金銭を診察したことはない ~技量だけではなかった名医~【K's EYE】

2009-12-31 21:00:46 | K's EYE
 今年も残すところあとわずかとなりました。

 今日の紅白歌合戦では、
 これまでジャニーズ事務所からは2組のみ、という慣例を覆し、
 シングル・アルバム・音楽DVDの売り上げで3冠を達成した、
 嵐が初出場するなど、なかなか話題性がありそうですね。

 私も家族と共に勝負の行方を見守りたいと思います。

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【今日のちょっといい話】

◇金銭を診察したことはない ~技量だけではなかった名医~

 家康の第十男、徳川頼宣が藩主であった紀伊(和歌山県)に、
 奈波加慶(なわかけい)という名医がいた。

 江戸から帰ったあるとき、紀伊国第一の富豪、
 鴻池孫右衛門(こうのいけまごえもん)が重病で苦しんでいる、
 ぜひ診てくれないか、とたのまれた。

 鴻池の使者はそのとき、加慶にこう言った。
「鴻池孫右衛門というお方は紀州第一の大金持ちであります。
 どうか他の病人よりも、丁寧に診察してくださるようお願いします」

 とたんに加慶のきげんが悪くなり、きっぱりと、断ったのである。

「先ほど、ご依頼をうけたときは、
 さっそくご診察申し上げようと思いましたが、
 あなたのお言葉を承って、もはや診察申し上げる気はなくなりました。
 なにとぞあしからず、孫右衛門さまにも、このよしお伝えくださるよう」

「それはまた、どうしたわけで……」
 驚いてたずねる使者に加慶は、こう諭したという。

「別に理由というほどのことではありません。
 ただ初めは、重病人でお困りときいたのでいって診ようと思ったのです。
 ただいまのお言葉だと、大変金持ちであるから、丁重に診察せよとのこと。
 私は今日まで病人は診察してきたが、金銭を診察したことはありませぬ」

 感服した使者は、非礼を詫びてひきさがったという。
 さすが当代随一の名医、技量だけではなかったのだ。

 権勢にも左右されず、富貴にも心を動かさなかった加慶の優れた人格に、
 医は仁術をみたのであろう。


【編集後記】

 オバマ政権が重視しているアフガニスタンで、
 反政府武装勢力タリバンの自爆テロが相次いでいるようですね。。

 今日も13人が死亡するなど、今年に入ってからの死者は、
 すでに過去最悪だった08年を大幅に上回り、
 520人を超えました。

 アフガニスタンにも真の平和が訪れる日を念じています…。

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