地球上の小さな日記

繰り返す毎日の中に埋もれてゆく小さく些細な記憶達を、忘れないように書いてます。だから・・・

あの富士の山へ 第二章

2010年09月04日 15時09分52秒 | 小さな日記

五合目の広場から「泉ヶ滝」までは結構平坦な道が続いていたのだが、
ここからの道は急に勾配がキツくなり、
ここにきて額に汗が滲み出した。
その上、道はマグマが固まって出来たような小さな軽石で覆われていて、
ザクッと踏んでも下に石が流れてしまうので、全く踏ん張りがきかない。
つまり、サンダルなどで来た人はこれ以上先にはいけないだろう。
これは大変だ。わざわざスニーカーで来たのはよかったが、
富士をなめるなと軽石に言われたような気がした。



道が悪いせいなのか、空気が薄いせいなのか、
それとも早起きのせいなのかわからないけれど、
やたら足が疲れるので、チョコチョコ休憩しながらゆっくり登っていく。



遠くから見ると綺麗な富士山も、近くから見るとおどろおどろしい感じがする。
ここまでくると背の高い木はもう見当たらない。
有るのは昔どこかで習った高山植物というヤツばかりだ。

ザクッ、ザクッと汗を拭いながら一心不乱に登っていくと、
ある時人工的な建造物がチラッと見えた。
アレが六合目か!



六合目に到着!!
想像していたよりもずっと厳しかった。
それにもかかわらず、パッとしない。
五合目までとはいかなくても、多少いろいろな施設が有ると思っていたのだが、
有るのは「安全指導センター」とトイレだけ。
でもまぁ、それは当然か。
ここはもはや観光レベルの場所じゃないのだから。



頂上方面を見上げると、ここからはさらに厳しさが増しそうな道が延々と続いている。
そして、頂上に有るという観測所も見えない。
ウ~ム。
見るからにこれは地獄だ。
明確な目標と強い精神が無ければ登頂は出来まい。



あの水たまりは山中湖か。
ゴツゴツした岩に腰掛けて休憩していると、急に腹が減ってきた。
なるほど、この足の疲れはエネルギー切れということか。



しばらく景色を眺めながらボーっとした後、
今度は五合目の車に置いてきた弁当を目標に、
今来た道を戻っていく。

下りは楽だろうなんて思っていたが、
それは間違いだった。
下りは下りでさっき言った小さな軽石がすぐに崩れるので、
注意をしていても危ないのだ。
行きも怖いし帰りも怖い。
富士に登ろうとしている人には常識かもしれないが、
本当に富士をなめたら大変なことになるだろう。

                          
                         つづく





あの富士の山へ

2010年09月04日 09時30分59秒 | 小さな日記

平日の金曜日にわざわざ有休を取り、
いつも以上に早起きして洗車で車を清めた後、家を出る。

素晴らしい快晴。
空の彼方にうっすらと見える秀麗なシルエットは、いつか諦めた富士山。
本日の目的の地だ。

そう。今日はそのために有休を取ったのだ。
前回はとてつもない渋滞で諦めざるを得なかったけれど、
今日は平日だし夏休みも終わっているし、きっと大丈夫だろう。
「今日こそは、今日こそは必ず行ってやるぞ富士山」と思いを込めて、
まだガラガラの道をひたすら西に向かって走って行ったのだった。

いつもの足柄SAで休憩を取り、前回と同様の道で富士吉田を目指す。
道は同じだが、交通量は全然違う。
スイスイスイと富士五湖道路を富士吉田で降り、そのまま富士スバルラインへ。

前回全く動かず、
関係者らしきオッサンに絶望的な状況を聞いた場所もアッという間に通り過ぎ、
料金所で2000円払ってどんどん富士の山を車で登っていく。
一合目、二合目、三合目と、登っていくにつれて、
車に搭載してある外気温時計がどんどん下がっていく。
やがて、麓では30℃近く有った気温が21℃を表示した頃、
何の苦もなく目的地が見えてきた。



待望の富士山五合目に到着!!
標高は2305メートル。強力なエアコンの前に立たされているくらい涼しい。
下界では35℃らしいが、そんなの全然想像できない。
景色も今まで見たことがないような壮大かつ広がりがあるもので、
自然とため息が出てしまう。







ここ五合目は富士登山の起点となっている場所のひとつなので、
天空に浮かぶような大きなレストハウスやお土産屋が並んでおり、
これから頂上を目指す重装備の人や、観光バスで遊びに来たような軽装の人、
そして、御来光を見て下山してきたであろう人でかなり混雑していた。
さすがは超人気パワースポット!!



五合目の広場を抜けていくと、いよいよ富士山登山道に入る。
と言っても、まだまだこの辺は「登山」という感じではなく、
平坦な道が続いているため、
比較的軽装で犬連れのオレたちでもしばらく行けそうな雰囲気。
実際、軽装の人もあちら側からやってきている。
大きな地図看板を見ると、泉ヶ滝という場所までは普通に行けそうだったので、
折角だからと、オレたちも先を進んでみる事にした。



まるで天空を歩いているような不思議な感覚に支配される。
これが霊峰富士。
パワースポット言われる所以が少しわかる気がする。



下界を見やれば、河口湖の町と富士吉田市が見える。
まるで、色とりどりの宝石を小さく砕いて敷き詰めたみたいな景色。

何という小ささよ!

あの景色の中に何万もの人がいるなんて信じられない。
やっぱり人間はちっぽけな存在なんだね。
でも、このちっぽけな存在がたくさん集まって大きな事を考え、
ちっぽけに見える行動を起こして、良くも悪くも世界は少しずつ変わっていく。
この大きな世界が変わっていくのか・・・。
すごいことだね。


ザクッ、ザクッと緩やかな起伏の道を行くと、
ややあって、「泉ヶ滝」という場所に出た。
ウ~ム。思っていたよりも近い。ちょっと食傷気味。
大きな看板を見上げてみると、六合目までは結構近そうな感じ。

道は幾分険しくなりそうな気配だったが、
富士登山を少し味わえる絶好の機会だし、
ここは切り良く六合目を目指すことになった。

                        つづく