★ベルの徒然なるままに★

映画、ゲーム、アニメ、小説、漫画・・・管理人ベルの、大好きな物をいっぱい集めた徒然日記です。

映画『かいじゅうたちのいるところ』

2010年01月20日 | 映画鑑賞記
少し前に見てきた映画の感想です。
『かいじゅうたちのいるところ』(^^)b

そういえば、この映画、予告編を見たときから、怪獣が着ぐるみチックだなぁ~と気になっていたのですが・・・。これって、CGじゃなくて、着ぐるみですよね、よね!? ほとんど前知識無く見て、パンフレットも購入していないので、分からないのですが・・・あれは、CGじゃなくて、見たまんまの着ぐるみだと思うのですが。
でも、その怪獣が、なんとも、愛らしかったです。(時に怖いけど・笑)

という訳で。
ストーリーは、というと。

8歳の少年、マックスは、日常生活に色々と孤独と不満を抱えていました。
ティーンエイジャーの姉は、同級生の友達とばかり遊んでいて、自分とは遊んでくれない。
お母さんは、仕事と家事でいっぱいいっぱいで、少々お疲れ気味。
マックスのことを、「王様」と呼んでくれた父親は、母と離婚して居ません・・・。
しかも、お母さんには交際中の恋人がいて、家にも訪ねてくる関係。
彼女は、恋人が居ると、恋人とばかり甘い雰囲気になって、益々、マックスを構ってくれない・・・。

そして、とうとう、大爆発したマックスは、お母さんに噛みついて、大反抗! 大喧嘩になってしまいます。

家を飛び出したマックスは、独り、走って森を抜け・・・。
川辺に停まっていたボートに乗り込み、こぎ出します。
やがて、ボートは大海に出て、海を渡ること・・・延々と。
あてのない海でボートをこぎ続ける彼は、一つの島にたどり着き、上陸します。

すると!
そこは、なんと、怪獣達の住む島!!
森があって、砂漠があって、海がある、不思議な見たことのない光景。
見たこともない、生き物・・・怪獣達。

マックスは、その怪獣達と仲良くなり、「自分は王様だ!」と名乗ります。新たな王様の登場に大喜びする怪獣達。
マックスは、怪獣達の島で、彼らと共に、楽しく遊んで暮らします。

怪獣ダンスを踊ったり、森を駆け回ったり、みんなでくっついて眠ったり。

けれども、楽しいことだけをして過ごす日々は、長くは続かず。
やがて、怪獣達同士も、そして、マックスも、その関係性が危うくなってきて・・・。



私、原作は知らないのですが、有名な絵本が原作だそうですね。
なので、お子様向けの映画かなぁ~と思っていたのですが。・・・てか、もちろん、お子様向けの映画なのでしょうが。
なかなかに深いというか、難しいというか。考えさせられるというか。
小さなお子様だと、不思議な怪獣達が出てくるという以外では、楽しめないのでは・・・?と思ってしまいましたです。
面白かったですがね(^^)b

そして。
マックスを見ていて思うのは、誰しもが子供の頃に抱えるモヤモヤというか・・・そんな感じの感情。色んな事がなかなか自分の思うとおりにいかなくて、でも、それを解決するには、子供の力ではどうしようもなくて。だから、余計にイライラして。それで、癇癪を起こして暴れたりして、爆発。でも、爆発したからといって、スッキリする訳でもなく、余計に悶々としてしまう・・・。
私自身は、子供時代自分の思い通りに行かなくても、癇癪を起こしたり、暴れたりするようなタイプではなかったので、冒頭のマックスのヤンチャぶりには、あまり共感出来なかったのですが。
でも、彼の気持ちは分かります。
うん。
私は、癇癪を起こさず、我慢するタイプだったからね。爆発しなくても、人並みに子供特有のストレスというのは持っていたさ(遠い目)。

で。
そんなマックスが、爆発して、家出して。
辿り着いたのが、怪獣の島。

ここには、色々と個性豊かな怪獣達が居ます。
中でも、真っ先にマックスを認めてくれた、キャロルという怪獣と仲良しになる訳ですが。
怪獣達は、怪獣達で、色々と複雑な人間(怪獣?)関係があって、喧嘩したりイライラしたり、いろいろあるのですよね。

そんな中で、キャロルは、一番、ヤンチャというか我が儘というか、お子チャマというか・・・で。理不尽な行動を取ったりすることも多々。
なので、キャロルは、マックスに似ているというか、マックス自身を投影したキャラなのかもしれないなぁと思いましたです。

好き勝手に遊び暮らして、しかも、自分が「王様」で居られる場所。
けれども、怪獣達の関係性のバランスが崩れ始め、キャロルとの友情も壊れそうになってしまいます。
時に理不尽な主張をしては、叫んだり、暴れたり、物を破壊したりするキャロル。
そんなキャロルの姿に、マックスは、家にいた頃の自分を見たのではないかなぁ~と思いました。
構ってくれないお姉ちゃんの部屋をボロボロにしたり。
お母さんの言うことを聞かず、大暴れしたり。
マックスは、お母さんから、
「手に負えない子ね!!!」
と言われるのですが、それと同じことを、マックスは暴れまくって理不尽な主張をするキャロルに対して口にするのですから。

また、複雑な怪獣達の関係を見て、マックスは、決して、彼らがいがみ合ったり、互いに嫌っている訳ではないことに気が付きます。
本当は、互いに、愛情、友情を抱いているのに。色々な要因で、それがうまく口に出来ず。口に出来ないから誤解を招き、こじれ・・・。本当は、ちゃんと相手を思っているのに。

そこから、マックスは気が付いたのではないでしょうか?
決して、お姉ちゃんも、お母さんも、自分を嫌っているわけではなくて。ちゃんと愛情を持っているのに、それをキチンと表現できないだけ。そして、自分自身も然り。
自分が今まで、「孤独」だと勝手に思っていたのは、自分も相手の事情や気持ちを知ろうとしなかったからではないか?と。一方的に自分の気持ちだけを押しつけて、そして、思い通りに行かないからといっては爆発していたのではないかと。

そして、マックスは、自分が本来居るべき世界へ帰っていくわけですが。
旅立つマックスも、そして、色々こじれたけれども、彼を見送るのに間に合ったキャロルも、少し大人になったのではないかなぁと思いました。

ひと言で言えば、やんちゃな子が、不思議な世界で過ごす内に、成長して、そして、帰っていく・・・という物語です。
そして、その世界は、不思議で、綺麗で、ファンタジックです。怪獣達の存在も。
そこは、子供の空想力というか、子供の視点で描いた風景なんだろうなぁと思うのですが。
でも、時として、残酷でも・・・。そこもまた、「手加減」というものをまだ知らない子供の世界なのかなぁ~と思いました。

冒頭、マックスの自宅のシーンで。
自分を構ってくれなかったお姉ちゃん。しかも、そのお姉ちゃんの友達が、マックスが作った雪の家を壊してしまったことに腹を立て、お姉ちゃんの部屋をボロボロにするのですよね。
中でも、ハート型(?)の飾り物(マックスがお姉ちゃんにプレゼントした物だと思う)を、ボロボロに壊しちゃって。
その時は、怒りに任せて、破壊的衝動に走りましたが・・・。あとから冷静になると、壊れた物は、もう二度と元には戻らないのですよね。そして、壊したからといって、スッキリするわけでなく、悲しみと罪悪感が残る。自分が壊した物の残骸を、哀しそうに見つめるマックスの顔が印象的でした。
それと、少し似ているのが、怪獣達の喧嘩で。

まずは、マックスが発案した泥ダンゴのぶつけ合い戦争。
マックスは、ダグラスに命じて、嫌がったり、痛がったりする、山羊型怪獣のアレクサンダーに向けて、さんざん泥ダンゴをぶつけまくります。
結果、アレクサンダーの頭には、傷が出来ちゃうのですよね。
傷はいつか治るかも知れないけど、そのときのアレクサンダーの心は、凄く傷ついたのですよね。遊びが高じて・・・な出来事ですが、そのとき、マックス達は、明らかにおもしろがっていた訳です。
もちろん、後に、マックスはアレクサンダーに謝りますが。あのシーンは、ちょっと、見ていて心が痛かったです。

はたまた。
キャロルが、ダグラスという鳥型の怪獣と喧嘩し、ダグラスの右腕が抜けちゃうというか取れちゃうのですよね(@A@; ・・・怖かったのですけど・・・。
「引っ張ったら、勝手に抜けたんだ!」
と、そのときキャロルは主張しましたが。
でも、抜けた腕は、元には戻りません・・・・。
以降、ダグラスは、なくなった腕の代わりに、木の枝を肩に差していたのですが・・・。あれは、なんとも痛々しくって。

元に戻らず、木の枝になっちゃったダグラスの腕と、冒頭でマックスが壊したお姉ちゃんの部屋の飾り物が、ちょっと重なっちゃって。

壊した物は、元には戻らない・・・というのを痛感させられました。

不思議なファンタジーなのですが、そういう、ちょっと、「怖い」面もあるにはあったかな~と。


全体的に、不思議な空気の流れる作品でした。
面白かったし、色々と考えさせられましたが、少し、「何を伝えたいのか」が分かりにくくもあったかな?