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インドで作家業

ベンガル湾と犀川をこよなく愛するプリー⇔金沢往還作家、李耶シャンカール(モハンティ三智江)の公式ブログ

女性差別の風潮が生きるインド社会

2015-03-06 17:55:50 | 政治・社会・経済
先般、英国のBBC放送による、デリーバス内集団強姦事件(2012年12月)の死刑囚のインタビューについて述べたが(凶悪レイプ犯、BBCインタビューでうそぶく)、インドでは、国務大臣が報道差し止め要求するなど、内外に物議をかもしている。

被告はいささかも改悛の情が見られず、夜遅く外出していた被害者側に問題があった、抵抗しなければ殺されなかったとふてぶてしく自己正当化したわけだが、実はこれはそのまま男尊女卑社会であるインドの男心理を表したものといえなくもない。

つまり、非が被害者側にあるとする男性論理、夜遅く外出したり、あけっぴろげな服装をしたりする女性のほうにとががあり、男性の潜在強姦犯を触発するとの見方だ。

ウッタルプラデシュ州のムラヤム・シン・ヤダヴ前首相など、以前レイプ犯を擁護、「結局のところ、男は男だ、しょうがない」との暴言を吐いたことで、女性市民の非難を買ったものだったが、それと同じマインドである。

この事件で、インドの女性蔑視傾向が全世界に広まったわけだが、当地のような田舎町では根強く女性差別の傾向が生きており、ちゃんとした家庭の娘なら、午後六時以降の外出は禁止である。さまざまな制約があり、二十代の姪の不平不満を聞いていると、本当に私は日本に生まれてよかったと、女性としていまさらながら恵まれた境遇にあったことに思い当たらざるをえない。
日本にいた三十年前の自分のほうが、今インドにいる二十代の姪より、ずっと自由だったし、仕事、恋人、夜間外出、服装、あらゆる面でフリーだった。治安のいい社会のため、青春を謳歌させてもらったとのありがたみが湧き上げてくる。

21世紀の現代でも、女性差別の風潮にじっと耐え忍んでいるインド女性、近年都会では女性の社会進出も増えているが、夜遅く外出する女性、体の線が浮き出た洋装をする女性は、レイプされてしかるべきとの、理不尽な男性論理がいまだにまかり通っている。保守親父の石頭が叩き割られないことには、インド女性が真に自由を謳歌する社会には程遠いだろう。

26分に一度の割合でレイプの頻発するインド、レイプばかりでない、嫁入り持参金殺人事件(持参金ダウリーの追加要求で嫁いびり、認められないと自殺に見せかけて焼殺)、女児の中絶・間引き(男児がありがたられる傾向で女児出産を厭う女性が多く、性別テストで女とわかると中絶、出生後の殺人も多い)、名誉の殺人(異教徒・違カーストにもかかわらず結婚に踏み切った若い男女が親族の名誉のために殺される)、硫酸攻撃(袖にされた男性が腹いせに硫酸投擲、被害者は二目と見られぬむごたらしい容貌に)、女性暴力が絶えないインド、男性優位の論理が改善されない限りは、女性は今後も煮え湯を飲まされ続けることになるのだろう。、
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凶悪レイプ犯、BBCインタビューでうそぶく

2015-03-04 16:13:50 | 政治・社会・経済
2012年12月16日のデリーバス内集団暴行事件(腸全摘に近い重傷を負った23歳の被害者は13日後に死亡)の六人の被告の一人で、現在首都のティハール刑務所に勾留されている死刑囚ムケシュ・シン(六人のうち未成年者一人は少年院送り、一人は獄中自殺、残り四名は死刑判決を下された)が、英BBC放送のインタビューに答えて心境吐露、夜の九時にボーイフレンド同伴で外出していた被害者に責任を押し付け、二人が抵抗しなければ殺されることはなかった、殺人は抵抗に触発された偶発的行為と弁明、悔悟の一縷も覗かせず、男性の注意を引く女性の夜間外出にとががあり、レイプは加害者より被害者のほうにより責任があると発言し、大争議をかもしている。

確かに、魔都デリーで女性が夜九時に外出するのは危険を伴う行為だが、恋人同伴ということで、被害者の側にも安心感があったのだろう。しかし、インドでは、ボーイフレンド同伴の女性が襲われる事件も結構起きており、元々男女の自由交際が小さな町や村などではいまだに認められていない保守的な社会であるため、男性同伴だと性道徳がフリーと誤解される恐れもある。

抵抗云々に関しても、たとえば銃を突きつけられ、貴重品を出せと脅されたら、抵抗せずに素直に従えというのは常識で、命と金とどちらが大事かを考えたら、下手に抵抗して殺されたら元も子もないと、言われたとおり金目のものを差し出すのが、差し迫った緊急時の防衛意識と思う。

ただし、インド女性は気が強いし、この場合はボーイフレンド同伴で、守られているとの思いもあったのだろう、二人ともが大抵抗し、挙句に鉄パイプで殴られ、女性は体内に鉄棒を押し込まれるという凶悪な暴行を招く羽目になってしまった。
まさか、殺されるほどの暴行を受けるとは思ってなかったのだろう。そういう意味では強気に出た姿勢が犯人たちを刺激してしまったともいえる。

しかし、仮に命惜しさから抵抗せず犯人のなるがままになっていたとしても(誰だって無理矢理犯されたくないわけだから抗うのは当然の自己防衛手段だが)、犯人が凶悪行為を働かなかったという保証はどこにもない。一番残虐な暴行を加えたのは17歳の少年で、未成年だったため死刑は免れたが、サディスティックな気性なら無抵抗でも被害者にそっくり同じ暴行を加えたこともありうる。インドではレイプ被害者が事後、殺戮されるケースも多いのである。
だから、抵抗しなかったら殺されなかったというのは犯人側の手前勝手な仮定、抵抗しなくてもむごい目にあわされていたかもしれない。なお、上記の死刑囚本人は犯行を否定しており、傍観していただけと弁明しているが、DNA鑑定ではクロとのこと、どっちにしろ、抵抗しなかったら殺されなかったというのは仮説で、抵抗しなくても殺されていたかもしれないという仮説との水掛け論、この期に及んでの、ふてぶてしい自己弁護ともいえる。

インド全土の市民女性有志が抗議に立ち上がり、デモの規模は在外インド人にまで広がり、世界的にも大きく報道され、インドの汚辱となった強姦事件(事件後外国女性旅行者数は激減)、被害者はニルバヤ、恐れを知らぬとの異名を賜ったように(インドでは一般に強姦被害者の名は伏せられる)、勇敢な女性で、敢然と加害者に立ち向かっていったのだろう。病院でも警察の尋問に瀕死の息で二度も応答、生きたいと勇気あるサバイバル精神を発揮したほどで、しかし13日間の死闘の甲斐も無く、あたら若い命を散らせた(死ぬ前一瞬意識を取り戻し、犯人全員を焼き殺してほしいとの遺恨を洩らしたという)。

国会でも論議の的になっている凶悪レイプ犯のインタビュー、取材許可した関係者の非常識が難詰されているだけに、いずれ去就問題に発展するだろう。

*この事件をテーマに短いフィクションを書いたことがあるが、「たまたまバスを乗り間違えたという偶然の過失が招いた大惨事」がテーマである。無認可のバスにうっかりカップルが乗り込んでしまったことからすべては発したわけで、運命の残酷さには震撼させられる。

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マドンナを上回ったインド首相の上着、オークション値で八千万以上!

2015-02-19 14:51:46 | 政治・社会・経済
拙ブログで、先月25日のオバマ米大統領を招聘した共和国記念式典で、ナレンドラ・モディ(Narendra Modi)首相が日本円にしておよそ190万円(10ラーク、lakhは10万ルピーの単位)もの自名のストライプ刺繍入りの贅沢なバンドガラ(bandhgala、別名ネルージャケット、初代首相ネルーが着用した詰襟風丈が長めのローカル上着、政治家の正装としても有名)ジャケットを着用したことは既に述べたが(以下関連記事)、浪費に政敵やメディアの非難が高まっていた折(首都デリー選の敗因とのうわさも)、このたびグジャラート州のスーラトのオークションに出されることになり、富裕な実業家諸氏からなんと1クロール(croreは1000万ルピーの単位)以上、日本円にして二千万円を上回る高値がつけられた。

最終的には、四千万円までいくのではないかとの予想が出ていたが、なんと4.31クロールと、日本円にして約8100万円もの超高値で落とされた。買い手はスーラトベースの富裕なダイヤモンド商の父子(父のLaljibhai Patelは、3800人の労働者の勤務する工場に飾るとのこと)。実はデッドラインを二分過ぎてから、5クロールと、9500万円までせり上がったが、時間切れで4.31クロールで決着した。
なお、売上金はガンジス河美化運動の資金に回されるとのことで、買い付けた親子はガンジス河をひときわ崇め、毎年リシケシ(ガンジスの清らかな源流が注ぐ北インド山間の聖地)を訪問している熱心なヒンドゥ教徒でもあったため、美化運動の資金となることをひとしお喜んでいた。

このほか、モディ首相が昨年11月の訪豪時、オーストラリアクリケット協会からプレゼントされたTシャツはじめ、この九ヶ月の外国訪問で贈られた455品目に及ぶギフトも併せて、オークションに出された。

それにしても、モディ人気を実証するような、目玉の飛び出る値段、原価の四十二倍以上になったということだから、すごい!

マドンナのジャケットですら$252,000、ブルース・リーのそれは$77,000で落とされたわけだから、はるかに上回る高値で、経済繁栄を謳歌する昨今のインドのマネーパワーを見せつけた感じだ。
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マフラー対高級上着(政治家ファッションバトル)

2015-02-12 18:55:01 | 政治・社会・経済
先日の首都デリーの選挙戦において庶民党(AAP, Aam Aadmi Party)が大勝したことはすでに述べたとおりだが(以下拙ブログ関連ページ)、庶民党党首、アルヴィンド・ケジリワル(Arvind Kejriwal)新州首相のトレードマークはマフラー、AAPのホームページでは「マフラーマンが帰ってきた!」として、汚職一掃のほうきを武器よろしく手に掲げ、勇ましく退治に乗り出すスーパーマン風情のケジルワル氏の写真がシンボルとして掲げられているが、対する今首都選で惨敗を喫したインド人民党(BJP)は、敗因を究明中、先月26日の共和国記念日に、米オバマ大統領を主賓に招いた際、モディ首相が日本円にしておよそ190万円なり(10ラーク、lakhは10万ルピーの単位)の高級ジャケットを着用した贅沢も、槍玉にあげられている。

仕立て卸の高級上着で、一見ストライプ模様はNARENDRA DAMODARDAS MODIという自名の全面刺繍入り(以下三番目のクローズアップ写真をご覧あれ!)という、実に手の込んだスペシャルオーダー製なのである。
モディ首相はおしゃれで通っており、就任以降、そのファッションが世界のメディアにも注目されているが、茶屋出身(父親の営む店をモディは手伝っていた)という慎ましい出自を誇示し、貧民の気持ちはわかるというような振りも、贅沢な上着志向で化けの皮が剥がれた感じ、国民会議派副総裁、ラフール・ガンジー(名門政治家一家ガンジー家の長男、父は1991年暗殺されたラジヴ、母はイタリア生まれの党総裁ソニア)の攻撃の的にもなった。

マフラーはせいぜい200-300ルピー、日本円にして400-600円程度。モディの贅沢ファッションに比べれば、庶民の味方を標榜する、ケジリワル・デリー新首相のいかにも慎ましやかなトレードマークらしい。

別に意識してのファッションでなく、選挙戦中の冬季、常にマフラーを手放さず、頭上にモンキーキャップのように巻きつけたりしていたことが注目され、トレードマークになったのである。

ケジリワルは14日の就任式に先駆け、中央政府公邸へ首相や国務大臣を表敬訪問、デリーを連邦直轄地の準州でなく、州に格上げする案への協力を仰いだ。
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日本女性レイプ事件の真相は?

2015-02-11 18:21:05 | 政治・社会・経済
昨年末から、立て続けにインドで二件、日本女性旅行者がらみの暴行事件が発生、日本ではインドは恐るべきレイプ国家のように叩かれているようなので、弁明でもないが、インド在住者の立場から一言書いてみる気になった。
その前に、日本で報道された上記二事件のネット記事をまず、ご一読いただきたい。

ひとつは一月四日付けビハール州のブッダガヤで、最近起きた二つ目は、今月八日付けラジャスタン州ジャイプールで発覚したできごとだ。

邦人女性を3週間監禁し暴行、男5人を逮捕 インド

以下一部引用。

女性は昨年11月20日に同市を訪れてから間もなく、地元の男3人と知り合った。うち1人は日本語に堪能だったとされる。男らは女性に1200ドル(約14万円)相当の現金を引き出させた後、隣のビハール州にあるブッダガヤへと共に向かった。女性はブッダガヤで観光ガイドをしている兄弟2人に引き渡された。兄弟はその後、女性を1か月近くにわたり地下室に監禁し、繰り返し性的暴行を加えたとされる。地元警察は2日、兄弟を逮捕。他の男3人も、女性から現金を奪い、女性を兄弟に引き渡した疑いで逮捕された。

インド旅行中「20歳」日本人女性がまたレイプ被害 “旅行ガイド”装った容疑者は逃走中…「歴史的名所案内してやる」が誘い文句(産経ニュース)

以下一部引用。

日本人女子学生(20)がインド西部ラジャスタン州の観光地ジャイプール近郊で8日、観光ガイドを名乗る男に性的暴行を受け、警察に被害を届け出た。地元ドゥドゥ警察署のカル・ミナ署長によれば、女子学生は、ジャイプールで知り合った男に「歴史的名所を案内してやる」と誘われ、2人でジャイプールから約70キロ離れたマウジャマバドを訪れたところ、被害に遭った。男の身元や所在は分かっていない。

インドが26分に一度の割合で強姦の頻発する悪名高いレイプ国家であることは、このブログや、前著(インド人には、ご用心!)その他の媒体で折々述べてきていることだが、外国人女性被害者の場合、同国人被害者と違って、真相の見極めが一段と難しい。

最初の監禁事件に関して、先月だったか追加のベタ記事が載ったが、そこでは加害者家族は容疑を否定、リサーチできていた日本女性に部屋を提供もてなしただけと弁明していた。

とにかく、当事者でないので、実際のところどうだったのかとの見極めはできるはずもなく、第三者にとって真相は藪の中なのだが、仮に非がインド人の方にあるとしても、被害者も治安のよくない中進国で未知の男性に甘い勧誘の声をかけられ、のこのこついていった非はとがめられてしかるべきと思う。つまり、態度に隙があって、そこをつかれたということだ。

要するに、外人女性はインドではフリーと思われているし、隙を見せれば、男女の自由交際が認められてないだけに性のはけ口がない男性は勘違いするということだ。

私は1988年11月から八年ほど前面で日本人宿経営に携わったので、この目で日本女性旅行者の奔放振り、旅の恥は掻き捨てといわんばかりの、現地男性や同宿の外人男性とのおおっぴらな交遊も目撃している。
アメリカでの日本女性旅行者の評判がイエローキャブ(誰でも乗せる)と悪名高いのは、家田荘子のノンフィクション作品にも書かれていた。

だからといって、上記の被害者二人がそうだったというつもりはなく、被害にあったのは本当にお気の毒だと思うし、加害者を弁護する意思は元よりないが、ただインド在住者として、一方的に男のほうに非があるかのように糾弾して、インドは恐るべきレイプ国家だと悪罵、インドを徹底的に悪者扱いすることには疑問を感じる。

この二つの事件は、2012年12月のデリーのバス内集団暴行事件とは、同じレイプ事件でもまったく、趣を異にするからだ。同国人が被害者の場合、まず男に声をかけられ、のこのことついていくというのは僅少(車の足を提供され誘いに乗ってというケースもままあるが)、もちろん、過去に知己があるとかいうなら、話は別だが、同国人は当然のことながらその危険性をわきまえているし、またそういう教育もされている。だから、被害者はお菓子で釣りやすい幼女だったり、まったく無抵抗の生後間もない女児のことも多い。成人女性の場合は、乗り物に乗って襲われるケースが多い。たとえば、深夜勤務のBPO、アウトソーシング企業の女性が送迎車のドライバーに犯されるというのは頻発している。
近年、ネット予約の安値タクシー業が隆盛、有名な米資のタクシー会社(Uber)の運転手が牙を剥いたのは、比較的最近の事件。

結局、密室という環境が、犯罪を起こしやすくしているということだ。
ボーイフレンド同伴というのも、インド人ならやられる。フリーな女性と思い込まれるし、罪を犯す側に嫉妬もある。バス内強姦事件の被害者は、婚約者同伴で、鉄棒を体内に挿入されるという凶悪レイプの被害となり、13日後に搬送されたシンガポールの病院で息絶えた(腸全摘に近い重症、インドの医師をして、長年暴行被害者を見てきているが、こんなにひどいのは初めてと言わせしめた。事後、怒り狂った市民女性が大規模なデモ運動を繰り広げ、世界中にレイプ国家の悪名が広まったものだった。バスは未認可で、仲間内が楽しみのドライブに繰り出したもので、カップルがバスを乗り間違えたことで起きた大惨事だった)。

拙ブログで長年、人気記事の上位に掲げられている、ゴアのレイプ殺人事件のような、被害者がドラッグと酒のちゃんぽんでラリっていた未成年英少女(15歳)だったケースもある(強姦後の溺死体が浜辺に打ち上げられた)。余談だが、私はこの事件を脚色を加えて作品化した「ドラッグ天国殺人事件」を一時期、銀座新聞ニュースに連載していたこともある(その折は、おかげさまで好評だった)。

レイプの真偽を見極めるのは難しく、以下卑近例として当地プリーに恰好のケース(Bitti Mohanty事件、2006年)があるので掲げよう。警察幹部(IPS, Indian Police Service)の息子(当時ITエンジニアとMBAを学んでいた学生)が、ドイツ人女性レイプで獄につながれた事件だ。うちの夫は、この警察幹部と面識があり、内実を漏らされたところによると、二人は男と女の関係にあり、いっしょに北インドのアルワールに旅行に出かけたが、そこで男女関係のもつれから来る痴話げんか(結婚でも迫られまだ学生だからと退けたか?)、ドイツ女性が警察にレイプを訴え、元恋人は御用となり(七年の有罪)、その後女のほうは国に帰ってしまって証言なし、未来を嘱望された青年の運命は台無しになる。しかし、半年後に父が手を回し、脱走に成功、南のケララ州で身分を偽って暮らしていたが、交際していた女性に過去を打ち明けてしまい、2013年警察に通報の憂き目を見て、脱走罪も加わり、罪は重くなり、また豚箱生活。女に人生狂わされた口だ。
加害者というべきか被害者というべきか、高度な教育を受けた青年はとくに美男でもないのだが、女に弱いというか、女難の相があるのだろう。

というわけで、わが亭主は、息子に外人女性と付き合うときは、くれぐれも気をつけるようにとの警告を怠らない。

以上、インド在住者の立場から、今回の日本女性連続暴行事件について、おそらく母国で報道されているのとはまったく違うアングルから、述べてみた。

*インドは男尊女卑の保守社会で、女性差別が行き渡る国、妊婦が性別テスト(一応禁じられている)で女児とわかると中絶したり、間引きのケースも多く(女児の生命はそれだけ軽視されているということ)、嫁入り持参金(ダウリー)殺人事件や(夫や姑舅がダウリーの上乗せ要求をして認められないと嫁いびり、あげくに灯油をぶっかけて殺したりする)、名誉の死(オーナーキリング、家族の意向に背いて異教徒・異カーストの男性と結婚した女性に対し、家族の名誉を守るため親族が行う殺人)、硫酸攻撃(振られた腹いせに男が硫酸投擲、被害者は二目と見られぬむごい顔に)など女性暴力が頻発、性犯罪が多いのも、閉ざされた性社会であることのほかに、女性蔑視の顕われといえないこともない。
ハリヤーナ州やパンジャブ州では男女出生率の不均衡、男児比に比べ女児比が著しく劣り、問題になっている。女児は、結局のところ嫁に出す上持参金問題もあって、インドではいまだにありがたられない風潮があるのだ。
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人民パワーの圧勝(首都圏議会選挙の結果)

2015-02-10 17:30:38 | 政治・社会・経済
今月七日から、一年以上大統領統治下に置かれていた首都デリー(連邦直轄地の準州)で選挙選たけなわだったが、本日十日、待ちかねた開票結果が出た。

前予想通り、アーム・アドミ・パーティー(AAP, Aam Aadmi Party, 庶民党、選挙シンボルは汚職一掃のほうき)が過半数を超えたが、予想を大幅に上回るなんと70議席中67議席(前回28)と地すべり的勝利、二位のインド人民党(BJP, Bharatiya Janata Party)の三議席(前回29)に大きく差をつけた。
ほうきはきれいに政敵を一掃してしまったという、内外共に驚きの大勝利であった。

実際、私自身は、各メディアの予測(出口調査)を疑わしく思い、インド人民党がもっと票を伸ばすのではないか、庶民党とは接戦になるのではないかと予想していたため、意外の感を禁じえなかった。

インド人民党は首都の首相(Chief Minister)候補として急遽、庶民党党首アルヴィンド・ケジリワル(Arvind Kejriwal、46歳、元税務署職員)の対抗馬に、同じ穴の狢ともいうべきティハール刑務所元女所長、キラン・ベディ(Kiran Bedi,65歳、以前アンナ・ハザレ=Anna Hazare老市民活動家指導のもとにケジリワルと共に反汚職運動を繰り広げた社会活動家)を入党させたが、初心者でほぼ当選確実といわれている地区から出馬したにもかかわらず敗けたのだから、裏目に出てしまったことは間違いない。

キラン・ベディは、弁の立つ歯に衣着せずもの申すカリスマ性ある鉄腕女性、やはりカリスマ性のある市民の味方を標榜するケジリワルに対抗するには絶好の穴馬、しかし反対する党員もいて、結局目論見が外れやぶへびに終わってしまったようだ。

昨年五月過半数を占めて大勝したインド人民党のモディ政権が発足して八ヶ月、以後4州議選のうち3州で第1党となるなど「モディ人気」をバネに勝利を重ねてきたが、経済改革が目に見える形で国民の生活向上につながらず、貧困層を中心に不満の声が上がりつつある昨今、ヒンドゥ右傾化でキリスト教徒やイスラム教徒への攻撃も増えており、モディ人気にあやかろうとした今首都選は結果的に惨敗に終わった。

同党はモディ首相が応援演説に駆けつけたのはたったの四回、かなめとなる首都の選挙結果が中央政権に及ぼす影響はないと強気の姿勢、今選挙を中央政府(=モディ)の人気の指標とする説を退けた。

庶民党は2013年12月、国民会議派(Congress I,今回は前八席から0の惨敗)の閣外協力のもとに政権掌握したものの、反汚職法案(Jan Lokpal)が通らず、デモに繰り出して路上政治を展開とアナーキー振りを露呈して49日間という短命に終わったため、市民も失望していたのだが、一年という歳月を経たことで、また期待感が盛り返したようだ。

闇金の没収や反汚職、一般民救済(電気代値下げや水道料金無料など)を掲げるマニフェストが、少数派であるイスラム教徒の支持もとりつけたものと思われる。
これまでイスラム教徒やキリスト教徒らのマイノリティは、国民会議派に代わる政党がいないとの消極的理由で同党に投票してきたわけだが、近年の庶民党の結成(2011)で票が流れたということだ。

よって、一年ぶりに党首アルヴィンド・ケジリワルの復帰、となる。
これだけ圧倒的支持を集めたのだから、今度こそは路頭政治のアナーキーに陥ることなく、市民の期待に応えるべく、人民の人民による人民のための政治をまっとうしてもらいたい。
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インド、ハリウッド映画より安い費用で火星到達!

2014-09-30 16:19:54 | 政治・社会・経済
インドは現在、モディ首相訪米のニュース一色だが、先般26日、探査機の火星到達の快挙を成し遂げた。
以下、関連ニュース。

「インドの火星到達、映画製作費より安価」

インド人はご存知のように理数系に強く、優秀な科学者をたくさん輩出している。
現地でも、ハリウッド映画の制作費より安く上がったことが話題になったが、いまだ貧困が撲滅されない中進国でのこの快挙はおおいに褒められていい。
この点では、中国を抜いたわけだから。
現地英字紙には早速火星で撮られたという、赤茶けたくぼみが随所にある赤い惑星の写真が載った。

モディ首相も、火星到達の成功を声を大にして、誇らしげに持ち上げたことはいうまでもなかった。

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インド新政権100日

2014-08-29 00:06:18 | 政治・社会・経済
BJP(インド人民党)新政権、ナレンドラ・モディ首相が誕生して百日。

先般、ビハール、マドゥヤプラデシュ、パンジャブ州などで補欠選挙があったが、与党にはあまり芳しくない結果に終わった。

モディ旋風の威力が弱まった、カリスマが薄れたとマスコミは騒いでいるが、やはり国鉄運賃値上げがなんといっても響いたのでは。

庶民は裏切られた思いを禁じえなかったはずだ。

あと、コミュナルな紛争、とくにヒンドゥとイスラムの対立からくるいさかいが増えたことが、憂慮される。
モディ首相には、2002年のグジャラート騒動時、2000余名のムスリムを見殺しにした原罪がある。そのため、アメリカのビザも、人権乱用剤で最近まで下りなかったのだ。

経済面では新機軸を打ち出しているし、株指数も高騰、まあそれなりの成果を出しているが、ヒンドゥ右翼色が強まっているのが懸念される。

何せ、大統領主宰のイスラム断食祭後のイフタ・パーティーに招待されたにもかかわらず、新首相は欠席、十年前のインド人民党政権、アタル・ビハリ・バジパイ前首相はちゃんと列席したにもかかわらずである。

どうも、ムスリムへの偏見があるように思えてならない。

BJPはヒンドゥ右寄りの政党なのである。
RSSという右翼団体から派生した党なのだ。

三ヶ月ちょっとではまだわからないし、一年は推移を見守るしかないだろうが、私自身は少しがっかりしているのが正直なところである。

最後に息子の、8月15日のインド独立記念日を祝してリリースされた新作ラップを、再紹介しておこう。
言語・民族・宗教・カーストの相違に端を発する紛争が絶えないインド社会に、平等を提唱し、社会を変えるためにはまず自分が変わらなければならないと力強く説く、メッセージが詞にこめられているからだ。
独立後67年、多様なインド社会は今もって、さまざまな問題を抱える。
三十歳以下の若者が半分を占める若い国インドが、今後よりよき方向に改善されていくには、若者の自らの変革が何より必要だろう。

Be The Change

以下は、英詞(拙邦訳)、日本社会には日本社会の問題がある。
やはり、あなた自身が変わることが、社会変革への一歩、みなが変わっていくことが社会が変化する一番の近道なのだ。
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世界最長!14年断食ストを続ける鉄の淑女

2014-08-27 17:08:06 | 政治・社会・経済
三年ほど前、拙ブログでも紹介したことのある世界最長の断食ストウーマン、インドの北東地域マニプール州出身の「鉄の女」との異名をとる、イロム・シャルミラ女についての続報。

その前に、2011年9月に書いた拙報を再紹介しておきたい。
「世界最長のハンスト者」

一部抜粋すると。
「Irom Sharmila、39歳。マニプールの鉄の女との異名をとる彼女は、詩人で市民権利活動家。2000年11月2日、29歳のイロムは自宅付近のバス停で軍による市民10名の殺戮(62歳の初老女性や18歳の市民勇敢賞受賞少年含む)を目撃して以来、水すらも飲まない徹底断食ストに突入、抗議三日後に自殺未遂のかどで逮捕され、インファール(Imphal)の監獄病院に搬送、鼻孔から強制的に流動食を流し込まれた。以後、保釈されるも、すぐまたハンストに入るので、毎年の如く再逮捕、ねずみといたちの追いかけごっこで、そのたびチューブを通しての鼻からの流動食、なんとこの11年間口からはまともに食べていないという、ものすごさだ。

北東地域は自治権を求める土着民らの反政府ゲリラ活動が盛んで、軍が脅威的なパワーを持っている。その軍の特権法、AFSPA(Armed Forces<Special Powers>Act)、疑わしき市民を無期限に拘束したり、被疑者を予告無しに逮捕して銃殺しても罪に問われない、横暴法を排除することを要求しているのだ。」


あれから三年たって、ハンスト記録は14年に更新、このたび最高裁が釈放を命じたことで一時解放されたが、いつもの常で数日後自殺容疑で再逮捕、無理矢理鼻から流動食を流し込まれる顛末に。

42歳になるイロムさんは、14年間、水すら飲まぬハンストを鉄の意志で継続しているわけだが、その徹底振りは歯を磨くのでさえ水が入ることを警戒して、脱脂綿にアルコールを含ませ拭き取るというものすごさだ。

まさしく、このような人間業とは思えぬハンストを続ける鉄の女性にこそ、ノーベル平和賞は授与されるべきではないか。
オバマ米大統領のような、平和破壊に加担する権力者でなく、在野の無名のインド女性活動家にこそだ。

このたび、仮釈放がニュースになったことで、再びマスコミの脚光を浴びたわけだが、先の英字紙日曜版にも特集記事が載った。

それによると、イロムさんは現在恋愛中。
お相手は2011年たった一度だけ、法廷で面会したイギリスの社会活動家、Desmond Coutinhoさん。2010年デズモンドさんが彼女関連の記事を自国で読んで感動、すぐ手紙を送り、それ以来文通を続けているという。
いつしか恋文となり、互いに愛し合っていることを告白、しかし、妹の熱烈なる支持者でもあった14歳年上の兄、Irom Shighajitさんは、公に恋愛宣言する妹に、活動の妨げになる、マニープール民はおまえが恋愛中であると知ったら支持しなくなると難色を示し、以来不和だとも伝えられるが、本人は、兄が自分を脅し、恋人にも会うなと警告したと歯に衣着せず非難、誰にも私の人生をコントロールする権利はないと改めてデズモンドさんへの恋心を表明した。

イロムさんは現在、ナレンドラ・モディ首相への直訴も考慮中。
「どうか、みなさん、私を助けて。軍の免罪特権法、AFSPAをなんとしてでも撤廃してほしい。14年間一滴の水も飲んでいない私は心から、おいしい飲料水とともに長年摂取してない最初の食事をとることに焦がれている」
と、女性警官に乱暴に引き立てられていく中で、必死に抵抗しながら訴えた。
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新首相の徹底掃除作戦

2014-06-11 16:58:33 | 政治・社会・経済
六月の予期せぬ熱波で冷房フル回転の毎日。

とにかく高湿度でうだるような猛暑だ。

さすがに夏バテ気味。

先月は酷暑たけなわにしてはわりと過ごしやすかったため、喜んでいたのだが、ここに来て復讐のような応酬振りである。

さて、モディ(Narendra Modi,63歳)新首相は各方面に迅速に動き出しているが、各省の徹底掃除作戦にまで及んだ。
古いファイルを全部捨ててすっきりさせるクリーン作戦である。
この政権は案外、いけるかもしれない。
インド人民党(BJP)というと、ヒンドゥ右寄りだが、右翼色は影を潜め、「経済発展、よき統治」をスローガンに掲げているせいで、豊かさや雇用促進を求める国民のアスピレーションにマッチ、期待はうなぎのぼりである。

効率的なハードワーカーの新首相の下で、インド経済は黄金期を迎えるかもしれない。

まだ十日くらいしかたっていないが、実に行動的で次々に新政策を打ち出している。
麻痺停滞、レイムダック状態だった前政権とはダンチである。

期待できそう。

なっといっても、インド人民党が単独で過半数に達したのは、モディのカリスマ性に負うところが大きかった。
リーダーシップとパーソナリティの勝利で、モディは精力的に選挙キャンペーンを全土に繰り広げ、ブームを培ったのだ。ハイテクでもあり、フェイスブックやツイッター、ホログラムも駆使しての効果的な遊説展開だったのである。

ボンベイ株式市場も、25500ポイント以上と高騰、ミューチュアルファンドに投資しようかと経済音痴の私にまで思わせるこのごろである。
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