建築弁護士の豆蔵です。
「聖橋」を設計した建築家・山田守。
その没後50周年を記念した「建築家・山田守の住宅」展に行ってきました。表参道から少し入った場所にある自邸の公開です。
山田守は、大正末期から郵便・通信などの公共施設を中心に活躍していた建築家で、建築史の教科書でもお馴染みの作品が沢山ありますが、
現存する有名どころでは、日本武道館と京都タワー。
しかし、豆蔵が衝撃を受けたのは、地盤の藤井衛先生を訪問するため赴いた、東海大学の藤沢キャンパスでした。
ここはロシアか!と…。(スケール感が伝わらず、あまりよい写真ではありませんが、参考まで。)
南青山の自邸は、これらと同じ昭和30年代中ごろのモダニズム建物で、当時の写真から、ピロティの上に白い翼を広げた形の住居部分と屋上の大きな庇が浮遊しており、かなりトンがった建物という印象でした。
現在はピロティ部分と3階に増築されたため、浮遊感やトンがった感じはなくなりましたが、その分、大きく育った樹木と一緒に、周囲に溶け込んでいます。
建物はRC造なのですが、スパンを飛ばす、見た目の印象を軽くする、等の工夫で、部分的にS(鉄骨)が使われているそうです。
和室の真ん中の木の柱、実は中に鉄骨が仕込んであると聞き、驚きました。
建具と塗り壁の取り合いなど、ディテールが美しいです。
こういった「逃げ」のないディテールは、もちろん大量生産の建物では採用できません。
個人邸などで、仮に完成時に美しく仕上がったとしても、地震の揺れも含めて経年劣化が気になるところですが、築50年以上を経て、なおも美しい。
これは、経年による狂いがないのか、維持管理がよいのか、どちらなのでしょうかね。
古くて美しいもの。憧れです。
到着した時は朝イチのガイド中で、床が抜けるくらい大人数が和室にびっちり座って、説明に耳を傾けていました。
週末なので、子供さん連れの建築親子も結構いました。図面も沢山出ていて、面白かったです。
外に出ると、玄関からずーっと、入場待ちの行列ができていました。
やはり多くの人にとっても、魅力のある建物なんですね。