大石内蔵助の十三年間 ~先見と熟慮~【K's EYE】

2009-12-22 23:55:31 | K's EYE
 今日の夜行われた臨時閣議で、
 ようやく2010年度の税制改正大綱が閣議決定されました。

「子ども手当」の財源として一部扶養控除が廃止されたり、
 たばこ税の増税などがあり、
 結果としてマニフェストに掲げた2.5兆円減税は難しくなりましたが、

 財源を確保した分、しっかりと政策を実行してもらいたいものですね。

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【今日のちょっといい話】

◇大石内蔵助の十三年間 ~先見と熟慮~

 かの大石内蔵助(くらのすけ)が、
 播州(ばんしゅう・兵庫県)赤穂(あこう)藩の
 家老をつとめていたころである。

 城下の町人の中に、赤穂で塩を造ったら、
 おおいに藩の財政を潤すだろうと考えた者がいた。

 そこで同志を帯同して、家老大石に面会し、
“赤穂藩のためにぜひ、ご許可を”と懇願した。

 こまかい彼らの申請を、つぶさに聞いていた大石は、やがてこう答えている。
「なるほど、その方(ほう)らの考えは大変おもしろい。
 よく検討したうえ、沙汰しよう」

 おそくとも三ヵ月か半年中には、認可されるだろうと、
 町人らは鶴首(かくしゅ)して待っていた。
 が、一年たっても二年たっても、なんの音さたもない。

 光陰矢のごとし、はや五年の歳月が流れた。
「大石さまも、わかったような顔をしていても、なにもわからないものだ」
 一同あきらめて、忘れかけていた十三年目、ようやく呼び出しがかかった。

「十三年前、その方らが、製塩の許可を願い出たことを覚えているか。
 あの話を聞いたときから、よい発想とは思ったが、
 よくよく考慮したところ、問題があったのだ。

 まず、塩を煮るには薪がいる。薪をたくには木を切らねばならぬ。
 多くの樹木を切ると山がはだかになる。
 はだかの山に大雨が降ってみよ。
 たちまち洪水だ。

 大洪水になれば田畑はメチャメチャ。
 農業の荒廃は一藩の荒廃じゃ。
 そう気がついたので、あれから十三年、植林に尽力してきた。

 もうそろそろ木を切り出しても、山がはだかになる心配はなくなった。
 よって、その方らの製塩事業を許可する。
 おおいに城下が潤うよう、つとめてもらいたい」

 後日、四十六士を結集し、いくたの困難を乗り越えて、
 みごと、主君の恨みを晴らす、大石内蔵助の智慮の周到さを、
 ここでも、かいま見ることができるようだ。


【編集後記】

 富山市では、明日、路面電車の環状線が36年ぶりに復活します。

 車社会の富山では公共交通機関があまり発達していないのですが、
 高齢化で車に乗れないお年寄りが増えることを見越してのことのようです。

 なかなかおしゃれなつくりの電車のようで、
 料金も200円とお手ごろ、しかも昼間は10分間隔で運行されるそうで、
 人気が出そうですね^^