音次郎の夏炉冬扇

思ふこと考えること感じることを、徒然なるままに綴ります。

國學院大アンカーの馬力

2011-01-03 21:26:42 | スポーツ
いやあ、正月早々いいものをみせてもらいました。18年ぶりの総合優勝の早稲田が霞むほどに、シード争いの終局で起こったハプニングと結末は、箱根駅伝史上に残る傑作でした。

早々に動画をUPしてくれた方がいて、こちらのまとめもわかりやすいですが、何度見てもハラハラドキドキ、そして笑いがこみあげてきます。

箱根駅伝は初日の往路に有力選手が集まる傾向にあり、2日目復路は波乱が少なくオマケのようなイメージを持つ人も少なくありません。戦術として復路を重視する駒大・大八木監督のような指導者もいますけどね。しかし、今年は日本橋を過ぎてもシード争いが予断を許さない大混戦で、大いに盛り上がりました。

箱根のシード権を取れるか否かは、天国と地獄の差があるといわれています。毎年の予選会は激戦であり、仮に通ったとしても、死力を尽くした予選会の後で本番にピークを持っていく調整は非常に困難なのです。今やこの国屈指の人気スポーツイベントになった箱根駅伝の出場権は、選手のみならず大学関係者にとって垂涎です。

10位までにシード権が与えられる状況で、最後の最後まで4人のランナーの8位争いが続きました。ということは、4校のうち3校までに入らなくてはなりませんが、ちょっと記憶にないほど物凄いデッドヒートです。古豪の日体大学にも意地があり、青学は昨年やっとこさ手にしたシードを死守したい、城西大学は前回11位で涙を呑んでいる、國學院は初シード狙いと、それぞれの思いを背負い、ラスト300メートルすぎまでは団子状態が続きました。

私は仕事柄、大手町のあの道をよく通るのですが、JRの高架をくぐれば、読売新聞本社前に設置されたゴールの上の「東京箱根間~」の大きな垂れ幕が正面に見えてもよさそうなものです。國學院大學アンカーの1年生・寺田は余力を残しているとみえて、グイッグイッととペースを上げ力強く前に出ます。でも心なしか右旋回するように身体を傾けたように見えた次の瞬間、なんと産経ビルの手前を旧日経本社、鎌倉橋方面に右折するではありませんか! そっち神田へ行く道だよ(笑) 実況のアナウンサーが絶叫し声が裏返るほどのアクシデントでしたが、寺田君は慌ててターンしてからの激走が驚異的で、残りわずか100メートル足らずだったのに、城西大学を再度抜き去り見事10位に滑り込みました。おめでとう!

注目とプレッシャーの中、20キロ以上を全力で走破したランナーは、ゴール後に精も根も尽き果て路上に倒れこむのが常で、今年はあの怪物・柏原とて例外ではありませんでしたが、この浅黒く眉の濃いイマ風の兄ちゃんはケロッとして、

あぶね~、あぶね~(今年流行りそうですネ)

と、事の重大さに比して、あっけらかんとしてあまり悪びれる様子もなかったのが爽やかでした。あれで負けていれば痛恨事として、ドラマ大好きのマスコミの餌食になっていたでしょうが、いやいや良かった。

それでも一部始終をTVで観ていて、「若さ」っていいなあと羨ましくなりました。

1年生だからコースをよく知らなかったのでしょうが、未熟ながら失敗してもすぐに取り返せるだけの馬力を持っているし、あまり余計なことを考えずに無心でリカバリーできるのも若者の特権でしょう。

その反面、知人の高校の先生は、今どきの若い子は素直だと評していましたが、正面に張られたゴールテープよりも、すぐ前の中継車にそのまま付いて行ってしまうのが、いかにも現代っ子という感じです。就活などでも、大局的な見地よりも身近な親や先生のいうことに従ってしまうこととも通底するような・・・。

それでもベタな悲劇にせず、皆を笑わせ幸せな気持ちにした寺田君、「道を誤らず」に精進して、来年もまた箱根の舞台で勇姿を見せてください。


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