保護ツバメ ヤングちゃん

「ヤング」という名前は、保護をされた上田市のご夫婦がつけてくださいました。このご夫婦はご多忙の日々の中大切に愛情をたっぷりと注ぎながらヤングを育ててこられました。奥様がまだひとりで餌を食べられないヤングを毎日仕事場に一緒に連れて行き、そこの職場の方たちもみなさんヤングのことを可愛がってくださっていたそうです。保護した時点で羽の片方が骨折していたようで、その部分がもう固まってしまっていて「もう飛ぶことは出来ません」と獣医さんに告げられていたのですが・・・日が経つにつれ部屋の中でカーテンによじ登りはじめ、少しづつ下降しながら数メートルを飛ぶようになったそうです。そしてある時、驚くほどの回復力で部屋の中を力強く飛び始めたと・・・
それでも止まり木に止まっている時には完全に片羽は下がりきっているんです。リリースまではやはり出来ない状態にありました。奥様がこのまま保護飼育を続け、毎日職場へ持っていくのにも限界があります。
そんな時、たまたま顔見知りで職場にいらしたのが　野鳥の会長野支部長さんだったのです。
いろいろと相談をした結果、県の傷病鳥獣保護のボランティアに登録している「ツバメオタク」「ツバメおばさん」の私のところへ「預かってもらえないか」と依頼が来たという経緯から今回　ヤングを引き取らせていただくことになりました。
そして七月二十一日。そのご夫婦が上田からはるばる白馬までヤングを連れて来てくださいました。一目見て
「あぁ　この子はほんとうにこのご夫婦に愛されて大切に育てられてきたのだなぁ」
とわかるほど、ヤングは元気で綺麗な若鳥の姿をしていました。この時にはすでに餌も自分で食べられるようになっていました。片羽の骨折さえなければこの子は賢い強いツバメとしてきっと自然界を生き抜いていける子だっただろうなぁ・・
ヤングとお別れの時・・・そのご夫婦はほんとうに我が子との別れのように何度も何度もヤングをのぞき込み
「ヤング　さよなら」　「ヤング　忘れないでね」と話しかけていらしたんです・・・
ご夫婦のヤングへの思いを裏切ることのないように私もこの子を大切に愛情をかけて育てていきますから・・・話すことが出来ないヤングから・・阿倍さんご夫婦への代弁です・・・
「パパ　ママ　今日まで大切に育ててくれてありがとう。優しくしてくれてありがとう。あたしはとても幸せ者だったわ。パパとママのこと忘れないからね。さよなら・・」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　ヤングです

新しい家族　ヤングと、ぴーちゃん、あずさとの共同生活が始まりました。
困ったことに三羽とも　女の子のようなんですね。ヤングはてっきり男の子かと思っていたのですが、小田原師匠にヤングの様子を話すと　「女の子だよたぶん・・」と・・
オスならばもうヤングくらいの若になってくるとオス特有のあの縄張り鳴きもどきをビジュクリビジュクリと練習しはじめるそうです。そういえばヤングはいまだに梓と同じで「ジュィ」としか鳴かないものね・・・
女の子同士は難しい～　ぴーちゃんなどは特に今までが女王様生活だったので、よく飛びまわり活発なヤングのことがどうもお気に召さない様子・・・ヤングが近付くと「ジャァァジャァァ(近づかないでー　来ないでー)」とすごい声で威嚇している～

　　　　　　ぴーちゃん　「ダメェェェーっ　こっちに来ないでぇぇぇっ」
　　　　　　ヤング　　　　「・・あたし・・嫌われているの？仲良くしてね」
　　　　　　
　　　　　　そう・・・この距離までがぴーちゃんの限界なのね～　

　　　
 家族になって一週間め。やっと私の手から(ピンセット)餌を食べてくれるようになってくれました。三羽の中では一番食欲旺盛。ヤングが保護された時から使っていた餌入れと水入れの器はダンボールハウスの中に入れてあります。朝箱から部屋に出すまでにすでに器のミルワームも食べている。　元気だね　ヤング　
ぴーちゃんともいつか仲良しになれるといいね。ぴーちゃん、よろしくね。

あずさは・・・昨日から部屋の隅から隅を飛べるようになってきました。ただ、まっすぐに低くしか飛べません。旋回、上昇　のコントロールは翼が言うことを聞いてくれません・・・壁に半ば激突状態で下に落ちるのでハラハラです。
それでも保護したあの日から・・・日一日と成長しています。餌はやはり間隔をあけないと食べられずに(飲み込むのがしんどいらしく) もうくちばしを開かせて入れるのはかわいそうなので、あずさが餌のおねだりをした時だけ与えるようにしました。一日に食べる量はぴーちゃんやヤングの半分程度。その分栄養価が高い「ハニーワーム」(ちとお高い・・)を取り寄せて、そちらを主にしています。プルブルつるんと喉を通るのであずさもハニーワームは大好き。ハニーワーム一本でミルワーム五本分くらいの栄養が取れるので助かりますね。
そして・・・昨日は、バランスを崩しながらも　初めて「水浴び」もどきをしました～

　　　　　　　　　あずさ・・・頑張っているね・・・
　　　　　　　　　あずさ・・・一生懸命生きているよね・・・　

もうけして仲間たちと大空を飛ぶことのないこの子たち・・・
ツバメとして生まれてきて、でもツバメとして自然界で暮らしていくことのできないこの子たち・・・
大切にこの命たちをしていってあげたい・・・
一生懸命生きようとしているこの子たちを・・

ツバメ部屋での三羽のくつろぎタイムの動画です。
ぴーちゃんはもぅ寝そべって日光浴中～口を半開きにして「ほよょょょょ～ん」
初めての水浴び後におひさまで羽も乾きごきげんのあずさ
お気に入りの場所で外から聞こえるツバメたちの声を気にしているヤング

そして・・ヤングのことが恋しくて
「ヤングはどうしていますか？」と時々連絡をくださる奥さまに・・・
ヤングはこんなに元気にしていますよ

・・・・ところで・・・命くんは？　
いくらなんでもツバメ三羽対命くんでは・・・命がストレスになってしまうのがかわいそうなので、今回命くんとボタンインコのぱーちゃんは一階の八畳リビングにお引越ししました。ここには六月にヒナの時に保護したカワラヒワの鈴ちゃんがいます。
メジロとカワラヒワの相性は悪くはないのでうまくやっていけるでしょう。
その様子はまた次回・・・