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LA決別宣言??

2007年05月31日 | 移籍・トレード

突然降って沸いたようなコービーのトレード志願発言。
これは驚きでしたねえ~
つまらないプレーオフを見かねて、わざわざおもしろい話題を提供してくれたんでしょうか?
なかなかイイ奴じゃないか、コービー(笑)

コービーの主張は簡単に言うとこういうことです。
●チームが強くなるために必要な補強ができていない
●だからいつまでも優勝を狙える戦力が整わない
●もう負けるのはうんざりだから、このままなら移籍する
●勝てるチームを作るには、もう一度ジェリー・ウェストが必要だ

ジェリー・ウェストって誰? 
なんで関係あんの?
という人のために、もう少し詳しい解説をしていきましょう。

ウェストとは、選手⇒HC⇒GMと40年に渡ってチームを支えた“ミスター・レイカーズ”と呼ぶに相応しい人物です。
現役時代は、その華麗で美しいプレーでNBAロゴのモデルにもなった伝説の選手でした。
そしてGMとしても、その明晰な頭脳と確かな眼力で優秀な選手を集め、長きに渡って常勝レイカーズを作り上げた張本人です。

そもそもコービーを見い出したのもウェストでした。
コービーは、KGが高校から直接NBA入りした翌年にドラフトエントリーしましたが、この時はまだ「高校生がNBAで通用するわけない」と広く信じられていた時代でした。
しかしいち早くその才能を見抜いたウェストは、是が非でもコービーを手に入れたいと策略を練り、ホーネッツが持っていた13位の指名権を手に入れる代わりに、先発センターのブラデ・ディバッツを手放しました。

いつの時代も7フッターのビッグマンは貴重な人材です。
しかもディバッツのように、すでに実力を証明していたビッグセンターを、得体の知れない高校生のために放出するなんて、気でも狂ったんじゃないのか?
当時はマジメにそんな声も聞かれました。
そのぐらい「前代未聞の危険な賭け」に見えたのです。

しかしその後の結果はご存知の通り。
さらにディバッツが抜けた穴は、FAになったシャキール・オニールで埋めるという離れ業も実現させました。
こうして同じ年に一度にシャックとコービーを手に入れ、後の3連覇の礎を築いたわけです。

ウェストの才能は、こうしたビッグネームを引っ張るだけでなく、ロールプレイヤー集めでも発揮されました。
常勝チームであるがゆえに、毎年ドラフト順位は低いというハンデがあったにもかかわらず、2巡目でニック・バンエクセルを発掘したり、リック・フォックスやロバート・オーリー、デレック・フィッシャーやロン・ハーパーといった名脇役を揃え、優勝に必要なバランスの良い戦力を作り上げました。
そうしたトータルでのチーム作りの才能があったからこそ、名GMとして名を馳せたのです。

しかしウェストは、レイカーズが絶頂期を迎えた3連覇の途中で、静かにGMを退きました。
ウェストの遺産で3連覇は果たしたものの、神通力を失ったレイカーズは、その後迷走していきます。
安易な大物主義に走り、落ち目のカール・マローンとゲイリー・ペイトンを呼んだもののチームはまとまらず、その後シャックまでをも放出して完全にチームが崩壊しました。

その後コービーを中心にリビルディングを始めるものの、数々の大物獲得のチャンス(バロン・デイビス、ジェイソン・キッド、カルロス・ブーザー、ロン・アーテストetc.)を逃し続け、逆に集めてくるのはクワミ・ブラウンやラドマノビッチといった使えない選手ばかり。
シャックを出してまで取った選手は、今やオドムしか残っていません。
カロン・バトラーをクワミと交換するという失態も演じました。
後任のミッチ・カプチャックというGMは、ウェストのような頭脳も、大胆さも、選手の能力を見極める目も、持っていないのです。

コービーは、ウェストが自分を発掘してくれた恩師であるのと同時に、“勝てるチーム作り”ができる最高のGMだということもよく知っています。
だからこそ、勝つためにウェストをGMの席に呼び戻して欲しい、そのためなら移籍も辞さないぞ、と必死に訴えているわけです。
僕はアンチコービー派ですが、この訴えには賛成です。
彼はまあ、間違ったことは言ってません。
ウェスト後のレイカーズのマネジメントがひどかったのは事実ですから。

ただ、もうすぐ70才になるウェストがGM職に復帰する可能性は低いだろうと言われています。
さらに、ウェストとカプチャックが友人の関係にあるという点も引っかかってきます。
ウェストがGMになるということは、友人の職を奪うことになるからです。

コービーの移籍先の可能性をアレコレ詮索するのは、とても楽しい作業なのでやってもいいんですが、おそらくレイカーズが本気でコービーを放出することはないでしょう。
ただウェストが復帰するしないにかかわらず、レイカーズはGMを代えた方が賢明です。
そうしないと本当にコービーに愛想を尽かされ、2年後に再びコービーがFAとなった時、今度は本気で出て行かれてしまうでしょう。
(前回FAになった時はクリッパーズやブルズに行く可能性もあったため)

僕が考える一番いいシナリオは、コービーと同期で親友でもあるジャーメイン・オニールを獲得することです。
それならコービーも納得してヤル気を取り戻し、再び優勝を狙えるチーム作りもできるようになるはずです。
オドム、アンドリュー・バイナム、ジョーダン・ファーマー(and/orモーリス・エバンス)という1対3(4)のトレードなら実現可能です。

本当はクワミやラドマノを厄介払いしたいところですが、ペイサーズにとって魅力的なトレードにするためには、使える選手を出さないと成り立ちません。
もしペイサーズが本気でリビルディングを考えているなら、若いビッグセンターのバイナムは魅力的な人材と言えます。
同じ条件でKGを獲りにいければそっちの方がいいんですが、可能性的にはまだペイサーズの方があるかな?という感じです。

ま、いずれにしても、今夏のレイカーズとコービーの動向が楽しみになってきました。


「ウェスト先輩、是非もう一度レイカーズを立て直して下さい」


「うっそ! コービー移籍ってジーマー??」


「コービー! うちに来てくれぇ~!!」


「うちに来い~。うちに来い~」
(ハンドパワーです)


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