ケニチのブログ

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アンセルメの「春の祭典」

2008-02-10 | 音楽 - ストラヴィンスキー
 エルネスト・アンセルメ+スイス・ロマンド管弦楽団の「春の祭典」をラジオから取ってCDに焼いた.同じキャストによる「春の祭典」は1950年モノラル録音と1957年ステレオ録音の2回録音されている.今日ラジオで放送されたのは後者で,アンセルメのストラヴィンスキー全集にも組み込まれている有名な録音だ.小太鼓のバチで擦られるゴングの音が聴こえる初めての録音として,当時話題になったそうだ.依然,録音環境の未熟さに由来する,楽器の音量の不均衡は残っているけれど.
 音楽は,全体的に素朴.素朴だけれども,攻撃的な音がよい.生れて初めて聴いた「春の祭典」がアンセルメの1950年の録音だったこともあってか,僕はずっとそっちの方が好きで,世間では1957年の録音が圧倒的に高く評価されているのが,少し不満だった.単にステレオ録音だから聴きやすいというのにすぎないんじゃないか.しかし,今日1957年の攻撃的な音楽を聴いて,その意味がよく分かった.
 版は,勿論1913年版を採用しているが,ところどころスコアとは異なる音が聴かれることも印象的だった.きわめつけは,「いけにえの踊り」のシンバルの一撃.録音当時アメリカにあって,自作の改訂作業に明け暮れていたストラヴィンスキーに対する,アンセルメの皮肉なのかもしれない.
 番組で,アンセルメが元々物理学者だったことが紹介されていた.音楽が構築的だと言われるのはそのためかと納得.

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