Masaca's Blog 2

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新しいヘビ抗毒素

2006-06-06 21:25:26 | News Pick Up
New Scientistに新しいヘビ抗毒素開発に関する記事が出ています。

New antivenom could save more snakebite victims」New Scientist

毒蛇に咬まれたら、出来るだけ速く対応するヘビ毒の血清を打つのが一番重要ですが、この血清、各々のヘビ毒に対してそれぞれ作成しないと効きません。ましてや、その血清を咬まれた患者が発生したときのために常備しておく必要があります。しかし、この毒ヘビ用の血清は生産コストが高い上に需要がそれほど多く見込めるわけでもないため、利益があまりない上に動物愛護団体から血清を作るために馬を使うことに対する抗議を受けることから、大手の製薬企業が生産から手を引くなどといった困った状況が起こってる反面、アフリカなどではヘビ毒血清が不足していたりもするそうです。

ところが、ここで結構凄い技術が出現!だそうで…

Bioinformatics and Multiepitope DNA Immunization to Design Rational Snake Antivenom」PLoS Medicine 3, e184 (2006)

以下、New Scientist記事より要約。
この論文では、ヘビ毒素の一つである各種メタロプロテアーゼのコンセンサス配列を作成し、その中から酵素の外側に面する部分、つまり抗原決定基となる部分を選び出してこれをコードするDNAを連結したDNAを合成して、マウスに投与したそうです。そして得られた血清を試したところ、従来の血清よりも高い効果を示した上に、一つのヘビ毒だけでなく類似したヘビ毒にも効果を示したとのことです。

これは、咬まれたヘビが特定できない場合にも対応できる血清になりうる上、用意する血清の種類を劇的に減らすことが出来るなど、様々な利点があると考えられます。依然として血清の作成に馬が必要であることに代わりはありませんが、著者らはこの技術が発展途上国の会社がこの技術を使ってくれればと期待しているそうです。


…ていうかね、ちょっと待ちなさいよ!抗原をコードする合成DNAをマウスに投与するだけでそれに対する抗体が出来るですか?しかも、複数の抗原をコードするDNAを連結した形でもそれぞれの抗原に対する抗体が出来るですか?だったら、特定のタンパク質に対する抗体って抗原決定基さえ予測できたら合成オリゴを作って投与するだけで出来るってこと?これって常識ですか?わたしゃ知らんかった…

Complete nucleotide and coding sequence of conbined epitopes.と思って論文をよく読んだらそうではなさそう。どうもpVaxSecという免疫用プラスミドに、N末端側にIgK spliced leader peptideに続いてインフレームで抗原決定基をコードするDNA配列を間にKK(Lys-Lys)を挟んで連結したものを挿入してプラスミドを作成し、これをepidermal cellにトランスフェクトしたらしい。で、このKKを間に挟むと、epidermal cell内でプロテオリシスするサイトになっているらしく、発現したペプチドがちょうどそこで切られてエピトープとして働くという仕掛け。

もおぉ、ビックリさせんなよ。どうせ書くならきちんと正確に書こうよ。ま、元の論文の方はまともだし、それなりに技術的に参考にしてもいい手法だと思います。問題はNew Scientist…

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