9月2日(土曜日)
先週の旅行で西国三十三ヶ所巡りにめざめた奥方。
めずらしく今週も行く気になっている。
この機会を逃してはと、前日に急遽計画。
青春18切符を使っていくことができるところはかなりあるので、選り取り見取り。
候補地を竹生島の宝厳寺、湖東の観音正寺、近江八幡の長命寺の三つに絞る、あとは米原までに決めることにする。
8時過ぎの特別快速で米原まで。混んでいたが幸いに席を得ることができた。
前日までの気分では宝厳寺から彦根に戻ってもう一ヶ寺という気分だったが、やはり無理そうなので観音正寺から近江八幡へまわって観光も・・というつもりに変更したが、大誤算。
9時40分頃には能登川駅に下り立ち時間的には余裕と思った。なにしろ
観音正寺へは「車で20分」と書いてあるのだ。タクシーを使うのだな、と思っていたのだが奥方が「バスがあるんじゃないの?」と言う。そう言えば駅前にバスが止まっている。運転手さんに聞くと「観音寺口」という駅があり、そこから行くのだと言う。
そこから運命が過酷に転回した(笑)。
夏季休暇中の山歩きでも、上りに弱さを露呈したたそがれオヤジであるが、今回も大苦戦。
距離にすればたった2キロ弱の山道で息を切らした。
おなじ西国三十三ヶ所の壷坂霊験記ではないが、「妻は夫をいたわりつ・・・」の有様になった。
地元の人が「30分くらいかかるかな?」と教えてくれたのを大幅に超過し1時間以上はかかる始末。
参拝を済ませて、さてどうやって帰ろうかと思案。
懸念したとおり、観音正寺からの交通機関は皆無(タクシーを呼ぶことはできるらしい)、自らの二本の足だけが頼りである。
境内の茶店のおかみさんに聞くと、観音寺口まで戻ってバスで能登川駅まで出るか、観音寺城跡から桑實寺(くわのみてら)を経由して安土駅まで行く道があるとのこと。
その時点で12時過ぎ。観音寺口からのバスは13時20分頃までないので、おなじ道を下っても時間が余りそうなので、安土を目指すことにした(この時点ではまだ長命寺に足を伸ばすつもりだった・・)。
この選択がまた裏目に出た。
確かに、観音寺城跡から桑實寺の下までは下りの一本道だったが、その下り方がまた半端じゃない(苦笑)。
特に桑實寺からの下りはウンザリするほどの石段が続く。ガラスのヒザがガクガクしはじめる。それをこらえながらなんとか下り終える。
そこから安土駅まで青々とした田んぼの中の一本道を汗を拭き拭き歩く。
疲れがドンドン気力を奪っていく。
安土駅にたどり着いたときには、もう長命寺まで足を伸ばす気持ちは失せていた(苦笑)。
と、言ってもまだ2時過ぎ。名古屋へ帰るには早すぎる。
どうしようかと思っていると、めずらしく奥方が長浜へ行こうと言い出す。
奥方は、なぜか長浜が気に入っている様子。何度行っても飽かないようだ。
どうせ、青春18切符。どれだけ乗ってもおなじなのだからと、長浜へ向かう。
まずは、喫茶店で一服。疲れを癒したあと別行動。
奥方は、お気に入りの
黒壁ガラス館。たそがれはその間、
黒壁スクエアのなかをぶらぶらすることにした。
奥方のショッピングのあいだ、時間をつぶすには黒壁スクエアはあまりにも狭い。
一度で足らずに二度めぐってようやく奥方と再会(笑)。
当初名古屋で夕食をと、思っていたが黒壁めぐりをしているあいだに
ここを見つけた。
翼果楼と書いて「よかろう」と読む。長浜郷土料理の店だそうだ。
焼き鯖そうめんがウリモノという。
疲れであまり食欲がなく、素麺くらいなら入るだろうという単純な発想。
5時前でまだ早かったがさっそくに飛び込む。
築200年の商家を使ったという店は古びていて、なにより時間が早くユッタリとしているのがいい。
頼んだメニューはウリモノの焼鯖そうめんに焼鯖すし。それにビール。
あまり魚が好きじゃないたそがれにしては、珍しい選択だ。旅先では少し冒険してみたくなるらしい(笑)。
しかし、あたたかいそうめんにあたたかい焼鯖の組み合わせはあまり良いとは思えない、珍しさだけが取り得かな・・と思う。
はやめの夕食を済ませて帰途につく。
帰る途中も、奥方の口からは次の長浜行きが出る。どこがそんなに気に入っているのだろうか?
米原からのJRはかなり混んでいた。とても座れる状況にないところにもう一列車分京都方面からの客の乗り換えが加わってかなり悲惨。
それでも運良く大垣過ぎのところで座ることができてラッキー。
まあ、誤算続きだったがいい旅だった。
それにしても、西国三十三カ所をまわるのは観光ではなく、巡礼であり修行であることを実感した、体力と気力がないととてもできない・・・。