
いやあ、今年はスゴイですねえ~
僕はトレードとドラフトが大好物だと言い続けていますが、さすがにこれだけトレードがあるとおなかいっぱいですねえ。
ちょっと消化し切れなくて、誰がどこ行ったのかゆっくり整理しないとわっけわかりませんでした。。
そんな確認も踏まえつつ、一個一個検証していきましょう。
【トレードその①】
<キャブズ>
ベン・ウォーレス(15.5/14.5/14.0mil)←ブルズ
ウォーリー・ザービアック(12.0/13.0mil)←ソニックス
ジョー・スミス(5.2/?mil)←ブルズ
デロンテ・ウェスト(1.9mil)←ソニックス
2009年ドラフト2巡目指名権
<ブルズ>
ラリー・ヒューズ(12.0/12.8/13.7mil)←キャブズ
ドリュー・グッデン(6.4/7.1mil)←キャブズ
セドリック・シモンズ(1.6/1.7mil)←キャブズ
シャノン・ブラウン(1.0mil)←キャブズ
<ソニックス>
ドニエル・マーシャル(5.6/6.0mil)←キャブズ
アイラ・ニューブル(3.4mil)←キャブズ
エイドリアン・グリフィン(1.6/1.7mil)←ブルズ
まあ、まずはビックリなビッグトレードでしたねえ~
ん? ビッグなビックリトレードか?
あ、つまりビッグリトレードってこと?(←どうでもいいわ)
何か大きな動きがあるという話は聞こえてたんですが、こういう内容だとは思いませんでした。
まず驚いたのは、キャブズのヒューズとブルズのビッグベンという、それぞれのチームにとっての“MAX級不良債権”が動かせたことですね。
値段の高さに見合った成績が残せていない上に、最も厄介な長期契約が残っている2人は、どこのチームも引き取ってくれない不良債権と化していました。
どのチームもサラリーキャップが厳しいですから、長期契約は一番嫌がります。
で、行き詰った両チームが行き着いた結論が、“お互いの不良債権同士を交換する”という手段だったんですね。
まあ本当はニックスあたりをダマくらかして、押し付けてしまうのがベストなんですが、うまくいかなかったので妥協案としてこういう方法を取ったんでしょうね。
でもまあ今回は、お互いのチームにとってその方が良かったと言えます。
まずビッグベンは、そもそもブルズがプレーオフを勝ち抜くために招いたベテランでした。
でも今季のブルズは、プレーオフ上位進出を狙うどころか、プレーオフに出られるかどうかというレベルに落ちてしまいました。
とすれば、プレーオフ要員として大枚をはたいたビッグベンの利用価値は薄れ、逆に将来に備えて若手を育成した方がいいだろうという方向にチーム状況が変化しています。
プレーオフが遠のいてしまった今のブルズに、ビッグベンをキープしておく理由がなくなってしまったんですね。
キャブズはもちろん昨季のイースタン覇者であり、当然今季もファイナル進出を狙っています。
しかし開幕時のゴタゴタもあって、セルティックスやピストンズといったライバルたちに後れをとっています。
キャブズのゴール下は“大きいけどソフト”だというのが実情で、KGやラシード、ドワイト・ハワードといったビッグマンに対抗できる存在がいませんでした。
なので、プレーオフでフィジカルにゴール下を守ってくれるビッグベンは、キャブズにとっては利用価値があると言えます。
ヒューズはと言うと、キャブズとヒューズは最初の時点からミスマッチでした。
マイク・ブラウンHCの方針でスローダウンしたディフェンス重視の戦略をとるキャブズは、ハーフコートオフェンス中心の守備型チームです。
オフェンスはルブロンが牛耳り、PG兼スコアラーの役割を果たします。
ウィザーズ時代のヒューズが輝きを放ったのは、ウィザーズがラン&ガンのオフェンスだったからでした。
元々ジャンプシュートは安定感がなく、スピードとハンドリングの良さを生かしたスラッシャーというのがヒューズの特徴です。
しかし、キャブズで与えられた役目は、ルブロンからのパスを受けてアウトサイドシュートを放つスポットアップシューター。
これでは全くヒューズの長所が生かされず、逆に弱点が露呈してしまう起用法です。
SGなんだから3Pを打て、では問題が解決されません。
なので、キャブズが今のプレースタイルを変えない限り、ヒューズが活躍する場はないというのが現状でした。
ブルズにとっては、オフェンス力のアップが何よりの課題です。
ビッグベンを放出して若手中心に切り替えようとする今後のブルズは、もっとアップテンポなバスケを展開するようになるでしょう。
そうした環境下なら、ヒューズも本来の力を発揮することができるようになると思います。
少なくとも、ビッグベンをこのまま置いておくよりは、ヒューズを試してみた方がまだ可能性があると思います。
お互いのチームにとって、「同じ不良債権を抱えるならこっちの選手の方がマシかな?」というのが、今回のビッグベンとヒューズの交換だったわけです。
全てのトレードが、「ビッグベンが欲しい!」「ヒューズが欲しい!」というような単純な理由で決まるわけではありません。
「この選手を放出したい」というマイナスな発想から出発し、利害関係が一致する者同士で「まあ現状よりかマシだな」という取り引きを行うこともまた、トレードなんですね。
なんだか小難しい話でスミマセン・・・・

「あれ? 欲しかったわけじゃないの?」
で、最初にビッグベンとヒューズの話をしたのは、このトレードが起きる主たる要因となっていたからであって、戦力的に一番重要だからではありません。
トレードがあると、とりあえず一番ビッグネームな選手名だけが報道されたりするので勘違いされがちなんですが、戦力的に本当に重要なのは別の選手だったりします。
まずキャブズで言うと、デロンテとザービアックですね。
先ほどヒューズみたいなタイプはキャブズのスタイルに合わないと言いましたが、デロンテとザービアックはキャブズに合うタイプの選手だと思います。
キャブズに必要なのは、確率の高いアウトサイドシューターです。
ルブロンが生み出すフリーなシュートチャンスを、確実に決められるシューターです。
その役割を期待して、ドニエル・マーシャルやデイモン・ジョーンズを取りましたが、キャブズに来て以降はそれまでの確率が落ち、期待に見合った結果が残せませんでした。
その後、サーシャ・パブロビッチやダニエル・ギブソンが思わぬ活躍を見せたことで、シューター役がこの2人にシフトチェンジし、マーシャルとデイモンは用済み状態となりました。
しかし、ギブソンはまだしも、パブロビッチもそこまで優秀なシューターではありません。
キャブズの中では比較的マシという程度ですね。
なので、ザービアックのようなキャッチ&シュート専門職人みたいな選手こそ、キャブズに合うタイプだと思います。
これまで、ルブロンがペネトレイトしてからキックアウトしたパスを、ヒューズがどれだけ外してきたことか。
ザービアックなら確実にフリーのジャンパーを沈めてくれるでしょう。
デロンテは、先発PGのいないキャブズにとっては格好の人材です。
キャブズの実質的な司令塔はルブロンなので、PGに入る人はハンドリングができて、アウトサイドシュートが入れられれば十分です。
なので、マイク・ビビーのようなPGが合うのにねっていう話をしていました。
そういう意味で、デロンテならいいです。
元々SGあがりですが、PG役もできますし、3Pもなかなかの確率で決められます。
これまでのヒューズ&パブロビッチのバックコートよりも、デロンテ&ザービアックのバックコートの方が断然いいですね。
キャブズのスタイルにはよく合っているので、ルブロンにもよりうまくフィットするはずです。
デロンテ&ギブソンのコンビで、PG兼シューターポジションも務まると思います。
ロースターはこんな感じですね。
<キャブズ>
PG:デロンテ・ウェスト/ダニエル・ギブソン/デイモン・ジョーンズ
SG:ウォーリー・ザービアック/デビン・ブラウン
SF:ルブロン・ジェームズ/サーシャ・パブロビッチ
PF:ベン・ウォーレス/ジョー・スミス
C:ジドルナス・イルガウスカス/アンデルソン・バレジャオ
非常にバランスが良くなったと思います。
特にフロントラインの4人ローテーションはなかなか豪華ですね。
それぞれタイプも特徴も違っていて、いいミックスだと思います。
あとは、デロンテ&ギブソンのPGコンビが安定感を出せるかどうかですね。
大活躍より、ミスのない堅実なプレーを毎試合続けることが大事だと思います。
でも逆に、それさえできれば十分なくらい他のポジションが厚いということです。
僕は、セルティックスやピストンズと互角に戦える布陣が揃ったと思いますね。

オハイオ育ちのルブロンとオハイオの大学を出たウォーリーの地元コンビ
ブルズにとっての鍵はグッデンでしょう。
以前から言っている通り、ブルズ最大の弱点は“インサイドの得点力”です。
今季その分野で一番頼られていたのは、ジョー・スミスでした。
昨季まで他のチームで単なる控えだったロールプレイヤーが、“インサイドの一番手”になってしまうぐらい悲惨な状態だったわけです。
そんなブルズにとって、実績のあるグッデンの加入は、インサイドの核となれる重要な戦力になります。
少なくとも現状の得点力不足解消に一役買ってくれる存在にはなるはずです。
ラインナップはこんな感じです。
<ブルズ>
PG:カーク・ハインリック/クリス・デュホン
SG:ラリー・ヒューズ/ベン・ゴードン/シャノン・ブラウン
SF:ルオル・デン/アンドレス・ノシオニ/タボ・セフォローシャ
PF:ドリュー・グッデン/タイラス・トーマス/セドリック・シモンズ
C:ジョアキム・ノア/アーロン・グレイ
こちらもトレード前よりバランスが取れてきた気がします。
念願のサイズのあるSGを先発に置くことができるし、得点力のある先発PFを据えることもできます。
そしてビッグベンを出したことで、ノアを先発Cに起用できるようになるのもいいですね。
これでデンやハインリックの調子が戻ってくれば、なかなかいいチームになりそうです。

ブルズ再生のきっかけとなるのか?
ここまでソニックスの話を一切してませんね。
ソニックスはもう完全にリビルディングモードなので、いそいそとサラリーキャップ作りにいそしんでいます。
今回はトレードは、一番のネックだったザービアックの高額契約を手放すことができて、万々歳というところだと思います。
ザービアックは来季も13milとチームトップの契約が残っていました。
ケビン・デュラント、ジェフ・グリーンとポジションがかぶるザービアックは、ソニックスにとってお荷物でしかありませんでした。
ニューブルは今季で契約が切れるので、来季残るのはマーシャル(6mil)+グリフィン(1.7mil)=7.7milのみ。
13milが7.7milに化けるんですから、節約したいソニックスの目的にはかなっているわけです。
デロンテを出したのは、ザービアックを引き取ってもらうための“特典”です。
ただ不良債権を引き取ってください、では取り引きが成り立たないので、キャブズが喜んでくれるような+αが必要だったんですね。
先発PGがいないキャブズは、ソニックスが抱えるアール・ワトソン、ルーク・リドナー、デロンテ・ウェストのどれかが欲しかった。
でもビッグベン(15mil)とザービアック(12mil)を引き受けるキャブズは、もうこれ以上余計な出費は出したくない。
そうすると、ワトソン(5.8mil)やリドナー(6.5mil)の金額はちょっと負担が大きい。
すると残るは、安価で使えるデロンテ(1.9mil)ということになるわけですね。
この11人が動いたこのビッグリトレード(←まだ言ってる)は、三者三様の目的にかなったいい取り引きだったと言えるんじゃないでしょうかね?
戦力的に一番強化されたのはキャブズですが、その分金額的な負担も一番大きくなったので、一概に一番得をしたと言えるかどうかはわかりません。
でもまあ、これでプレーオフに向けてイースタン2強と張り合える戦力が整ったわけですから、プラスのトレードと言えるでしょうね。
ただブルズにだけは苦言を呈したいですね。
去年からさんざんトレード話があって、KGやらガソールやらいろいろ取るチャンスがあったのに、今までずーーーっと動かずその機会を逃してきました。
そしてようやく動いたと思ったら、ヒューズとグッデンですか・・・・
ずいぶん小さくまとまりましたねえ~
ブルズには大物を取れるだけのトレードの駒がいろいろあっただけに、大きなグレードアップの機会を逸してマイナーチェンジしかできなかったことには、どうしても残念だなあという気がしてしまいます。
いやあ~、トレードを一個検証しただけでブログ一回分のスペースを食い潰してしまったので、続きは別のページを立てたいと思います。
先は長い・・・・
『Frontin'』 by Pharrell feat. Jay-Z
from the album 「Clones」
前見えませんね。
あと、気になってたんですが、
来期のブルズのHCって誰になると思いますか?
ラリー・ブラウンっていう噂も出ましたけど、
manuさんはどう思われますか?
気付きませんでした(笑)
楽しみが一つ増えましたね。
ラリー・ブラウンはやりたがりですからね。
僕はリック・カーライルとかにやってほしいですねえ~
でもそうするとスローダウンさせられるのかな??
あるいはビリー・ドノバンとか来ないかなあ~