音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

白鵬の横綱昇進に思う

2007-05-29 03:52:50 | スポーツ
大相撲の横綱審議委員会が満場一致で横綱に推薦したことを受けて、相撲協会は今日開かれる番付編成会議と理事会で白鵬の昇進を正式に決定する運びとなります。4年ぶりの新横綱誕生、朝青龍の独り横綱状態がようやく解消される慶事のわりには、大して盛り上がっていないのは、明らかに週刊現代のスクープの影響でしょう。

北の湖理事長が、先週号発売後の緊急記者会見で語った「専門家と相談したい」という発言には笑いました。

「お前が専門家じゃないんかい!」

現在係争中ですから、法律の専門家=弁護士を指していたのでしょうが、そこにいた記者だけでなく、多くの人が聞きたかったのは訴訟の行方についてではなく、宮城野親方が元愛人にしゃべったとされる八百長の内幕テープの真偽です。そのファクトを問うているわけです。

今週号の続報では、北の湖理事長のコメントを「笑止千万」として、実は彼自身が白鵬の八百長の黒幕だったのだと指摘しています。問題の宮城野親方と北の湖理事長の関係、なぜ元十両・金親が宮城野親方になれたのか、元愛人坂本直子女史のルサンチマンの理由がわかってくる内容になっています。山崎さんも指摘しておられるように、9時間も録音するのは尋常ではないし、テープを再現した記事の会話を読んでいくと、長年寄り添った愛人同士が交わすピロートークにしては、事実をいちいち確認するような(相手に決定的な事実を口にさせるような)誘導的な質問をしているので、仕組まれていた可能性も否定できません。

興行主としての北の湖理事長の政治的な動きや思惑は、ひとまず措いておきます。ここで考えたいのは、実力的には最高峰で、日本人よりも強靱な肉体を持ち、本来は勝負に対する本能的な飢えを持っているはずの朝や白をして、八百長の保険をかけなければやっていけないという大相撲の現状です。そこには構造的な問題が横たわっているのではないでしょうか。

多くの力士が八百長に手を染めている理由として、「怪我をしたくない」ということがあるようです。プロの真剣勝負に怪我はつきもので、故障者だらけの東京ヤクルトや田中達也や闘莉王のいないレッズなどなど、みんな揃っていれば明らかに展開は違っているはずですが、そうもいきません。それでもなんとかやっている(吸収するしかない)わけです。ただ、相撲は格闘技であり、個人競技ですから、怪我はすべて本人にふりかかってきます。でもそのリスクヘッジを八百長に求めるのは安易だし、協会もそのことに暗黙の了解をしているのだとしたら問題です。現状でガチンコ(真剣勝負)が成立しないのであれば、システムを変えるしかない。仮に、現行の年六場所制が、日程的に力士から怪我をじっくり治す時間的・精神的余裕を奪っているのだとしたら、場所数を減らすしかないのではないかと思うのです。少なくとも私は、興醒めな八百長相撲を2ヶ月に1回見せられるよりも、年2回でよいから本当の真剣勝負が見たいと考えます。そう考えるファンも少なくないかも知れません。

興行収入が現在の3分の1になるのは現実的な策とは言い難いので、年4場所制を提案したいと思います。

初場所(1月)東京
春場所(4月)大阪
夏場所(7月)名古屋
秋場所(10月)福岡

年3場所(現在の半分)にしなかったのは、地方場所を減らしたくなかったからです。

そもそも年間6場所制になったのは昭和33年からで、昭和10年代の年2場所から段々増えていった結果にすぎません。よって場所数を減らすことについて、伝統的な観点からの躊躇は必要ありません。相撲の扱いがスポーツなのかそうでなくなるかの瀬戸際だとしたら、一考の余地はあるでしょう。少なくとも土俵の改良(高さ、スケールなど)という論議よりは「相撲の本質」を歪めないと思うのですが。


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2 コメント

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まったく同感です (大西宏)
2007-05-31 10:06:17
ただでさえ、力士が大型化し怪我しやすいところに、場所数が増えたから、力士にとっては過酷過ぎます。とうぜん勝つにきまっている弱い相手に、めちゃなことをやられると怪我が怖いので八百長をする・・・まあ力士の立場から言えば当然で、おっしゃるとおり場所数を減らすというのがもっとも現実的な方法だと思います。
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そうですね (音次郎)
2007-06-04 03:08:15
>大西さん、コメントありがとうございます。

本場所を減らしても、地方巡業の仙台準場所とかは充実させてもよいと思いますね。ファンとの触れ合いの機会は大切ですから。
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