インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

イミグラントの句座(5月21日)

2018-05-21 16:28:50 | 私の作品(掌短編・エッセイ・俳句)
眉月は藍の天幕裂く銀鎌ごと

宵空に三日月きらり刃閃かせ

気充つる地たとえばセドナ訪ねたし

移住三十年日本人妻二人死す

三十年悪しきに変化したプリー

ああプリー穴場的静けさいづこ

今はなき静かな海沿いの聖地

三十年車急増排気ガス

スクリーム耳にきんきんホーン地獄

大気汚染に騒音・不潔粗目立ち

日印の一長一短わかっていても

三十年宿健在なれど老朽化

三十年椰子の木高々とそびえ

三十年庭の緑も野放図に

メッキ剝げ自分に戻されるインド

早寝遅起き惰眠貪る眠り姫

ラジオなきインド寂しアナログ派

テレビ嫌いスマホ駄目ラジオ党

ひもすがらラジオ飽食の金沢偲び

アルフィー桜井まだガラケー共感覚ゆ

木の葉髪冬にごっそり抜け落ちて

のんびり行こう開き直ってインド

悠久の地のんびり構え郷に従え

屍(しかばね)位の大の字ポーズ就寝前

波見つめ瞑想タイムアルファ波

サーバントに指示下すマダム復帰

インド宅湯船につかる贅沢よ

死後の処理散骨望む吾なり

遺骨は犀川とベンガル海に

遠雷と犬の遠吠え共鳴す

今宵また雷神ゴロと咆哮す

ライトニング夜窓に雷火閃きて

夜雨(やう)涼しほっと安堵の眠りつき

夜半覚め句帳に向かう狂熱や

三階の書斎の座卓が我が句座

句作熱奔流の如く噴き上げて

老いそめて詩・短歌でなく俳句合い

十七字の芸我が心の発露

夭折し女流俳人の霊に取り憑かれ

句のために墨字習わん形だけでも

短冊に流麗な筆文字俳人道

古希に万句目指す一日四(し)句

新時代イミグラント俳人たれ

唯一のイミグラントの俳諧師


(熾<もゆる>)

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