今日の課題です。
問題 以下の英文を分かりやすい日本語で和訳せよ。
Many thinkers dating back to Buddha and Pythagoras have advocated the simple, almost fasting diet for the contemplative existence; meat is to be avoided. But the English philosopher, Herbert Spencer, was a believer in the meat diet. Somebody informed him that his thought would reach greater heights were he to become a vegetarian. An ambitious man--all philosophers are amazingly ambitious--he changed his habits and began to limit himself to vegetable foods. However, his work immediately began to deteriorate, and it was not long before he was back again on beef, mutton, and pork, on which he wrote his great book.
(東大、昭和39年)
*冬休みのある日、教室で男子4名が、英単語のクイズの出し合いっこをしていた。Aが日本語を言い、Bが該当の英単語を口頭で答え、Cが黒板に板書し、Dが確認するという実に微笑ましい姿だったのでしばらく様子を見ていた。個々の単語の知識を試すという点ではこの時期有効かもしれない。
ちなみに、私は単語集で英語を勉強したことがないので、この手の学習効果について自信を持って何か言える立場にはない。私は、長文を読んでいて遭遇する自分にとっての未知語句を辞書で調べながら覚えていった。ただ、それだけでは不安だったので、時間があるときに、例えば風呂につかりながら、単語のネットワークを張り巡らせて行った。Abstract (adj.) と同系統の意味を持つ単語は他にdifficult, metaphysical,などのように。またabstractの反対語はconcrete (adj.)、その同系統の意味を持つものはeasy, simple, obvious, clear, apparentといった具合だ。またabstractは動詞で使われれば「抽出する・取り出す」の意味を持ち、abstract metal from ore(鉱石から金属を取り出す)のようにabstract A from Bのように使うことを確認しながら覚えたものだ(アクセントの移動に注意!)。
大学に入って、英語を専門にやるようになってからは、訳語で覚えている時間がないので、イメージで覚えるようにした。この単語は(+)のイメージ、あの単語は(-)のイメージ。これは語彙力を飛躍的に増進させた。TimeやNewsweekなどアメリカの雑誌を読む際にも有効である。
単語集を使ったことはないが、大学入学後から数年前まで、自前の「単熟語帳」を作り続け、100冊を優に超えたのを契機に、それまで大学ノートを使っていたのをやめて、エクセルに変えた。これは、情報管理としてはきわめて有効で、いろんな角度から単語の意味が見えてくる。大学に入って余裕ができたら是非エクセルを使ってみては如何。特に英語英文科学生に有効です。
様々な言語を研究している学者の話によると、言語には普遍的な特性があるらしい。例えば、どんな言語でも、適格な単一文において、名詞句には「(格)助詞」が名詞句の後ろまたは前に必ず付くという。
日本語:「私 は 3時 に メリー と 会う予定 だ 。」(名詞句+格助詞→名詞句の後ろ)
英語: I am to meet Mary at three. (前置詞+名詞句→名詞句の前)
英語のMaryの前に前置詞がないではないかと思うかもしれないが、これも名詞化すれば次のようになる。
英語: a/the meeting with Mary (メリーと 会うこと・メリーとの会見) (前置詞+名詞句→名詞句の前)
ちなみに、日本語の格助詞のようなものは「後置詞」(=postposition)と呼ばれる。
これはほんの一例に過ぎないが、どんな言語でも所詮人間言語なのだから、普遍的な特性が働いているのは事実らしい。金八先生の言葉ではないが「我も人なり、彼も人なり」である。英米人も中国人も日本人も同じ人間である。人間言語には普遍的な特性がある、というのが私の基本的な立場である。
さて、それでは所謂英会話を具体的にどう攻略していったらよいか。それには、自分の弱点を知り、戦略を持つ必要がある。英会話に「戦略」と聞くと奇妙に思われるかもしれないが、実は私の個人的体験から、戦略無き英語の訓練は無意味だと断言してよい。今日はリスニングに自信がない人のためのアドバイス。
戦略1:守りの姿勢から攻めの姿勢に
物事はそんなに単純ではないのだが、話を分かりやすくするために、会話における「攻守」について考えてみたい。次の会話文を見てみよう。
英人: What do you do for living?
貴方: I study ... linguistics.
英人: What is your occupation?
貴方: Ah! I'm a teacher of English.
この会話は英人と日本人の間によく見られるものである。英人の最初の疑問文の意味は「職業は何か?」というもの。これを誤解して日本人は「言語学の研究」と答えているが、英国・米国本国においてはこの時点で会話は終わってしまう。この日本人は言語学を勉強している割には英語はからっきし駄目らしいという印象を相手に与えてしまう。しかし、この英人はよほど親切心に満ちているらしく、最初の疑問文をもっと易しい英語で言い直している。この段階で、ようやく日本人は「英語の教師だ」というまともな返事をするにいたっている。
さて、会話における「攻守」という視点で上の会話をもう一度見直してみると、英人は一方的に「攻め」の姿勢にある。日本人は一方的に「守り」の姿勢にあることが分かる。単純化して言えば、「疑問文は攻めの文」、「応答文は守りの文」と考えた場合、攻守を逆転させる術はないのだろうか?それが、あるのだ。以下の会話文を眺めてみよう。
英人: What do you do for living?
貴方: What do you think I do for living?
英人: Well, give me a hint.
貴方: Okay. I study linguistics. I go to University College London.
英人: Then, you're a student, huh?
貴方: No, I'm not. I'm a teacher of English....
疑問文に対して疑問文で応えることで、攻守逆転が図られ、仮に日本人が英人の最初の疑問文を誤解していたとしても、会話が続くうちに誤解は解けるのである。「会話が続くうちに」と言ったが、これが会話ではアルファでありオメガなのである。攻守を逆転させ、相手からより多くの情報を得て、こちらの言いたいことをドンドン言うのが会話の要諦なのだ。