あわれむ心のないものは恵まれない ~試された親切心~【K's EYE】

2009-12-29 23:28:33 | K's EYE
 来年1月から日本年金機構が発足するのに伴い、
 今日をもって社会保険庁が47年の歴史に幕を下ろしました。
 これにより、525人が民間企業で解雇にあたる「分限免職」となりました。

 分限免職は1964年以来45年ぶりのことで、
 しかも数百人規模というのは過去に例がないようです。
 年金記録問題がいかに深刻な問題だったかということがわかりますね…。

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【今日のちょっといい話】

◇あわれむ心のないものは恵まれない
  ~試された親切心~

 釈尊が、ある家へ乞食の姿で現れ、一飯をこわれた。
「私の家には、夫婦の食べるものしか炊いていない」
 出てきた主婦は冷たくあしらう。

「それでは、お茶を一杯、恵んでくださいませんか」
「乞食が、お茶などもったいない。水で上等だ」

「それでは私は動けないので、水を一杯、くんでくださいませんか」
「乞食の分際で、他人を使うとは何事だ。
 前の川に水はいくらでも流れているから自分で飲め」

 釈尊は、忽然と姿を現し、
「なんと無慈悲な人だろう。
 一飯を恵んでくれたら、この鉄鉢に金を一杯あげるはずだった。
 お茶を恵んでくれたら、銀を一杯あげるはずだった。
 水をくんでくれる親切があったら、錫を一杯あげるつもりであったが、
 なんの親切心もない。
 それでは幸福(しあわせ)は報うてはきませんよ」

「ああ、あなたはお釈迦様でしたか。さしあげます、さしあげます」
「いやいや、利益をめあてにする施しには、
 毒がまじっているからいただかない」
 と、おっしゃって帰られた。

 帰宅して、一部始終をきいた主人は、
「おまえはばかなやつだ。
 なぜ一杯のご飯をやらなかったのだ。金が一杯もらえたのに」
「それがわかっていれば、十杯でもやりますよ」
「よしそれなら、おれが金とかえてもらおう」
 と、釈尊の後を追った。

 へとへとになったところで、道が左右に分かれている。
 ちょうど、道ばたにうずくまっている乞食がいるので、
「乞食、ここを釈尊が、お通りにならなかったか」
「ちっとも知りませんが……
 私は空腹で動けません。なにか食べ物を恵んでくださいませんか」

「おれは、おまえに恵みにきたのではない。
 金をえるためにきたのだ」

 そのとき、釈尊は変身なされ、
「妻も妻なら夫も夫、あわれむ心のないものは恵まれないのだ」
「あなたが釈尊でしたか。あなたにさしあげるためにきたのです」
「いいえ、名誉や利益のための施しには、
 毒がまじっているからいただくまい」
 厳然とおっしゃって、釈尊は立ち去られた。


【編集後記】

 スピードスケートの清水宏保選手が、
 今回のバンクーバー五輪の出場を逃したことを期に、引退するそうですね。
 これまで4回オリンピックに出場しましたが、
 長野五輪での日本人初の金メダルは、今でもはっきりと覚えています。

 一方で、同じく4大会連続出場をしていた岡崎朋美選手は、
 38歳にして見事代表の座を勝ち取り、5大会連続出場を決めました。
 これだけ代表を守り続ける、というのも凄いことですね…!