ティエリー+BBCウェールズ管=ストラヴィンスキー「火の鳥」他

　先日買ったCDを聴いた．T.フィッシャー指揮+BBCウェールズ・ナショナル管弦楽団による，ストラヴィンスキー『火の鳥』ほか．

　遅めのテンポを採り，譜面を正確かつ細部まで念入りに追った演奏．ティエリー率いるBBCウェールズ・ナショナル管は，ライヴレコーディングゆえのラフさはあるが，ストラヴィンスキーの力強い作風を，やや暗い独特の音色とアンサンブルのなかに引き出している．ただし，緩徐部などで，もったいつけたようなルバートやカンタービレを多用し，そのせいで音楽が間延びするのは残念．若い王女と王子が恋に落ちたり，謎めいてはいるが生き生きとした火の鳥が登場するストーリーに，およそ似つかわしくないしつこさなのだ．録音は鮮明で，各セクションとオーケストラ全体の様子とを，ともに美しい残響のなかに捉えたもの．


FIREBIRD / STRAVINSKY
BBC National Orchestra of Wales，
Thierry Fischer (conductor)，
Signum Records，SIGCD165