白馬ツバメの独り言

北アルプスの麓 厳しい自然界で健気に逞しく生きている命たちとの出会いは
優しくて時に悲しい・・・

保護ツバメは五羽に

2008-08-28 | 保護ツバメ (飼育法や餌の工夫含む) 

今年は一気に保護ツバメが増え続けてしまい・・・ぴーちゃんのほかに四羽が我が家の家族となりまして・・
あずさとヤングは前回紹介しましたが、今回は新しい二羽の子供たちを紹介します。

「ちぃちゃん」です。
部屋の中で巣立ってから六日目。もう自由自在に部屋を飛び回ります。肩に止まるのが大好きで人慣れし過ぎかな・・・ツバメ部屋には仲間たちがいるのにあまり関心を示さないんです。「自分はツバメ」って・・自覚していないのかな?


保護をした翌日八月十六日のちぃちゃん 頭にやっと毛が生えてきました。


二日後の十八日 羽も伸びてきて食欲も旺盛。


二十二日 巣立ち予定は二十六日 しっかりと立ってヨチヨチ歩くようにも・・

そして翌日の二十三日・・・この子の兄弟たちに悲劇は起こりました。同時に驚くべきことにまだまだ巣立つには早いこのちぃちゃんが・・・飛びました。

コーポの十組のツバメペアのなかの一組「遅いよペア」の雛でした。

順調に卵を温め雛が生まれ・・ところが二週間目あたりからどうも成長が他に比べてどの子も遅いなぁと・・・よくよく巣台のあたりを見ると・・・雛たちの血を吸って真っ赤になった無数のダニが・・・今年はコーポもホテルもダニの被害を受けているツバメたちはいないのになぜここだけが集中してこんなことになってしまっていたのか・・・これではいつまでたっても成長しないわけで・・親たちも餌を運んでも運んでも一向に大きくならない雛たちの様子にかなり疲れ気味・・・それでなくても今年は異常ともいえる餌不足でとにかく虫がいない。蛾もバッタもカメムシもハエも・・八月に入ればたくさん飛び始めるはずのトンボさえもいない・・さらにこの時期換羽が始まりボロボロになっているママツバメ。今年の二番子子育ては最悪の条件が重なっている・・・猛暑が続いたかと思いきやいきなり肌寒いほどの雨が続き体調もかなり悪そうな親ツバメたちの姿は痛々しくて見ていてほんとうにつらい・・・
三羽の雛のうちひときわ小さく他の兄弟よりも一週間近く成長が遅れている子が・・まだ頭のあたりは毛も疎らで親からの給餌もなかなかこの子までいきつかない。このままでは三羽とも巣立ちまでは難しいなと判断し・・・
八月十五日の夜、巣から雛たちを取り出して、ダニパウダーとアルコールスプレーで雛たちについているダニを落とし・・・巣の中、周りをダニスプレーを吹き付けた後ドライヤーで熱風消毒し・・・ビタミン浸けのハニーワームをたっぷりと与え、明け方巣に大きい二羽の雛を戻した。あまりにも差がありすぎる小さいほうの雛はそのまま数日保護をして、親の給餌状況を見ながら巣に戻すつもりでいた。
が・・・この三兄弟たちの運命はこの時に決まってしまったのだ・・・
結果、この保護をした一番小さな雛だけが我が家の部屋の中で巣立ちを迎えることになってしまった・・・
ダニがいなくなった雛たちは元気になり親たちも頻繁に数日は給餌を始めていた。
ところが・・・またしても巣立ちも近くなったあたりから親が給餌をほとんどしなくなっていってしまった。朝、仲間たちとやって来て少しの間給餌をし、日中はその仲間たちとともにどこかへ行ってしまい、日の入り前にまた仲間たちと戻って来て思い出したように給餌をしていた・・・なぜ?
この親たちのグループがすでに渡りの準備を始めている・・・親たちにしてみれば仲間たちと一緒に行かなくてはならない。でも自分たちだけまだ子育て中・・このままでは間に合わない・・・渡りか子育てか・・・どちらかの選択を迫られてしまっていた・・・パパツバメはもう全く給餌を止めていた。定位置の止まり木に止まって雛たちに声かけはしていたものの、巣に近寄ることはしなくなっていた・・・巣立ち予定を三日過ぎて・・・声も弱々しくついに小さいほうの一羽が昼過ぎから顔を見せなくなってしまった・・・長袖を着るほど冷え込んだ雨降りのこの日の夕方、やはりママツバメはほんの数回給餌をしてそのまま仲間たちと塒へ帰ってしまった・・・
もうダメだね・・・子育て放棄なんだね・・・親がいる間は・・少しでも給餌をしている間は、親に託して見守ろうと思っていたけれど・・・もう・・・ダメだね・・・
翌朝、脚立にのぼって巣から雛を取り出そうとした・・・まだ少し暖かかった・・折り重なるようにして・・・お星さまになっちゃった・・・
ごめんね・・・あと一日早く判断していれば・・・迷っていたのずっと・・・・どこまで人間が手助けをしていいものなのか・・・巣から君たちを取り出してしまったらママツバメは悲しむかなとか・・捜してしまうかなとか・・聞きたかったよママに。「この子たち引取ってもいいの?ダメなの?教えて」って・・・だってこの子たち、毎日ずっとずっとママとパパの姿を待っていたんだもの・・待って待って・・待ち続けていたんだもの・・・きっと来てくれるって・・・お腹ペッタンコにして・・・待っていたんだもの・・・
親ツバメを無視して、ダニ退治をした時に全員そのまま保護してしまえばよかったのかもしれないね・・・今となっては・・・すべて遅すぎたけど・・・
もうダメかと思っていた一番小さくて弱っていたおチビちゃん「ちぃちゃん」だけが・・・生き残って・・・
兄ちゃんたちがお星さまになったこの日の朝・・・八月二十三日 まだ頭にポワポワ毛が残っていて尾羽もまばらなのに・・・ちぃちゃんは・・・「チュィ」と一声鳴いた後に、パタパタと軽やかに、それは見事に部屋の中で巣立ったよ・・・
あぁそうか・・・兄ちゃん達が・・・ちぃちゃん君の中に入ったんだね・・・
五個の卵・・一個は孵化しないまま・・一羽は生後一週間くらいで巣の中でお煎餅のようになっていて・・残った三羽・・元気の良かった強かった二兄弟が餓死をして・・・ちぃちゃん・・・・君の中には四羽の兄弟たちが入っているんだね・・・
ちぃちゃん、元気に育ってくれてありがとう・・・
ちぃちゃん、あの子たちの分までたくさんたくさん大切に大切にするからね・・・

そして少々、いや・・かなり落ち込んでいたところに、県の鳥獣保護課から「飛べないツバメ一羽そちらで保護してもらえないか」と依頼・・・・
この子はどうやら一番子の若。仲間たちと渡りの準備に入っていた矢先のことだったのだろう・・・片方の翼がダメ 床を這うように一メートルくらいしか移動できない。あずさやヤングのように少しづつでも飛べるように回復してくれればよいのだけれど・・・賢い子で、他の保護ツバメたちがピンセットで給餌を受けているのをじっと観察していて、半日経つと少し怖々だけれどピンセットのミルワームやハニーワームをパクパク食べてくれるようになっている。助かるなぁ・・・ 
「飛翔」の願いを込めて「翔ちゃん」と名付けてみました。


 ぴーちゃん、あずさ、ヤング、ちぃちゃん、そして翔ちゃん・・・
五羽のツバメたちが二度と大空を仲間たちと飛ぶことなく生涯この狭い部屋の中で暮らすことになったわけで・・・
彼らにとって・・・それが幸せなのかどうかは・・・私にはわからない・・
私にできる範囲の愛情を注いでひとりひとり(一羽一羽) 大切に育てていってあげたいと思っている。
人知れずひっそりとどこかで命を落としていく大半の若鳥たちの中で・・・この子たちは「偶然」人によって保護された 「運の強い子」だったのかも知れないしね・・・

幸せになろうね・・・一緒に・・・生きていこうね・・・

               お嬢様のおっとりぴーちゃん 


              どことなく儚げな あずさ

  
やんちゃで元気はつらつのヤング


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6 コメント

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痛いほど (ka-suke)
2008-08-29 05:37:08
白馬ツバメさんの悲痛な思いが伝わってきてブログを直視できない事があります。自然淘汰される命を保護した時に『この子の幸せ』を考えますね。でもどんな形でも幸せなんですよ。たとえ定められた生き方が出来なくても頑張ってこの世に生まれたきた命を救ってくれたですもの。私もかぁ助に対して3年経った今でも自問自答してますがそう思うようにしています。
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辛かったですね。 (ベラツバ)
2008-08-29 13:11:29
こんにちは。
白馬さん、遅いよペアにそんなことがあったのですね。卵は5個あったんですね。ダニですか。このペアも辛い辛い思いをしたのですね。それをずっと見守って来た白馬さんは、とても辛かったでしょうね。今年の子育ては、本当に辛い話が多すぎましたね。
無事に巣立つことができた子たちは、みんな無事に南に渡っていって欲しいです。白馬さんの元に残った子たち・・・みんな幸せに・・・。
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大変でしたね。。。 (あきこ)
2008-08-29 19:11:58
白馬さん、遅いよペア、そしてお星様になってしまったヒナちゃん達可哀想でしたね。でもどうする事が正しかったのかなんて、きっと誰にもわからない・・・結果論で助けた方がよかった、なんて誰にも言えませんよね・・・見守っておられて本当に辛かったでしょうね。
保護された子達は本当はとうに消えてしまっていたかもしれない命たち・・・でも今優しい白馬母さんと仲間達と暮らしている・・・不思議な運命ですね。保護ツバちゃん達、みんな頑張って!白馬さん、無理しすぎないで下さいね
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白馬の天使たち (茶畑)
2008-08-29 21:14:54
 白馬さん、今晩は。
この夏…白馬さんがどれだけ悩み、悲しみ、そして辛い思いをされたことか…。
このブログを書き込むときも…きっと涙で画面が見えなかっただろうとお察しいたします。
 ちぃちゃんのパパとママ…苦渋の決断だったんですね。自分達が渡り鳥であることを…わが子を見捨てて行かなければならない運命を…どれほど呪ったことでしょう。あまりにも辛くて厳しい自然の掟…。誰もパパやママを責める訳にはいきませんね。
 この夏…全国で、不幸にも命を落としてしまった多くの子達は、今頃天国で楽しく暮らしていることでしょう。
 そして…白馬さんの許で暮らす子達は、きっと白馬さんを呼び寄せたのでしょうね。「この人なら、きっと何とかしてくれる…」
この出会いは、決して偶然ではないのかも知れませんよ…。
 だから…無理をせずに 息抜きをしながら…頑張れ白馬さん!先は長いぞ~!
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Unknown (みしまつー)
2008-08-29 23:43:59
遅いよペアに、そのようなアクシデントが次々と襲いかかっていたなんて・・・厳しい世界です・・・
でもでも、渡りの本能より、子供への愛情が強くあって欲しかった・・・生き抜く術、本能なのでしょうけど、辛いですね・・・
ちぃちゃん・・・兄弟6羽の中から唯一生き残った幸運なツバメ・・・みんなの分まで長生きしてねー
みんなが応援しているよー

あずさちゃん、元気ですかー頑張ってねー
翔ちゃん、渋い表情してますね・・・
保護ツバ達、仲間がたくさんいて、心強いですね。
5羽もいると、何かとトラブルが発生しそうですが、仲間がいる方が、心強いですよね~
しかし、白馬さんは、大大大変だー
お体を壊されませんように・・・
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大家族 (ちびはは)
2008-09-03 21:57:43
こんばんは
白馬さん 重ねて辛い出来事…悲しい年ですね
経験不足の若い子達はこの不安定な気候や色んな出来事に対応しきれないのでしょうか…みんな玄関パパの子育て見習って欲しいですね 
来年こそはツバメ達に優しい年になりますように…今から願わずにはいられません
ツバメコーポは賑やかになりましたね みんなみんな仲良く元気に暮すんだよ(^^)/~~~
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