だから青年白石は三千両を拒否した ~信念は未来を開拓する~【K's EYE】

2009-12-25 22:56:04 | K's EYE
 2010年度の予算案が、今日閣議決定されました。

 民主党が政権公約・マニフェストに掲げた主要政策が盛り込まれた結果、
 社会保障費が9.8%増加し、代わりに公共事業費が大幅に削減されるなど、
 鳩山政権の「コンクリートから人へ」の姿勢が顕在化したものとなりました。

 今回の予算案では、初めて国の借金である国債の発行額が税収を上回り、
 一般会計総額も92.3兆円と過去最大のものとなりましたが、
 これまでの借金があまりにも大きすぎたことを思えば、
 ある意味やむをえないことなのかもしれませんね。。

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【今日のちょっといい話】

◇だから青年白石は三千両を拒否した ~信念は未来を開拓する~

 徳川六代将軍・家宣(いえのぶ)に仕えて、
 敏腕をふるった政治家・新井白石(はくせき)が、
 まだ無名の一学徒であったときである。

 当時の碩学(せきがく)・木下順庵(じゅんあん)のもとで、
 昼夜勉学にいそしんでいたころ、
 友人に河村瑞賢(ずいけん)という富豪の息子がいた。

 白石が貧困と戦いながら勉学に励んでいるのをきいた瑞賢は、
 白石の学才の優れていることを知り、
 将来を強く嘱望して、経済的援助を、息子を通して申しでた。

「あなたはよく貧困と戦って勉強していられるが、
 私の父も、深く同情しております。
 ついては父が、あなたに三千両を提供して、
 学資の一助にしてもらいたいと言っていますが、いかがでしょうか」

 白石は心から、その厚意を感謝してから、毅然として拒絶した。

「昔話にもあるように、小蛇(しょうじゃ)のとき受けた、
 ほんの小さなきずが、大蛇となったときには、
 一尺あまりの大きずになっていたということがあります。

 今、私が貧しさのあまり、ご厚意を受けて、
 三千両の金子をいただいたとしたら、
 それは今でこそ小さいことではありましょうが、
 後に思いもよらぬ、学者の大きずになるかもしれません。

 そうなればいかにも残念です。
 それを思うと、いかに小さいきずでも、今は受けたくありません。
 この旨をお父上に、よろしく申し上げてくださるようお願いいたします」

 目前の金子などには目もくれない、
 大理想に生きていた青年学徒にしてはじめて、
 あれほどの大政治家になったのである。

 未来ある者は、すべからく白石のごとき信念をもって、
 どんな小さなきずも恐れて、
 広大の天地を開拓する基礎をかためてゆかねばならない。


【編集後記】

 アメリカの議会では、オバマ大統領が最も重視している、
 医療保険制度改革の関連法案がついに上院でも可決しました。

 今後上院と下院で調整が行われ、
 1月末までには成立する見通しです。

 ようやくアメリカにも、
 誰もが安心して医者にかかれる時代がきそうですね^^