語学は「語楽」--英語を楽しく学びましょう

英語の学習をしていて、「おや?」と思われる点について、みんなで考えてみたいと思います。

男の美学

2012-02-18 15:26:50 | 英語の学習と研究

 蒋介石をスキンヘッドにし、鼻下と顎先に少しだけ髭をつけ、黒いサングラスをかけた60歳の男を想像してほしい。長身痩躯に白衣をまとった男は、会議で議論が紛糾すれば、突然白ヘルメットをかぶって立ち上がり、机の脇に常備している木刀を振り回し始め周りを煙に巻く。気に食わない生徒がいれば、男女の別なく襟首つかんで教室や廊下の壁に力いっぱいに押し付ける。校地内禁煙などどこ吹く風か、体育館脇の技師室兼作業場で、昔の牢名主よろしく、ふんぞり返ってぷかぷか煙草をふかしている。傍若無人を絵に描いたような男は、ある時は担任、ある時は生徒指導部長、またある時は危機管理委員会主幹。男は「インテリやくざ」という綽名で密かに呼称されていた。
 教員生活最後のクラス担任をした時、卒業生に贈った男の言葉が忘れられない。それまでの男の生きざまが滲み出ていたので紹介したい:
(1)評価される立場に甘んじない。

 お前らはこれまでテストの成績をとおして評価されてきたが、評価というものは他者の目をとおしたものだ。それに最もよく適応し、最も高い評価を得た者だけがお前らのように「エリート」としてちやほやされるが、それに馴らされている、あるいは当たり前だと思っている自分に疑問を持て。他者との比較によって自分の本当の価値が決まる訳ではない。自分の価値は自分で決めろ。俺はそうしている。
(2)自分の人生は自分で決める。
 人生行路において岐路に立つときがきっと来る。他者に相談するのは良いが、最終的に決めるのは自分だ。その時自分なりの価値観・人生観が必要になるがそれらを確立するためには、いろんな体験をし、本を読み、深く考える習慣の確立が大切だ。鳶が鷹になれるわけがない。俺が芋食ったってお前らが屁をこくわけではないだろう。お前らは、どう逆立ちしたってお前らのままなんだ。それでいいんだ。俺は俺以外の人間になりたいと思ったことは一度もない。俺の人生に責任が持てるのは俺しかいないんだ。
(3)生きる上での美学を持つ。
 まず誰にとっての「美」かっていうと自分にとっての「美」なんだ。周りの人間じゃないから間違えるなよ。俺にとっての男の美学ってのは、一言でいえば、痩せ我慢ということになる。どんなに苦しくても泣き言をいわない、泣かない。逃げない。恐れない。俺は物心ついてから一度も泣いたことはない。涙を流したことがない。俺を見習ってお前らなりの生きる上での男の美学、女の美学を確立しろ。

(4)悔いのない人生を送る。

 コップに水が半分入っているとき、「まだ半分も残っている」とみるか「もう半分しか残っていない」とみるかで人生の質が決定する。俺は前者だ。水が全くないわけではないだろう。あるんだから。人生も同じ。苦しいこともあるけど楽しいことだってあるんだ。ポイントは納得できる生き方ができるかどうかなんだ。悔いのない人生かどうかなんて、他人が決める問題ではない、お前ら一人ひとりが決めるべき問題なんだ。どう生きるか、という方法論に堕してはいけない。何を生きるかが重要だ。中身の濃い人生を送るんだ。俺は教員として破天荒な生き方をしてきてきたが、中身の濃い人生だったと思っている。我が人生に悔いなし!お前らも俺を見習って生きていけ。


2次対策(その2)

2012-02-14 17:29:01 | 英語の学習と研究

 今日の英語の長文3題を100分できっちり読み切れている人は数名だけだった。時間切れだった人は、放課後を利用してきっちり読み切ること。
 英語そのものが難しいわけではなく、扱われているテーマとその論述構成に原因があると考えられる。
 #13では、最初の2つのパラグラフが実例であり、本論はその事例の説明、つまり3つ目のパラグラフから始まっているという構成が見えれば読みやすかったのではないか。言葉以外のnonverbalな要因が誤解を生むというテーマは以前にも読ませたことがあるのだが、論述構成に戸惑ってしまったのではないかと考えられる。#14では、言い争いやごたごたの解決に際して、当事者同士で関係を修復するアメリカ型解決法に対して、第三者を介することで、誰が責任をとるわけでもなく円満に人間関係の修復が図れる文化もある、ということが読み取れていればオーケー。#15は、過去を意識することは、現在と未来にとって有益だ。人やモノが滅びても、思想は歴史の中に生き続ける。歴史は思想がどのように人間を変え、また人間はどのように思想を変えてきたのかを示す、という内容をとらえていればオーケー。最後の英文は難しかったという生徒が少なからずいた。
 センター試験後の課外で読んだ長文の数は今日で40個。この時期にこんなに英語を読ませる学校は少ないだろう。2月22日まであと6回課外がある。予定では22日までに58個読み終えることになる。
 愛情ビームは健在なり。


 

 

 

 


2次対策

2012-02-12 09:47:05 | 英語の学習と研究

 前任校には6年間在職したが、そのうち4回3学年を担当した。3回目の卒業生を出した後、校長先生に強く懇願して、1年生から担任をしたいという希望を聞き入れてもらった。第23回生だ。
 この学年は平成元年生まれ。やはり、1年生から卒業まで担任をした学年は愛着がわく。特に、3年6組はユニークな顔ぶれがそろっていた。英語の成績は学年で最下位にもかかわらず、また担任の罵詈雑言にも臆することもなく、マイペースで生きる生徒が多かった。中庭のモミの木にビニール傘をひっかけて鑑賞しているK吉君、カブトムシの幼虫を自分のロッカーに入れて成虫になるまで育て上げたI毛君など、不思議な人物が少なくなかった。今彼らは大学4年生でもうすぐ卒業だ。就職活動も終わり、企業の内定は決まっているだろうか。
 卒業生の噂はいろいろなところから聞こえてくる。YO市の大学に進学した女子は学園祭のミスコンに出場したとか、ダンサーを目指して上京した女子は紅白歌合戦で踊っていたとか様々だ。若さっていいな、とうらやましく思うことがしばしばある
 現在のF高校には4年間在職しているが、まだ担任をしていない。学年主任ということで副担任でもない。体育大会など行事のあるたびごとに、おそろいのコスチュームに身を包み、クラス生徒との一体感とか「チーム◎組」といった帰属感を共有できないのでさびしい気持ちになることがある。しかし、233人の担任をしていると思って自らを励ましている。来年こそはぜひ担任をしたいと思っている今日この頃である。
 現在担当している学年も1年生から教えてきた。前任校の3年6組と同じくらいに、あるいはそれ以上に愛着がある。今は前期日程試験に向けて最後の追い込みをしているところだ。100分ぶち抜きで長文問題(1題あたり400語~700語程度、設問数7~8)3題を自己採点も含めてやらせている。教室はシーンと静まり返り、鉛筆を走らせる音と紙をめくる音以外は聞こえてこない。ピーンと張りつめた雰囲気が快い。生徒も、この雰囲気を気に入っているようだ。センター試験後から取り組み始めた問題数はすでに34題。問題集は3冊目に突入している。この勢いだと、2次試験前に4冊目に突入しそうな勢いだ。
 この時期は英作文の添削、小論文、面接の指導もしている。1時間目から4時間目はこれらの指導ですべて終わってしまう。高校入試で定員割れを起こした学年なのだが、大学入試に向けて必死に粘る姿は感動ものだ。彼ら、彼女らの頑張りが必ずや意に沿う結果につながればいいなと思いながら、愛情ビームを一人ひとりに発し続けている。