金銭を診察したことはない ~技量だけではなかった名医~【K's EYE】

2009-12-31 21:00:46 | K's EYE
 今年も残すところあとわずかとなりました。

 今日の紅白歌合戦では、
 これまでジャニーズ事務所からは2組のみ、という慣例を覆し、
 シングル・アルバム・音楽DVDの売り上げで3冠を達成した、
 嵐が初出場するなど、なかなか話題性がありそうですね。

 私も家族と共に勝負の行方を見守りたいと思います。

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【今日のちょっといい話】

◇金銭を診察したことはない ~技量だけではなかった名医~

 家康の第十男、徳川頼宣が藩主であった紀伊(和歌山県)に、
 奈波加慶(なわかけい)という名医がいた。

 江戸から帰ったあるとき、紀伊国第一の富豪、
 鴻池孫右衛門(こうのいけまごえもん)が重病で苦しんでいる、
 ぜひ診てくれないか、とたのまれた。

 鴻池の使者はそのとき、加慶にこう言った。
「鴻池孫右衛門というお方は紀州第一の大金持ちであります。
 どうか他の病人よりも、丁寧に診察してくださるようお願いします」

 とたんに加慶のきげんが悪くなり、きっぱりと、断ったのである。

「先ほど、ご依頼をうけたときは、
 さっそくご診察申し上げようと思いましたが、
 あなたのお言葉を承って、もはや診察申し上げる気はなくなりました。
 なにとぞあしからず、孫右衛門さまにも、このよしお伝えくださるよう」

「それはまた、どうしたわけで……」
 驚いてたずねる使者に加慶は、こう諭したという。

「別に理由というほどのことではありません。
 ただ初めは、重病人でお困りときいたのでいって診ようと思ったのです。
 ただいまのお言葉だと、大変金持ちであるから、丁重に診察せよとのこと。
 私は今日まで病人は診察してきたが、金銭を診察したことはありませぬ」

 感服した使者は、非礼を詫びてひきさがったという。
 さすが当代随一の名医、技量だけではなかったのだ。

 権勢にも左右されず、富貴にも心を動かさなかった加慶の優れた人格に、
 医は仁術をみたのであろう。


【編集後記】

 オバマ政権が重視しているアフガニスタンで、
 反政府武装勢力タリバンの自爆テロが相次いでいるようですね。。

 今日も13人が死亡するなど、今年に入ってからの死者は、
 すでに過去最悪だった08年を大幅に上回り、
 520人を超えました。

 アフガニスタンにも真の平和が訪れる日を念じています…。

忘れ物の二百両を届けにきた馬の親方 ~誠の感化~【K's EYE】

2009-12-30 19:10:05 | K's EYE
 東京株式市場は今日が今年最後の取引、「大納会」でした。
 ここ数日の株価の値上がりもあり、
 3年ぶりに昨年末の終値よりも高い1万546円で取引を終えました。
 長引く不況にもようやく光が見えてきたようですね^^

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【今日のちょっといい話】

◇忘れ物の二百両を届けにきた馬の親方 ~誠の感化~

 優れた師匠を求めまわった熊沢蕃山(くまざわばんざん)。
“ここに師あり”と、近江聖人(おうみせいじん)・
 中江藤樹(なかえとうじゅ)の門に入ったのは、
 同宿の、商人の話を聞いたのが因縁だった。

 以下は、商人の話。

 かつて私が京都へいったとき、草津付近で、
 主人の大金二百両を紛失してしまった。
 とほうにくれ、死も覚悟していた夜半、
 旅籠(はたご)の戸をたたき、ぜひ私に会いたいという者がいた。
 出てみると、今日乗った馬の親方ではないか。

「あなたを送って家に帰り、馬の鞍を調べて見ると、
 このような大金が忘れられていた。
 確かに、あなたのものにちがいない。
 どんなにこそ、お困りのことかと駆けつけました。
 これでやっと肩の荷がおりた思いです」
 と、私の失った金子を目の前にさしだした。

 地獄で仏の私は、今時、こんな人があったのか。
 身に学問はなくとも、その心根(こころね)は
 聖(ひじり)にも劣らぬものだと感心して、
 これは、ほんのお礼のしるしと、さしだした十六両も、

「私は別に立派なことも、かわったこともしたおぼえはありません。
 あなたのものを、あなたに返すのはあたりまえ。
 お礼など、もらう訳はありません」
 と、いっこうに受け取ろうともしない。

 強く心を打たれた私は、いかにも美しい心がけなので、
 その理由をたずねてみた。

「私の郷里に、中江藤樹という先生がおられます。
 先生は、いくら貧乏したとて、よけいに金銭をねだったり、
 不正な金をわが物にしたりして、みだりに利に走ってはならない。
 守るべきは、誠(まこと)の心一つだと言われます。

 今夜きたのも、その教えのとおりにしたまでで、
 別にたいしたことではありません」
 という。

 馬子(まご)殿の行為はみな、中江先生という人の感化であるそうな。
 まったく偉い方もあるものです。

“この人をおいて、わが求むる師なし”と熊沢蕃山をして決意させたのは、
 この商人の、感動的体験談であったという。


【編集後記】

 鳩山総理が今日、今後の日本経済の成長戦略を発表しました。
 これまで軽視されがちだった、環境分野への取り組みに着目し、
 その他、「健康」に関することや、観光事業などが軸になるようです。
 今後国際的に環境問題が大きくクローズアップされれば、
 新たな需要と共に、雇用問題の改善にも繋がりそうですね。

あわれむ心のないものは恵まれない ~試された親切心~【K's EYE】

2009-12-29 23:28:33 | K's EYE
 来年1月から日本年金機構が発足するのに伴い、
 今日をもって社会保険庁が47年の歴史に幕を下ろしました。
 これにより、525人が民間企業で解雇にあたる「分限免職」となりました。

 分限免職は1964年以来45年ぶりのことで、
 しかも数百人規模というのは過去に例がないようです。
 年金記録問題がいかに深刻な問題だったかということがわかりますね…。

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【今日のちょっといい話】

◇あわれむ心のないものは恵まれない
  ~試された親切心~

 釈尊が、ある家へ乞食の姿で現れ、一飯をこわれた。
「私の家には、夫婦の食べるものしか炊いていない」
 出てきた主婦は冷たくあしらう。

「それでは、お茶を一杯、恵んでくださいませんか」
「乞食が、お茶などもったいない。水で上等だ」

「それでは私は動けないので、水を一杯、くんでくださいませんか」
「乞食の分際で、他人を使うとは何事だ。
 前の川に水はいくらでも流れているから自分で飲め」

 釈尊は、忽然と姿を現し、
「なんと無慈悲な人だろう。
 一飯を恵んでくれたら、この鉄鉢に金を一杯あげるはずだった。
 お茶を恵んでくれたら、銀を一杯あげるはずだった。
 水をくんでくれる親切があったら、錫を一杯あげるつもりであったが、
 なんの親切心もない。
 それでは幸福(しあわせ)は報うてはきませんよ」

「ああ、あなたはお釈迦様でしたか。さしあげます、さしあげます」
「いやいや、利益をめあてにする施しには、
 毒がまじっているからいただかない」
 と、おっしゃって帰られた。

 帰宅して、一部始終をきいた主人は、
「おまえはばかなやつだ。
 なぜ一杯のご飯をやらなかったのだ。金が一杯もらえたのに」
「それがわかっていれば、十杯でもやりますよ」
「よしそれなら、おれが金とかえてもらおう」
 と、釈尊の後を追った。

 へとへとになったところで、道が左右に分かれている。
 ちょうど、道ばたにうずくまっている乞食がいるので、
「乞食、ここを釈尊が、お通りにならなかったか」
「ちっとも知りませんが……
 私は空腹で動けません。なにか食べ物を恵んでくださいませんか」

「おれは、おまえに恵みにきたのではない。
 金をえるためにきたのだ」

 そのとき、釈尊は変身なされ、
「妻も妻なら夫も夫、あわれむ心のないものは恵まれないのだ」
「あなたが釈尊でしたか。あなたにさしあげるためにきたのです」
「いいえ、名誉や利益のための施しには、
 毒がまじっているからいただくまい」
 厳然とおっしゃって、釈尊は立ち去られた。


【編集後記】

 スピードスケートの清水宏保選手が、
 今回のバンクーバー五輪の出場を逃したことを期に、引退するそうですね。
 これまで4回オリンピックに出場しましたが、
 長野五輪での日本人初の金メダルは、今でもはっきりと覚えています。

 一方で、同じく4大会連続出場をしていた岡崎朋美選手は、
 38歳にして見事代表の座を勝ち取り、5大会連続出場を決めました。
 これだけ代表を守り続ける、というのも凄いことですね…!

すぐ百万円を持っていったのは、なぜか ~恩知らずになりたくない~【K's EYE】

2009-12-28 23:50:17 | K's EYE
 先週の全国のインフルエンザ患者数が、さらに減少したようですね。
 ここ3週連続で減少しており、警報レベルの県も、9県にまで減りました。

 こうした中、果たしてリスクを犯してまで、
 海外製の新型インフルエンザワクチンを輸入すべきなのか、
 今日から一般の意見が公募されることになりました。
 どんな意見が寄せられるのか、気になるところですね。

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【今日のちょっといい話】

◇すぐ百万円を持っていったのは、なぜか
  ~恩知らずになりたくない~

 不治の病にかかった大富豪が、奇跡的に快方に向かった。
 全快に近づいたとき執事を呼んで、
「すぐに主治医へ、百万円包んでお礼にいってくれ」
 と命じた。

「だんなさま。全快なさってからでよいのではありませんか」
 不審そうな執事に、こう富豪は話したという。

「いや、すぐでなければならぬのだ。
 あの絶望のとき、もし私の病を治してくれたら、
 全財産をさしあげてもよいと、本心から思った。

 ところがどうだ。
 危機を脱すると、そんなにまでする人はないのだから、
 半分ぐらいにしておこうか、に変わってきた。

 だんだん調子よくなるにつれて、三分の一でもよいのでないか。
 財産の執着が次第にふくれ、百万円だすのもバカらしくなってくる。

 医者は病気を治して当然でないか。いくら治療しても死ぬ人がいる。
 治ったのは医者の腕とばかりは言えない。
 してみれば法外な礼は、他人に笑われるだけ、と考えだしたのだ。

 こんな私は、健康体になってからだとビタ一文ださず、
 請求されるまで自分の手元において、利子まで計算するにちがいない。
 そんな恩知らずに、私はなりたくないのだ。
 起きあがれないときに百万円持っていってくれ」

“借りるときのえびす顔、返すときのエンマ顔”といわれる。
 就職をたのむときや、なにかお世話になるときは、
 愛嬌をふりまき、おべっかのかぎりを尽くす。
 このご恩、終生忘れはせまいと、そのときは思うのだが、
 いつの間にやら見向きもしなくなるのが人情である。

 ご恩をありがたく感謝する者は成功し、
 ご恩を当然と流し去る者は、必ず信用を失う。


【編集後記】

 一時騒がれていた鳩山首相の偽装献金問題ですが、
 母親からの資金供与が贈与にあたるということで、
 贈与税約5億7500万円を納税したそうですね。
 小遣いにしてはちょっと桁が大きすぎましたね^^;

殺して生かす ~相手を裏切り、ののしられ、迫害も覚悟しなければならぬこともある~【K's EYE】

2009-12-27 23:27:11 | K's EYE
 来年2月に迫ったバンクーバーオリンピックの最終選考も兼ねた、
 フィギュアスケートの全日本選手権が今日最終日を迎えました。
 女子は今季不振だった浅田真央が優勝し、五輪出場を決めました!

 前回大会は年齢規定で参加できなかったため、
 浅田は今回が五輪初出場になります。
 世界の大舞台でも頑張ってほしいですね^^

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【今日のちょっといい話】

◇殺して生かす
  ~相手を裏切り、ののしられ、
   迫害も覚悟しなければならぬこともある~

 アメリカが今日のように、交通機関が発達していなかったときのことである。
 夕闇せまる田舎道を、和気あいあいの乗合馬車が走っていた。
 ガス灯のゆれるウス暗い車中には、立っている乗客はなかったが、
 ほぼ満席であった。

 やがて馬車が、うっそうと生い茂った、奥深い山道へとさしかかったころ、
 どこからともなく、物騒なささやきが聞こえてきた。
「ここによく、ギャングが現れるそうだ」
「乗合馬車がよく襲われるそうだが、今日はだいじょうぶだろうか」
「そういえば、ギャングのでそうな、さびしい道だ」

 すると一人の青年が、ワナワナとふるえて、隣席の紳士に相談を持ちかけた。
「今の話は本当でしょうか。
 私は今、汗とあぶらでためた三千ドルの大金を持っています。
 もし、これを奪われたら、私は死ぬよりありません。
 どうしたらよいのでしょうか」

 紳士は、静かにうなずき、
「私がよい方法を教えましょう。
 靴の中へ隠しなさい。足の下までは調べないでしょう」
 青年は教えられたとおりにした直後、ギャングの一団が馬車を襲った。
 車内に踏みこみ、シラミつぶしに乗客の金品を略奪し始める。

 その時、ギャングに件の紳士が叫んだ。
「この男は、靴の中に大金を隠しているぞ」
 ギャングたちは、思わぬ大戦果に酔い、
 後はろくに探そうともせずに雀躍(じゃくやく)と立ち去った。

 乗合馬車は、何事もなかったかのように、また走り続けたが、
 乗客は異口同音に紳士を罵倒し、ギャングの一味だと青年は激昂し、
 殺気がみなぎる。
「すまない、すまない、今しばらく辛抱してください」
 紳士は、おだやかに、くりかえすばかりであった。

 馬車は町へ着いた。
 忍耐の限度を超えた青年は、紳士につかみかかろうとする。

「すまなかった。
 実は私は、十万ドルの大金をもっていた。
 三千ドルも大金ですが、それで十万ドルが救われました。
 お礼に一万ドルをあなたにさしあげます。
 どうか、お許しください」

 ことの真相を知った青年は深く反省し、心からお詫びと謝礼を述べたという。

 人生には、より大切なことを遂行するために、
 一時は相手を裏切り、ののしられ、
 迫害も覚悟しなければならぬことのあることを、
 知っておかなければならない。


【編集後記】

 厚生労働省によると、専門家による審議の結果、
 外国製新型インフルエンザワクチンについて、
 条件付で輸入が特例承認される方向のようですね。

 問題のイギリスGSK社の製品も、
 結局安全性には問題ないとの判断がなされたようです…。

 今回は本来1年以上かける承認審査を簡略化しているだけに、
 輸入ワクチンの副作用に関する情報には目を光らせておきたいですね。

甚五郎のネズミはうまかった ~技量と智恵~【K's EYE】

2009-12-26 22:52:40 | K's EYE
 新型インフルエンザワクチンを全国民が接種するために、
 輸入ワクチンに期待が集まっていますが、

 海外で副作用が多く報告され、調査が進められていた
 イギリスのグラクソ・スミスクライン社(GSK)製のワクチンには、

 本来は見られない原因不明のにごりが生じたり、
 国内で行った動物実験でも予想以上に死亡率が高かったようで、

 今後一般の意見も公募して、しっかりと検討がなされることとなりました。

 下火になってきたとはいえ、
 ワクチンを確実に接種して感染拡大を防ぎたいところですね。

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【今日のちょっといい話】

◇甚五郎のネズミはうまかった ~技量と智恵~

 名工といえば左甚五郎(ひだりじんごろう)。
 日光東照宮の“眠り猫”、上野寛永寺の“昇り龍”など、
 あまりにも有名である。

 江戸初期、播磨国(はりまのくに・兵庫県南部)に生まれた。
 本名は、伊丹利勝(いたみとしかつ)。
 生まれつき左ききで、左手一本で仕事をしたので、左甚五郎と呼ばれる。
 彼も「左」を自分の姓にしたという。

 菊地藤五郎(とうごろう)は、甚五郎と並んで、
 当時、彫刻界の双璧といわれた。

 碁、将棋、野球、相撲、剣道、プロレスなど、
 何事も他人(ひと)は、競争させ、応援したがるものである。
 ひいき筋はそれぞれ、日本一の名工と誇り、
 時にはエスカレートして、血なまぐさい争いまで起きる始末。

“だいたい、日本一が二人いるのがおかしい。決着つけてほしい”の要望が、
 世間に満ちていた。

 耳に入った将軍は、両人を呼んで、こう命じた。
「どちらが日本一か。その場で、ネズミを彫刻してみよ」

 両者は必死で、ノミをふるう。
 チョロチョロと、今にも動き出すような二匹のネズミを一見して、
 将軍は驚いた。
 まったく甲乙つけがたい、みごとなできばえであったからだ。

 困惑の将軍に、側近の智恵者がささやく。
「ネズミのことなら猫が専門家。猫に鑑定させたらいかが」
 大きくうなずいた将軍は、さっそく広場に二匹のネズミを、離して置かせ、
 猫に狙わせる。

 放たれた猫はまず、藤五郎の彫ったネズミに直進した。
“藤五郎が日本一か”と思った瞬間、
 どうしたことか、パッと吐き捨て、甚五郎のネズミに突進、
 ガブリとくわえて、飛んで逃げ去ったのである。

 万雷の拍手と歓声が、甚五郎にあがった。

 藤五郎のネズミは、木で彫ってあったが、
 甚五郎のは、鰹節(かつおぶし)で作ってあったのだ。

 技量だけでは、真の名人とはいわれない。
 臨機応変の智恵が必要なのである。


【編集後記】

 警察庁の調べによると、
 今年の自殺者は11月時点ですでに3万人を超え、
 12年連続で3万人以上となりました。
 このままいくと過去最多になる可能性も出てきましたね…。

 景気悪化を原因に挙げる人もいますが、
 それなりに景気が回復していたときでも、
 やはり3万人は超えていたことを考えると、
 問題はもっと根底にあるような気がします。

だから青年白石は三千両を拒否した ~信念は未来を開拓する~【K's EYE】

2009-12-25 22:56:04 | K's EYE
 2010年度の予算案が、今日閣議決定されました。

 民主党が政権公約・マニフェストに掲げた主要政策が盛り込まれた結果、
 社会保障費が9.8%増加し、代わりに公共事業費が大幅に削減されるなど、
 鳩山政権の「コンクリートから人へ」の姿勢が顕在化したものとなりました。

 今回の予算案では、初めて国の借金である国債の発行額が税収を上回り、
 一般会計総額も92.3兆円と過去最大のものとなりましたが、
 これまでの借金があまりにも大きすぎたことを思えば、
 ある意味やむをえないことなのかもしれませんね。。

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【今日のちょっといい話】

◇だから青年白石は三千両を拒否した ~信念は未来を開拓する~

 徳川六代将軍・家宣(いえのぶ)に仕えて、
 敏腕をふるった政治家・新井白石(はくせき)が、
 まだ無名の一学徒であったときである。

 当時の碩学(せきがく)・木下順庵(じゅんあん)のもとで、
 昼夜勉学にいそしんでいたころ、
 友人に河村瑞賢(ずいけん)という富豪の息子がいた。

 白石が貧困と戦いながら勉学に励んでいるのをきいた瑞賢は、
 白石の学才の優れていることを知り、
 将来を強く嘱望して、経済的援助を、息子を通して申しでた。

「あなたはよく貧困と戦って勉強していられるが、
 私の父も、深く同情しております。
 ついては父が、あなたに三千両を提供して、
 学資の一助にしてもらいたいと言っていますが、いかがでしょうか」

 白石は心から、その厚意を感謝してから、毅然として拒絶した。

「昔話にもあるように、小蛇(しょうじゃ)のとき受けた、
 ほんの小さなきずが、大蛇となったときには、
 一尺あまりの大きずになっていたということがあります。

 今、私が貧しさのあまり、ご厚意を受けて、
 三千両の金子をいただいたとしたら、
 それは今でこそ小さいことではありましょうが、
 後に思いもよらぬ、学者の大きずになるかもしれません。

 そうなればいかにも残念です。
 それを思うと、いかに小さいきずでも、今は受けたくありません。
 この旨をお父上に、よろしく申し上げてくださるようお願いいたします」

 目前の金子などには目もくれない、
 大理想に生きていた青年学徒にしてはじめて、
 あれほどの大政治家になったのである。

 未来ある者は、すべからく白石のごとき信念をもって、
 どんな小さなきずも恐れて、
 広大の天地を開拓する基礎をかためてゆかねばならない。


【編集後記】

 アメリカの議会では、オバマ大統領が最も重視している、
 医療保険制度改革の関連法案がついに上院でも可決しました。

 今後上院と下院で調整が行われ、
 1月末までには成立する見通しです。

 ようやくアメリカにも、
 誰もが安心して医者にかかれる時代がきそうですね^^

世界一おいしいご馳走ができあがりました、と料理人は言った【K's EYE】

2009-12-24 23:20:20 | K's EYE
 偽装献金問題で二人の元秘書が起訴されたことを受け、
 今日鳩山由紀夫総理が記者会見を開きました。

 6億円も脱税していた、というのは問題ですが、
 額があまりにも大きいだけで、実際のところは、
 母親から小遣いをもらっているようなものなんですよね…。

 あまり騒ぎすぎるのもいかがなものかと思います。

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【今日のちょっといい話】

◇世界一おいしいご馳走ができあがりました、と料理人は言った

“世界一おいしい、料理が食べたい”
 昔、ある王様がこう言って、国中の料理人を召集した。
 王宮で常に、食の贅を極めているので、どの料理も、おいしいとは思えない。
「へたなやつばかりだ。もっと上手な料理人を探しだせ」

 側近が困惑していると、
「私が世界一の料理人でございます」
 と、申しでた者がいた。

「余の満足する料理が作れるか」
「おそれながら、それには、私の言うことをお守りいただかねばなりませぬ」
「おもしろいことを言うやつじゃ。守ってやるから作ってみよ」
 王様も、意地になって承諾する。

 それから三日間、昼夜、王様のそばを離れず、ジッとしているだけだった。
「いつ時、料理を作るのじゃ」
「はい。そのうちに、必ずお作りいたします」

 三日目にもなると、空腹でヘトヘトの王様に、粗末な野菜料理が運ばれた。
「さあ。お約束どおり、世界一おいしいご馳走ができあがりました。
 十分にお召し上がりくださいませ」

 むさぼるように、それをたいらげてから、王様は言った。
「こんなおいしいものを食べたことがない。なにを、どんなに料理したのか」

 料理人はそのとき、こう答えたという。
「料理の上手は飢えにあります。
 空腹で召し上がるものが、一番の、ご馳走でございます」

“おいしい”と感ずるのは、飢えという苦しみの軽減されてゆく過程である。
 飢えの苦のないところに、おいしいという楽しみは、ありえないのだ。

 人生もまた同じ。
 苦しみから逃げまわって生きようとする者は、
 絶対に楽しみを味わうことができない。

 意気地なしや卑怯者と、真の幸福は、無縁のものなのだ。
 楽の元は苦、といわれるではないか。


【編集後記】

 今日は各地の小中学校で終業式があったようですが、
 新型インフルエンザの影響で休校や学級閉鎖が相次いだため、
 冬休み中も補充授業をする学校も多いそうですね。

 それだけ今年は新型インフルエンザが流行していたということですが、
 最近ようやくおさまってきたようなので、
 このまま終息に向かうことを念じています。

最初から負けていた ~勝利のカギ~【K's EYE】

2009-12-23 22:39:30 | K's EYE
 民主党の目玉政策の一つにあげられるのが農業政策ですが、
 全国の米農家を対象とした戸別所得補償制度の詳細が、今日発表されました。

 予算が当初の要求通り認められたことを受け、
 10アールあたり1万5千円が定額給付されることとなりました。

 近年、米の販売価格の下落により、生産コストが販売価格を上回ってしまい、
 作れば作るほど赤字になってしまう農家が増えていたようで、
 これを打破するための政策として、期待が寄せられているようです。

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【今日のちょっといい話】

◇最初から負けていた ~勝利のカギ~

 数が勝利をもたらすことが多い。
 だがその数よりも勝利の要素がある。
 団結である。
 天下分けめの関ヶ原の合戦が、雄弁にそれを物語っている。

 徳川家康ひきいる東軍と、石田三成の西軍とでは、
 東軍が明らかに劣勢だった。
 明治時代、日本陸軍の指導にきていたドイツ軍の参謀が、
 関ヶ原の配置図を見て、
「西軍が負けたとは、信じられない」
 と語ったエピソードがあるほどだ。

 両軍あわせて十万挺(ちょう)の鉄砲を集中した、
 当時としては、世界最大の戦闘である。
 その火力においても西軍が勝っていた。
 にもかかわらず、西軍が、なぜ破れたのか。

 戦争の勝敗に決定的要素となる団結が、東軍に劣っていたからである。

 統率者の石田三成に人望がなく、
 加藤清正、福島正則といった秀吉子飼いの猛将たちに造反されてしまった。
 加えて淀君(よどぎみ)と、
 秀吉の正室である北政所(きたのまんどころ)の確執が、
 関ヶ原における西軍の小早川秀秋の裏切りを呼んだ。

 こんな状況では、最初から西軍は負けていたのと同じである。

 第二次大戦で独裁者ヒットラーのドイツが敗れたのも、同じことがいえる。
 一九四四年、ヒットラーは国防軍のしかけた爆弾で、
 あわや暗殺のピンチに立った。
 カナリス軍情報部長や、空軍大佐のゲーリングさえ、
 アメリカと通じあっていたのである。

 人望がなかったのは、ヒットラーばかりではなかった。
 戦争中、ナチスドイツの幹部が、女の問題でケンカをしていたという。
 原因が女であれなんであれ、
 最も団結を要する戦いに、幹部が不統一だということは、
 戦わずして負けたも同然だ。

 関ヶ原の西軍も、ナチスドイツも、
 団結という勝利のカギを失っていたのである。


【編集後記】

 千葉県市川市で2007年、イギリス人英会話講師が殺害された事件で、
 罪に問われていた市橋達也容疑者が、
 今日、殺人と強姦致死の罪で千葉地裁に起訴されました。

 どうやらこの事件は裁判員裁判の対象となるそうで、
 マスコミなどの影響も気になるところですね…。

大石内蔵助の十三年間 ~先見と熟慮~【K's EYE】

2009-12-22 23:55:31 | K's EYE
 今日の夜行われた臨時閣議で、
 ようやく2010年度の税制改正大綱が閣議決定されました。

「子ども手当」の財源として一部扶養控除が廃止されたり、
 たばこ税の増税などがあり、
 結果としてマニフェストに掲げた2.5兆円減税は難しくなりましたが、

 財源を確保した分、しっかりと政策を実行してもらいたいものですね。

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【今日のちょっといい話】

◇大石内蔵助の十三年間 ~先見と熟慮~

 かの大石内蔵助(くらのすけ)が、
 播州(ばんしゅう・兵庫県)赤穂(あこう)藩の
 家老をつとめていたころである。

 城下の町人の中に、赤穂で塩を造ったら、
 おおいに藩の財政を潤すだろうと考えた者がいた。

 そこで同志を帯同して、家老大石に面会し、
“赤穂藩のためにぜひ、ご許可を”と懇願した。

 こまかい彼らの申請を、つぶさに聞いていた大石は、やがてこう答えている。
「なるほど、その方(ほう)らの考えは大変おもしろい。
 よく検討したうえ、沙汰しよう」

 おそくとも三ヵ月か半年中には、認可されるだろうと、
 町人らは鶴首(かくしゅ)して待っていた。
 が、一年たっても二年たっても、なんの音さたもない。

 光陰矢のごとし、はや五年の歳月が流れた。
「大石さまも、わかったような顔をしていても、なにもわからないものだ」
 一同あきらめて、忘れかけていた十三年目、ようやく呼び出しがかかった。

「十三年前、その方らが、製塩の許可を願い出たことを覚えているか。
 あの話を聞いたときから、よい発想とは思ったが、
 よくよく考慮したところ、問題があったのだ。

 まず、塩を煮るには薪がいる。薪をたくには木を切らねばならぬ。
 多くの樹木を切ると山がはだかになる。
 はだかの山に大雨が降ってみよ。
 たちまち洪水だ。

 大洪水になれば田畑はメチャメチャ。
 農業の荒廃は一藩の荒廃じゃ。
 そう気がついたので、あれから十三年、植林に尽力してきた。

 もうそろそろ木を切り出しても、山がはだかになる心配はなくなった。
 よって、その方らの製塩事業を許可する。
 おおいに城下が潤うよう、つとめてもらいたい」

 後日、四十六士を結集し、いくたの困難を乗り越えて、
 みごと、主君の恨みを晴らす、大石内蔵助の智慮の周到さを、
 ここでも、かいま見ることができるようだ。


【編集後記】

 富山市では、明日、路面電車の環状線が36年ぶりに復活します。

 車社会の富山では公共交通機関があまり発達していないのですが、
 高齢化で車に乗れないお年寄りが増えることを見越してのことのようです。

 なかなかおしゃれなつくりの電車のようで、
 料金も200円とお手ごろ、しかも昼間は10分間隔で運行されるそうで、
 人気が出そうですね^^