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Tyrus to Cats

2010年03月06日 | 移籍・トレード

今年のデッドラインは駆け込みトレードが多かったので、まだ全部紹介しきれていません。
残りはコマゴマしたマイナーなトレードばかりではあるんですが、まあそう言わずに一通りおさらいしていきたいと思います。
まずはブルズ絡みから。

・タイラス・トーマス:ブルズ⇒ボブキャッツ

・フリップ・マレー:ボブキャッツ⇒ブルズ
・エイシー・ロウ:ボブキャッツ⇒ブルズ
・ドラフト1巡目指名権:ボブキャッツ⇒ブルズ

もひとつ。

・ジョン・サーモンズ:ブルズ⇒バックス

・ハキム・ウォーリック:バックス⇒ブルズ
・ジョー・アレクサンダー:バックス⇒ブルズ

ではロースターを。

【Chicago Bulls】
PG:デリック・ローズ/ジェネロ・パーゴ/エイシー・ロウ/リンジー・ハンター
SG:カーク・ハインリック/フリップ・マレー/デビン・ブラウン
SF:ルオル・デン/ジェームズ・ジョンソン/ジョー・アレクサンダー
PF:タージ・ギブソン/ハキム・ウォーリック
C:ジョアキム・ノア/ブラッド・ミラー/ジェローム・ジェームズ

ブルズは、スターター級の主力だったタイラスとサーモンズを放出しました。
理由はオフのFA戦線に向けたキャップの空き作りです。
ブルズもこの夏の豪華FAを取りに行こうと狙ってるチームの一つです。
シカゴ出身のウェイドや、弱点のPFにボッシュやアマレなどといった名前が取り沙汰されています。
で、その準備のために、タイラスとサーモンズが出される格好となったわけですね。
サーモンズは来季も5.8milの契約が残っていて、それがキャップを圧迫するので手放しました。

でもタイラスはなんで?
せっかく4位指名でドラフトしたのにもったいなくないの?
確かにもったいないです。
でも、今季で4年目を迎えたタイラスは新人契約の最終年となり、今オフ制限付きFAになります。
ということは、来季以降もキープするには新たな契約を結び直さなくてはなりません。
でもそのためには、おそらく年7~9milレベルの長期契約を保証しなければいけなくなるでしょう。

ブルズとしては、その金額を覚悟してタイラスと再契約するのか、それとも大物FA獲得のチャンスを探るのか。
サラリーキャップには制限があるので、どちらか2つに1つの選択を迫られます。
そこで、キープするには大金が必要となるタイラスを諦め、FAに賭けることにしたんですね。
で、諦めると決めた以上は、そのまま何の見返りもなくシーズン終了後に出て行かれるよりも、何かもらっといた方がいい。
そこで、ロッタリーピックとなる可能性を持ったボブキャッツのドラフト1巡目指名権をもらっておいたんですね。

今回の2つのトレードで得た合計4選手は、全て契約が今季までの選手。
つまり、全員サラリーキャップの空きを作るための獲得ということになります。
まあ今シーズン中は戦力として起用しますが、夏になったらまた新しいチームを探すことになるでしょう。
ブルズ的には、一応今シーズンもプレーオフは目指しますが、それよりも夏のFA戦線の方が大事。
今シーズンは現有戦力でいけるとこまで頑張ってもらって、夏に大物をGETして来シーズン以降に本当の勝負、という青写真を描いていることでしょう。

次はボブキャッツのロースターですが・・・・

・セオ・ラトリフ:スパーズ⇒ボブキャッツ

このトレードも一個追加で。

【Charlotte Bobcats】
PG:レイモンド・フェルトン/DJ・オーガスティン
SG:スティーブン・ジャクソン/ジェラルド・ヘンダーソン
SF:ジェラルド・ウォーレス/スティーブン・グラハム
PF:ボリス・ディアウ/タイラス・トーマス/デリック・ブラウン/アレクシス・アジャンサ
C:タイソン・チャンドラー/ナジー・モハメド/セオ・ラトリフ/サガナ・ジョップ

ボブキャッツの目標は、フランチャイズ史上初のプレーオフ進出。
今シーズンはそれを達成する最大のチャンスなので、“今勝つこと”が至上命題です。
問題児JAXさんの獲得に踏み切ったのも、そんなチームの意志があったからですね。(ブログ
そして今回も、“攻めの補強”に出ました。
タイラスとラトリフを取って、弱点であるインサイドの補強に充てたんですね。

ボブキャッツはインサイドが人材難。
先発Cのチャンドラーは故障が多く、PFも本来はSFであるディアウを先発に回しています。
そこを補強すべく、タイラスとラトリフを取ったんですね。
タイラスはチームにいなかったアスレティック能力抜群のビッグマンとして、早速期待通りの活躍を見せています。
この調子でいけば、先発PF昇格&来季以降の長期契約の線も出てきそうです。

ラトリフは戦力的には?ですが、ラリー・ブラウンが勝手知ったるという感じで使いやすいんでしょう。
それよりも、チャンドラーが抜けた後に意外な活躍を見せていたナジー・モハメドが、早く戦列に戻ってきてくれることを願っているはずです。
ラトリフは、モハメドやチャンドラーがいない間の“つなぎ”ですね。

ハイ、続いてバックスにいきます。
バックス絡みで言うと、このマイナートレードも入れてロースターを。

・ジョディ・ミークス:バックス⇒シクサーズ
・フランシスコ・エルソン:バックス⇒シクサーズ

・ロイヤル・アイビー:シクサーズ⇒バックス
・プリモ・ブレゼッチ:シクサーズ⇒バックス

【Milwaukee Bucks】
PG:ブランドン・ジェニングス/ルーク・リドナー/ロイヤル・アイビー
SG:ジョン・サーモンズ/チャーリー・ベル/(マイケル・レッド)
SF:カルロス・デルフィーノ/ジェリー・スタックハウス
PF:ルーク・リチャード・ンバムーテ/エルサン・イリャソワ/カート・トーマス
C:アンドリュー・ボーガット/ダン・ガズリッチ/プリモ・ブレゼッチ

バックスは、エースのマイケル・レッドが再びシーズン絶望となってしまったために、SGの補強が急務でした。
元々夏のFA戦線に打って出るキャップの空きもなかったので、久々のプレーオフ出場が狙える今シーズンの戦力アップにいったわけです。
そこで白羽の矢が立ったのが、ブルズから売りに出されていたサーモンズでした。
サイズがあって、平均17~8点の得点力も期待できるサーモンズを先発SGに据えれば、プレーオフを目指すラインナップが組めます。

ところで、シーズン序盤に神がかり的な大活躍を見せ、チームの救世主となったジェニングスなんですが、近頃シュート成功率の落ち具合がハンパないんです。
元々ショットの安定感が問題視されていたので、なるべくしてなってる感はあるんですが、それにしてもその落ち方がスゴイんです。
月ごとの推移を見ていくと、それがよくわかります。

10月 51.6%
11月 42.0%
12月 37.6%
1月 32.4%
2月 30.7%

3月はどうなってしまうんでしょう・・・・
まあこれはジェニングスだけが悪いというよりも、過度の負担がかかっているという証明でもありますので、そういう意味でもサーモンズの加入は良かったと思います。
得点力のある相棒が加わることで、無理なシュートを打つ機会も減り、自身の成功率も上向いていくでしょう。
それにしてもこの成功率はヤバイぞ、ジェニングス。
せめて40%台はキープしてくれw

さて、ようやくラストです。

・ロニー・ブリューワー:ジャズ⇒グリズリーズ

グリズはドラフト1巡目指名権を差し出して、ジャズからブリューワーを獲得しました。
今シーズン終了後に制限付きFAになるルーディ・ゲイが出て行った場合の保険として獲得した、なんていう憶測も飛んでいますが、そうだとしてもそうじゃないにしても、グリズにとってはいい動きだったと思います。
ベンチが薄いグリズですから、実力が確かで複数ポジションをカバーできる選手がいてくれると非常に助かります。
ただ・・・・残念ながら加入後すぐにケガで戦列を離れてしまいました。。

グリズ的にいいトレードだったのはわかるんですが、問題はなんでジャズが出しちゃったのかな?という点です。
ジャズがサラリーを減らしたいのはわかりますよ。
でも、別にブリューワーじゃなくてもいいじゃん、という話です。
ブリューワーは、ベテラン揃いのジャズの中で2年目にして先発SGに定着し、攻守両面で堅実な働きをしていました。
簡単に言えば、若くて、安くて、使える選手だったわけです。

たとえサラリーキャップ対策でいくつか契約を手放したいと思ったとしても、まず他の選手から手を付けてもいいじゃんって思うんですよね。
ブリューワー(残り1年2.7mil)よりも、コーバー(残り1年5.2mil)やCJ・マイルズ(残り2年3.7/3.7mil)の方がコストも高いんだし。
ほとんど使っていない若手ビッグマン(コスタ・クウフォスやキリロ・フェセンコ)を出したっていいわけだし。
単なるサラリーキャップ対策目的なら、もっと別の選手を放出すれば良かったんじゃないかと思うんですね。

そんなわけで、このトレードには???とクエスチョンマークがつきました。



アスレティックなタイラス



CHAには貴重な人材ですね



ブリューワーのケガは残念・・・・



サーモンズはバックスへ



先発SGの穴を埋めます



「ボク調子悪いんでシュート頼んます」 by じぇにんぐす


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6 コメント

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Unknown (ラッシュ)
2010-03-06 11:28:50
ブルズはガード陣が厚いですね~逆にインサイドはどう?って聞かれるとんー(-_-)って感じですね…ノアはケガで長期離脱。PFが特に厳しいですけどルーキーのギブソン頑張っていますからね(^o^)


ホブキャッツは今年こそプレーオフで暴れてほしいです。昨シーズンいい所まできたので今年こそと思ったんですけど…現在カンファレンス9位Σ( ̄□ ̄)!昨シーズンの二の舞は避けたいですね~ブルズと反対にインサイド陣の層が厚いんで
いいと思います。ただ、インサイドの得点が少ないのでブラウンHCがなんとかしてくれる事期待してみたいです。


バックスは現在カンファレンス6位。加入してきたサーモンズいい活躍してます(^o^)ボーガットもインサイド頑張ってるので4シーズン振りのプレーオフ狙えますね♪
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ブリューワー (hiroki)
2010-03-06 12:45:00
ジャズファンとして、このトレードには心からガッカリしました。

ブリューワーはシュート力の無さ故に非常に過小評価されがちですが、彼のベースライン辺りでのオフ・ザ・ボールの動きはリーグ屈指だと思います。しかもジャズには3Pが得意だけどポストプレイが苦手なセンターがいますので、ディフェンスが良くて、外からのシュートを必要とせずともコンスタントに10点以上残せるブリューワーはある意味理想的なSGだったと思います。しかも怪我の多いジャズの中で一番欠場の少ない選手でした。移籍してすぐ怪我してしまいましたが・・・

仰るとおり、サラリー削減なら残り契約年数の長いCJか年俸の高いコーバーを放出すべきだったと思います。CJもコーバーも引き取り手に困るほど悪い選手ではないと思うのですが・・・

Eric Maynorの放出といい、過去数年の失敗(CJの契約にマッチ、怪我の多いハープリングと長期契約、ブーザーの放出失敗、そしてもちろんAKとのMAX契約)のせいで、安い年俸でチームに貢献する選手が放出されていくのはファンとして寂しい限りです。

仮に今年もプレイオフでレイカーズと当たったら、誰がコービーにつくのかと考えると頭が痛いです。まあ、ジャズのフロントがレイカーズに勝てる見込みがないと割り切っているからこそ、サラリー削減の為にスターターをドラフトピックとトレードするのだと思います。そういう意味でファンとして非常にテンションの下がるトレードでした。ブリューワーとMaynorには移籍先で是非活躍してほしいです。
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Unknown (はんぺん)
2010-03-06 23:18:20
更新お疲れ様です。

今回のトレードではブルズが気になりました。プレーオフ圏内にいる状態で、怪我やスランプがあったとはいえ、主力二人を出したのはどうなのかと。SGのサイズ不足が気になります。ノアさんも離脱ですし。まあギブソンが意外な活躍を見せているのもあるんでしょうが。

あとアレクサンダーはどうなるんだろう・・・有望株だったはずが、”王子”にくわれてしまいましたね
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ラッシュさんへ (manu)
2010-03-08 09:37:00
ボブキャッツは今年こそプレーオフ行けるなと思ってたんですが、またギリギリになってきちゃいましたね。。
バックスが予想外に勝ってるので、そこが誤算という感じです。
ブルズはその両チームに戦力を分け与えたような格好になってますねw
タイラスを出した途端にノアの離脱っていうのは痛いですね。
プレーオフ争いがますます混沌としてきました。
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hirokiさんへ (manu)
2010-03-08 09:43:40
まったくおっしゃる通りです。
僕もまったく同じことを考えてるので、付け加えることもありませんw

>彼のベースライン辺りでのオフ・ザ・ボールの動きはリーグ屈指

なんかこういうプレースタイルって、かつてのシャンドン・アンダーソンを思わせますね。
ジャズでこそ光り輝くタイプとも言えるかもしれません。

まあ、ウェス・マシューズが攻守で高く評価されているので、それで大丈夫と踏んでいるのかとは思うんですが、それにしても「他の人でよかったじゃん」っていう思いは消えないですね。
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はんぺんさんへ (manu)
2010-03-08 09:53:25
ブルズは今シーズンは捨てても、夏のFA戦線で大物を取ることを優先させたんだと思います。
そしてその方針も、ある意味では正しい選択かもしれません。(成功すれば、ということですね)

タイラスに関しては新人契約が明けるので、キープするには長期契約が必要になってきます。
それを払うには、チームの中心として将来のコアにするかどうかという判断が入ってきます。
そこでブルズが、「そこまで払っては残さない」と決断したわけですね。

サーモンズに関しては、ブルズにおける評価がずっと低かったので、遅かれ早かれ出されるだろうなという感じはありました。
そういう意味では、2人とも放出されるのは規定路線でしたね。

アレクサンダーは残念ですが、NBAに残れない危険が高いと思います。
元々実力が評価されてというよりも、潜在能力の高さを買われてという感じだったんですが、新人契約の期間中にゲームで使えるということを証明できなかったので、今後は厳しいと思います。
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