建築弁護士・豆蔵つれづれ

一級建築士・弁護士・豆蔵自身の3つの目線で、近頃の建物まわりネタを語ります。

建築裁判はとにかく時間がかかります。

2014年09月29日 | 裁判
ケンチクベンゴシの豆蔵です。

今日は、長いこと激しく争ってきた裁判の審理が、一つ、ようやく終結しました。
判決はまだしばらく先になりますが、もうやれることはやったハズなので、あとはただ待つのみです。
裁判官に、「宜しくお願いします」と深々と頭を下げて帰ってきました。

豆蔵自体が建築訴訟ばかり担当しているので、比較となる一般事件は修習時代にまでさかのぼりますが、
建築の裁判はとにかく時間と手間がかかると言われています。

そもそも、主張・立証も専門・技術的にならざるを得ないので、当事者や外部の建築士に意見を聞く必要がありますし、
それを弁護士が理解して書面として整えるのにも時間がかかり、期日の間隔は通常よりも長め(1ヶ月半~2ヶ月程度)になります。

また、訴訟提起の段階で争点が全て出尽くしていることは稀で、双方やり取りをしながらになるので、主張整理に1年以上かかることがザラです。
最初の段階では、原告の主張がぼんやりしていることも多く、原告だけ何回も主張・立証を補充させられたりもします。

主張整理がなされた後、調停委員や専門委員という形で建築士が乗り込んできて、双方と質疑応答を繰り返し、現地を見て、見積を精査し、和解案を提示することになるので、
ここでも時間がかかります。

ここで話がまとまらなければ証人尋問をすることになりますが、この尋問の準備にもかなりの手間暇がかかるので、人証申請から尋問期日までもかなり間があきます。
所々で和解の打診も入りますが、問題が深刻なだけに感情的にこじれていることが多く、そう簡単にはまとまりません。

また、通常の民事裁判は、書面のやり取りが中心で、裁判期日では次の期日を決めるだけ、という話もよくありますが、
建築の弁論準備手続は、その場の裁判官や専門家の質疑をきっかけに、なかなか壮絶な議論を繰り広げることも多いです。
冒頭の裁判も、毎回、相手方からの罵声飛び交う状況で、なかなかストレスフルでした。

以上のような状況は、裁判になることのリスクとして、よくご説明するところです。
ただ、それでもなお「筋」を通したい、経済的合理性だけではない、というのも分かります。

いずれにせよ、当事者にとっても負担の大きいところですので、可能であれば早く終わってほしい。
後ろ向きの話は終わらせて、建設的に進んで行きたいところです。
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