新年が始まりましたが、受験生や、その親にとっては落ち着かない日々が続きます。
というのも、修能（大学修学能力試験の略語。日本のセンター試験に該当）の結果を見て、志願大学と学部を決めなければいけないからです。
日本では大手予備校が、独自の学科別入試難易ランキング表を作成していますが、韓国でも事情は同じ。(ちなみに韓国では、修能配置表(수능배치표)と言われます。）
大学、学部の人気度は韓国社会のニーズを映し出す鏡です。今日はある予備校が作成した配置表を参考に、最新の大学/学部難易度ランキングを見てみましょう。
修能試験は400点満点。まずは人文系から350点まで。仮に１００点満点とすれば、約８５点までの学校、学科を見てみましょう。
394点：ソウル大（経営）（自由専攻）、延世大(経営)
391点：ソウル大(国語教育)(社会教育系)(農業経済)、延世大(政治外交)(言論広報映像)、高麗大(政経)（自由専攻）、成均館大(グローバル経営)
387点：延世大(国語国文)、(教育)、高麗大(英語教育)、西江大（経営）、漢陽大(ファイナンス経営)
382点：高麗大(国際)、西江大（社会科学系）、成均館大(社会科学系)、漢陽大(政策)、ソウル市立大(税務)
376点：高麗大(保健行政)、中央大(経営)、韓国外大(英語教育)(英語通翻訳)(韓国語教育)、漢陽大(経営)(経済金融)(英語教育)、李花女子大(英語教育)(言論広報映像)、慶北大(英語教育)（グローバル人材）
371点：慶熙大(会計税務)(経営)、東国大(警察行政)、ソウル市立大(自由専攻)、中央大(英語教育)、韓国外大(自由専攻)、漢陽大(国際)(国語国文)
360点：慶熙大(言論情報)(経済)(自由専攻)、東国大(国語教育)、ソウル市立大(経営)(経済)、李花女子大(社会科学)、中央大(社会)、韓国外大(経営)、慶北大(国語教育)（行政）、嶺南大(政策科学)、大邱カトリック大(米国学位同時取得)
355点：東国大(広告広報)、ソウル市立大(国際関係)、李花女子大(教育)、中央大(文献情報)、韓国外大(国際通商)(スペイン語)(フランス語)(インド語)(ロシア語)、慶北大(経営)（歴史教育）、大邱教育大(初等教育)
350点：慶熙大(住居環境)(衣装)、東国大(教育)(新聞放送)(国際通商)、淑明女子大(英語英文)、慶北大(一般社会教育)（経済通商）(地理教育)(教育)(英語英文)(倫理教育)、大邱大(初等特殊教育)
やはり上位はSKY(スカイ)と呼ばれる、ソウル大、延世大、高麗大が占めていますが、延世大学の人気ぶりが伺えます。
また成均館大も上位にランクされており、その躍進ぶりが受験界でも話題になっているようですが、成均館大の運営には三星財団が深く関係しており、三星から毎年多額の寄付があるとのこと。それ以外に就職の際の配慮等、色々な噂を聞きますが、「やはり三星はすごい！」というのが一般的な反応でしょう。朴槿惠大統領の出身校である西江大も上位。また、漢陽大やソウル市立大学も上位にランキングされています。
最近は隠語でインソウル大学(인서울 대학교 In Seoul 大学)とも言われているようですが、要は(ソウル大学ではないけれども)ソウル市に所在する大学のこと。例外もありますが、名門校の多くはソウル市に集中しており、現実的に上記のインソウル大学に入学できる人は上位10％に満たないでしょう。
ちなみに、インソウル大学の反対語は地方大学(지방 대학)。学生俗語では地雑大(지잡대)とも言われます。韓国で「地方大を出ました。」と言うと、「地方に所在する、（取りたてて学校名を言うほどもない）大学を卒業しました。」というぐらいの意味になるのですが、ランキング表を見る限り、地方にも国立の慶北大学(大邱)といった難易度の高い学校があることがわかります。
学部で見ると、まず経営関係の学部が目につきます。（一方、経済学部はほとんど目につきません。）次にマスコミ関係の学科や国際関係の学科、それから、公務員試験や資格試験に強い学科に人気が集中していることが分かります。 中に、自由専攻という学科がありますが、これは（大学によって違いがあるものの）、要は入学した後で専攻を決められるシステムです。あと、国語国文関係の学科も多いですね。
最後に、ランキング表をよく見ると、あれっ
法学部がありませんね。日本の一般常識で言えば、ソウル大や高麗大の法学部が上位にランキングされているはずなのに．．．．。
これはランキング表の漏れではなく、いわゆる有名校からは4年制の法学部が無くなったのです！正確には、法曹養成制度の改革により、３年制のロースクール（法学専門大学院）が設置され、代わりに従来の法学部は廃止されました。
日本風に考えると、法学部入学→公務員試験となりますが、韓国の場合は純然たる法曹人の育成機関として生まれ変わったわけでここらへんは日本と大きく事情が異なります。