽章 後編』の前売りを使うべく、「のだめ」も見に行ってたのですよね。
なので。
「のだめ」→「オーケストラ!」と、2本ほど、映画をハシゴ。
なんか、クラシック三昧な映画鑑賞になっちゃったのでした(*^^*)


という訳で。
『オーケストラ!』、物語ですが。

ロシア・ボリジョイ交響楽団で、劇場清掃員をしているアンドレイ。
彼は、30年前までは、この楽団で、天才指揮者と呼ばれ、名声を得ていた人物なのです。
しかし、1980年・・・共産主義時代の元、この楽団から多くのユダヤ人演奏家が連行され、それに反対したアンドレイは指揮者を解雇されるのでした。
以降、タクトを持つことを許されず、30年間、劇場清掃夫として働いていたのです。

そんな彼が、ある日の掃除中。
パリのシャトレ座から送られてきた出演依頼のFAXを見付けます。
その依頼FAXを見た彼は、偽のオーケストラを結成し、ボリジョイ交響楽団になりすましてパリで演奏することを思いつきます。
依頼のFAXを盗み、自分同様、今は落ちぶれた生活を送っているかつての仲間の元を訪ね、再び、ステージに立つ夢に向かって動き始めるのでした。

かくして。
救急車の運転手、引っ越し屋、ポルノ映画の音響屋、タクシー運転手、蚤の市業者、博物館の監視員・・・・・・などなど。
当時、自分と一緒に解雇され、今は、さまざまな職業に就いている、かつての仲間が集まり・・・・寄せ集めのオーケストラを結成!

そして、偽造パスポートで、乗り込んだフランス。

演奏曲は、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。

この曲のソリストとして、アンドレイが指名したのは、世界的に活躍する、若手天才ヴァイオリニスト、アンヌ・マリー。

なぜ、彼が、彼女を指名したのか? そこには、30年前の悲劇に纏わる秘密があるのでした。


かつては、天才指揮者の元、輝かしい業績を収めていた演奏家達。
しかし、長いブランク、抑圧され荒んだ生活により、今や、音楽に対する情熱も失われ・・・・・・。

そんな中、開く幕・・・・・・。
果たして、寄せ集めの楽団に奇跡は起こせるのか!?



クラシック音楽が大好きな人は、もちろんですが、そうでない人も、すごく楽しめる映画だと思います。

今は、劇場清掃員をしている、かつての天才指揮者が、偽の楽団を作ってオーケストラを結成! 再び、ステージに立つ夢を見る・・・という。
なんとも、ハチャメチャな設定の通り、物語前半は、笑えるユーモラスなシーンも多かったです。

今は、さまざまな職業に就き、音楽とは無縁の生活を送っている、かつての演奏家仲間達・・・。
時に、ブッ飛んだ発言をしたり、無茶をしたり、なにより、偽造パスポート60人分とか!!!!
やってること、犯罪が多いです。
つか、ボリジョイ楽団になりすまそう~という段階で、犯罪ですがなA^^;;
本当に、ユーモラスで笑えます。
でも、その笑える中にも、なぜ彼らが、現在、こういう状況下にいるのか?
本来なら、演奏家として音楽と共にある人生を歩んでいただろうに・・・・・・と思わせるシーンも多く。
笑えるのですが、でも、その裏には、過去の悲しみが見え隠れし。
笑えるんだけど、どこか切ない・・・。
そんな気持ちになりました。

そして、後半。

前半のユーモラスなテイストも、若干残しつつ、物語は一気に、シリアスな展開を見せます。

まず、あの(?)とんでもない、楽団員達!!!
真面目に演奏をするのかと思いきや・・・。
彼らの本音は、アンドレイの音楽に対する情熱とは裏腹で。
別に、オーケストラ再結成などどうでもよかったのです。
要は、抑圧された生活から逃げ出し、自由とお金を謳歌したかっただけなのですよね。
その為、ギャラを前払いで貰った瞬間、姿をくらまし・・・リハーサルに出る人間は、たった数名。

それだけでも、危機的状況なのに、アンドレイがソリストにと指名した、天才ヴァイオリニスト、アンヌ・マリーの出生の秘密と、30年前の事件の因縁も、絡んできます。

・・・っていうか。
私、てっきり、アンドレイとアンヌ・マリーは、親子なんだとばかり思っていました。
・・・・・・・ここは、見事に、ミスリードに騙されちゃいましたね。
でも、最後に明かされる真実はというと。
ミスリードで、私が想像していた安っぽい展開とは全然違って・・・。とても重く、哀しく、衝撃的な展開で・・・言葉もなかったです。
1980年と言えば、ホント、つい30年前じゃないですか?
そんな、言ってみれば、「最近」な時代に、あんな圧政が、人種差別があったなんて。
ソ連の歴史や政治などについて、全然詳しくない私は、ショッキングなエピソードでした。

そして、音楽に対する情熱すら無くしていた、演奏家達が。
アンヌ・マリーの出生に纏わる真実を知り、再び、演奏家としての情熱を持ってステージに立つシーンは感動的でした。

映画のラスト、15分くらいに渡って演奏されるチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲ニ長調のシーンは、物凄く圧巻!!!!!

っていうか。
演奏冒頭は、かな~り、酷い演奏・・・。
「のだめ」の千秋の、ボロボレロもビックリ!?かも知れません(笑)
つか、ボロボレロは、それぞれのソロパートの問題でしたが、こっちは、全体の演奏が、ドド~ンと酷かったので。
それは、別の意味で、インパクトが・・・(笑)
でも。
演奏家達が、徐々に、かつての感覚・情熱を取り戻し、素晴らしい演奏に発展していくのですよね。
それは、ちょっと、ご都合主義かもしれませんが。
でもでも!
元々、ハチャメチャな設定の物語な訳ですから。
もう、全然OK、無問題です。寧ろ、凄く感動的でした。

まさに、「奇跡の演奏」という感じで。

30年前。
政府の圧政により、演奏途中でタクトを取り上げられ、そのタクトを折られた指揮者。そして、演奏家達。

そのときの演奏が、チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲だったわけで。
30年の時を経て、再演された演奏は、美しく輝いていました。
彼らの大成功シーンは、見ていて、スカっとしますね。
うん。
長い間、彼らを抑圧していたものにたいして、「ざまぁみろ!」的な感じで(^^)b

本当に、成功して良かった良かった。
真の芸術は、絶対に、何者にも干渉されてはいけないのですよ、うん。
そう思いました。


また、クラシックをモチーフにした映画らしく、全編、たくさんの音楽に彩られた映画です。

音楽好きはもちろんのこと、たくさんの人に見て欲しい作品だと思いました。