保護ツバメ あずさちゃん

一回目の保護ツバメたちは悲しい結末となってしまいました。
巣立ち前の四羽の雛たち。前日にのぞいた時には親が巣のまわりで巣立ちを促していた・・・ように見えていたのですが、実はこのときからすでに親ツバメがいなくなってしまっていたのです・・・巣立ちを促しているように見えたのは他の仲間たちだったことを翌朝気づきました。巣の下には息絶えている一羽と弱々しくじっとしている二羽のヒナ。そして巣を見上げたと同時に巣に残っていた一羽が巣から真っ逆さまに落ち・・「ドン」という鈍い音とともにその子も息絶え・・・虫の息の二羽の雛たちを急いで家に持ち帰り・・保温をして、小田原師匠から頂いたビタミン液を耳かきで飲ませ・・ぐったりとした小さな体は骨と皮・・お腹はぺったんこ・・・
かわいそうに・・・ごめんね。昨日から何も食べられなかったんだね・・・お腹すいていたよね・・・ごめんね　ごめんね　気づいてあげられなくて・・・

左側の子はその後静かに息を引き取りました・・・
そして一番頑張っていた大きい子も・・翌日兄弟たちのもとへと旅立って行きました。
「餓死」です・・・ミルワームをやわらかくして口の中に入れましたがもう飲み込む元気もなく・・・それでもぴーちゃんの部屋に移した時にはぴーちゃんに反応してよろけながらも力を振り絞ってガジュマルの植木の上に止まりました。小さく「ジッ」と鳴きながら・・・
つらかったね・・・苦しかったね・・父さん母さん待ち続けて・・・悲しかったね・・
ごめんね・・・ごめんね・・・
やっと楽になったね・・・
四兄弟は今、北アルプスが一望できる　巣のあったホテルのラベンダーの庭の下で静かに眠っています。

そして・・四日前のこと。
白馬駅ロータリーのツバメに優しい大家さんのお土産屋さん「白樺」さんから
「駅の最後の巣がさっきカラスにやられて、一羽だけ下に気絶していたのを保護している」と・・・
「最後の巣」　そう・・白馬駅周辺は今年も五月半ば過ぎからハシブトカラスに襲撃され続け、駅では七個(うち二個はイワツバメ)の巣のなか、たった一個残っていた巣だ・・・駅だけではなく周囲のすべての巣は無残に壊されている・・・ここ三年、特にひどい。駅前で無事なのは、カラス除けをしている「白樺」ツバメとマクドの赤テントの中のツバメ二組だけだ・・・
急いでお店へ行くと、あと数日で巣立ちを迎えたはずのヒナが一羽うずくまっていた。三羽のヒナはブトがくわえて持ち去っていったと・・この子だけが下に落ちて気絶していたらしい・・・壊れた巣を見上げると・・・親ツバメが飛びまわっている・・・
良かった。まだ親がいてくれている。せめてこの子だけでも巣立たせてあげようと、持ってきた仮の巣にヒナを入れて壊れた巣のところに設置しようとしたとき・・
あれ・・・・
この子・・・片羽が・・・だらりと下がってしまっている・・・手で羽を広げてみる。片方は自然に閉じるけれど・・・片方は・・・もどらない・・よく見ると羽根の真ん中あたりに穴があいている・・・これって・・・食い意地の張っているブト、四羽まとめて持ち去ろうとしてこの子を落としたな・・ブトのくちばしの先が羽根に穴を開けたな・・・
この子は・・・もう・・・大空を飛べない・・・
親がいてくれているのに・・・返してあげられない・・・だって・・巣立てないもの・・・
親ツバメさん、ごめんね。この子、返せないよ・・・
そのかわり・・・どんなことがあってもこの子を大切にしていくから・・・この子を私に預けてね・・・よろしくね・・・

家に持ち帰り、様子を見る。
画像でわかるように片羽が下がってしまってる。でもかすかに動かすことができるので神経は通っているようだ。一週間ほど落ち着かせ安定してきたらかかりつけの獣医さんに診てもらおう。

三日めのあずさちゃん。少し落ち着いてきましたが、まだ自分から口を開いて餌を食べようとはしてくれません。でも健康ないいうんちが出ています。気絶していたくらいなので、落ちた時の打ちどころが悪く、羽以外に後々何かしらの障害がでてしまわないか・・今はそれが気がかりです。小田原師匠さんにも指摘されたのですが目がちょっと気になりますね・・・見えてはいるようですがどうも動きが・・・

「あずさ」という名前　この子の生まれた場所は　白馬駅
白馬駅には新宿からの「特急　あずさ」が停車します。まだ男の子か女の子かわからないけれど・・・「あずさ」ちゃん。　可愛い名前かな

この日の午後、命くんとぴーちゃんのいる鳥部屋に
ぴーちゃんの姿に少しだけ反応してくれました。そしてぴーちゃんが部屋を飛び回ると目でその姿を追います。巣立ち前の羽ばたきの練習をしたいのでしょう。片方の翼だけがパタパタと・・・そのたびにコロンとひっくり返ってしまうあずさちゃん・・・
好奇心旺盛な命くんはさっそくあずさちゃんのそばにやって来ては
「ここはオイラの縄張りだっチよ～　オマエ新入りだっチな～　羽怪我しているの？大丈夫だっチー　ここは安全だしごはんもたくさんあるっチよー　かわいそうだからオマエ仲間にいれてやるっチ　」　・・なんて？
羽づくろいをしながも　あずさちゃんが気になってしかたがない命くん

ぴーちゃんは・・・かなり警戒をして遠巻きに見降ろしています。
ぴーちゃん、君もこのくらいの時にうちにやってきたんだよ。この子はもう飛ぶことができないんだ・・・カラスに兄弟たちを目の前で殺されてしまったんだよ・・・とてもとても心の傷は大きいんだ・・・今日から仲間として仲良く、優しくお姉ちゃんしてあげてね・・・
相変わらずまだ自分から口を開けないので一回一回くちばしを手で開けるのがとても神経を使ってしまう・・・くちばしが曲がってしまわなければよいけれど・・・
早く自分から餌のおねだりをしてね・・・

あずさちゃん・・・君も我が家の家族だよ。
これから先　どうぞよろしくね。
鳥部屋での保護鳥たちの様子は　→　　　こちらから