ma-marinの徒然日記-☆素敵にサトシック☆

大野智くんと嵐と猫と映画と美しいものと美味しいものを愛してやまない、シングルマザーの徒然ブログです。

『遠い山なみの光』読了

2017年12月12日 19時31分12秒 | 読書

掃除や片づけを気にしつつ、本日は読みかけの本を読了。

カズオ・イシグロ著、小野寺健訳、『遠い山なみの光』

日本人でイギリスに住む女性が、日本での生活を回想する物語。

どこかミステリアスで不思議な雰囲気につい先を急ぎたくなる小説。

日本語で書かれたものではないことを忘れてしまうけれど、英語で書かれた翻訳小説。

翻訳者が違うけれど、以前読んだ『わたしを離さないで』と同じ空気を感じられるのは、どちらの翻訳者も作者カズオ・イシグロの世界をよく理解しているからでしょうか。

戦後日本の価値観の転換点に人生を生きた女性の一人の女として、そして母としての在り方の物語。

男性がこの物語を書いているというのも面白い。

なかなか感想は書きづらい物語。

いつか原作にチャレンジしてみたいな~と思いつつ、次は『日の名残り』を日本語で読もうと思っています


小説『ナラタージュ』読了

2017年11月24日 10時01分19秒 | 読書

映画を観る直前に購入して、読めずにいた島本理生さんの原作小説『ナラタージュ』

読了しました。


映画よりずっと硬質でさらっとした空気感で描かれる主人公・工藤泉の心理がすごく好きな文章の連続で、後半は一気読み。


映画とはずいぶん印象の違う感じがしました。


私は、小説の方がずっと好きでした。


主人公の泉がなぜ葉山先生を好きなのか、その気持ちを抱えたまま、日々を過ごす若い日々の記憶と、ラストの懐かしさとの邂逅。


胸がじ~んとなって、切なくてたまらなくなりました。


人が人を愛することは、出会いの順番ではどうにもならず、たとえ結婚した後でも、運命の出会いはあるもので、その人と一生を添い遂げられなくても、一生涯忘れられず、胸に仕舞い込む熱い想いとなることがあるもので。。。


映画では、なんだか男の人がすごくずるく感じたものが、まあ、小説でもやっぱりずるいって言えばずるいけれど、言葉を選んで表現された小説では、なんだかもっと違った風に伝わってくる。

原作者と監督の微妙な感性の違いの関係もあるのだろうけれど、この小説のこの雰囲気を映画にするのはやっぱり難しいかもしれません。

小説のシチュエーションを借りた別の作品として映画を考えた方が良いかも。


原作が島本理生さんと知ってて、映画を観た時に「あれ?」と思ったけど、小説を読んだら「ああ~、島本理生さんの作品だ」と思いました。

良い小説でした。

 


カズオ・イシグロさん、ノーベル文学賞おめでとう!

2017年10月05日 23時53分55秒 | 読書

なんだかとっても嬉しい、カズオ・イシグロさんのノーベル文学賞の受賞。

昨年のノーベル文学賞の記事を書いた時(☆2016年10月14日)、実は頭の中にあったのが、カズオ・イシグロさんでした。

さすがに、春樹よりカズオ・イシグロと書くのは気が引けて遠慮して一度書いて消したけど、頭の中にノーベル文学賞を貰うべき人だと思っていました。

だから、本当に嬉しくて、私としては全然意外じゃなくて「やった~」と叫んだニュース。


私のブログの中では、カズオ・イシグロさんについては過去2回ほど登場してます。

2011年4月11日

2015年10月18日


まだ原書、読めてないんですけど

他の作品も読めてないんですけど

 

好きな作家さんというのは1冊だけしか読めてなくても、やっぱり好きで、嬉しいです。

 

 


家事に不向き、でも、読書には適した低気圧。『慟哭』読了。

2017年05月27日 23時57分58秒 | 読書

回復するはずのお天気が悪いままの休日、土曜日。

洗濯はしたけれど、たまった家事を片付ける気力がそこで途切れる低気圧。

映画館で見たい映画がたくさんあるけど、節約モードで我慢してみる。


テレビ画面には土曜の習慣の『王様のブランチ』のブックコーナーでインタビューされている貫井徳郎さん。

そういえばと、本の山から『慟哭』(貫井徳郎:創元推理文庫)を手に取る。

読もうと思って読んでない(次女の買った本だけど


久しぶりの読書。


次女はバイト、長女は朝寝坊、さくらはお昼寝、しろ丸くんは読書する私の胸元でごろごろと甘えながらお昼寝。


ミステリーを読むには適した曇り空。

先が気になってぐいぐいと読み進む。


最初の半分ぐらいで「この構造はやっぱり・・・」と思い、300ページを超える頃、「ああ~、なるほど」と日時の経過を振り返る。


犯人については、早くから目星がついちゃったけど、人間と警察組織のある側面を描いた小説として、とても面白く読めました。


なるほど・・・

始めて、貫井作品を読んだけれど、ブランチで取り上げてた最新作も読んでみたいな~と思いました。

 

気が付いたら、もう21時過ぎ。

『嵐にしやがれ』は、あとでちゃんと見直そう

 


久しぶりに読書に浸った1日でした

 

 


小説『忍びの国』読了!

2016年12月15日 18時55分25秒 | 読書

ああ~、面白かった

昨日から読み始めた、和田竜さんの『忍びの国』(新潮文庫)読み終わりました。


昨夕、無事にMOS WORD2013の資格試験に合格し、それから読み始めた『忍びの国』。

伊賀忍者の「人間ではない」非情さと超絶体術と権謀術策の仁義なき騙し合い。

その中でも伊賀一の忍び・無門の強さと非情さには目を見張りつつ、それでもつい好きになってしまう新たなダークヒーロー。

伊賀VS織田軍の戦いを描く忍者小説の体を取りながら、無門を追いかけて読んでいくと、恋愛小説のように感じてしまう、不思議な魅力に満ちた小説でした。

本名も出生地も知らされず、最強(最恐)の道具に育てられて生きる忍び・無門。

その無門がこだわって嫁にしたお国。

無門がお国にこだわった理由が描かれた物語終盤は切なかった・・・。


戦国の乱世、銭を稼ぎ、生き抜くために戦う日人々。


現代社会の人情とは無縁の世界で生きた伊賀の忍び達。


凄惨な戦いの場面での、無門の活躍に思わず声援を送ってしまう自分。


現代の常識が通用しない世界の『忍びの国』



夢中で読み終わってしまいました。



映画化され、来年夏公開予定。

主演・大野智の事前情報に、大野くんがチラついて、前半集中できない部分もあったんだけど、お国が出てきた後からは先が気になって隙間時間にも本を開いて、先ほど読了。

 

これ、大野くんがやるんだ~


驚異の身体能力を有する無門。


赤ん坊のように欲望にまっすぐな無門。


お国に頭の上がらない無門。


映画がどんな仕上がりなのか、ますます気になってしまいました

 

楽しみ過ぎます

 

 

 


マンガも映画も猫・ネコ・ねこ

2016年02月11日 20時43分12秒 | 読書

今日は洗濯物を干し終わったタイミングでふと手にした古いマンガ『夢見る惑星』4冊を読了。

何度読んでも、やっぱり佐藤史生さんの作品は素晴らしいと、今日も感動。

それからふと緑川ゆきさんの『夏目友人帳』が今何巻まで出ているかが気になって調べたら19巻まで出てました。

自分の本棚をみたら17巻までが並んでいて、あらら・・・

『婦人公論』をチェックするついでに、買ってこようと午後から本屋へ。

『夏目友人帳』は18巻はあったけど、19巻は品切れ中・・・

夏目友人帳 18 (花とゆめCOMICS)
 
白泉社

夏目友人帳 19 (花とゆめCOMICS)

 
白泉社

18巻を買って、マンガコーナーでお試し読みした作品をつい購入。

同居人はひざ、時々、頭のうえ。(1) (ポラリスCOMICS)
 
ほるぷ出版

猫関係の作品がマンガも映画も増えてますが、この作品もそんな1冊でしたが、ネコの陽(はる)ちゃんがすっごく可愛くて、もう一人の主人公の素晴(すばる)くんの不器用さが気になって、つい買ってしまいました。

1巻がすご~~~く気になるところで終わってしまって、早く2巻が読みたいけれど、2016年春ごろ、発売予定・・・

いつかな。

 

今年の私は申年ならぬ猫年。


もともと猫好きですけど、世間も猫がいっぱいなので、猫映画に猫マンガ、猫にどっぷりハマってます




『さよなら、オレンジ』読了

2015年10月18日 12時30分58秒 | 読書

昨日、本屋さんへ出かけて、来年の手帳を購入。

これまで毎日の時間が縦軸で管理できるバーチカルタイプのA5サイズを選んできましたけど、小さなバッグに入らないので今年はA5サイズは家置き、A6サイズを持ち歩ってました。

で10か月ちょっと使って、今の私には手帳はA6サイズが使いやすなと判明。 

来年は猫写真のA6手帳一つで行くことにしました


なかなか勢いもつかず、一歩進んで2歩下がるな断謝離ですが、手帳に関してはちょっと整理できたかな

物を持たないシンプルな暮らしに憧れつつ、なかなか捨てきれないうちに、ちまたではミニマリストなるものまで登場してますね。

2015年もあと2か月強。

私ももう少し物を減らしていきたいと決意を新たにしたものの、本屋に行くとついて手にしてしまう文庫本。

昨日の出会いは岩城けいさんの『さよなら、オレンジ』

さようなら、オレンジ (ちくま文庫)

文庫本になっていたのを見て購入して、昨晩から少し読み始め、先ほど読了。


正直、すごい小説でした。

硬質な文章で説明は少ないけれど、無理な修辞がなく、シンプルなのに胸に迫る。

どこかカズオ・イシグロさんを思わせる雰囲気もありつつ、まぎれもなく女性による異文化の中で自分を探し生きる女性の物語。

どこか似た雰囲気なのはどちらも英語圏での生活をされてる作家さんだからでしょうか。


『さよなら、オレンジ』はオーストラリアに流れ着いたアフリカ女性と日本女性が出会うことで変わっていく物語。

異文化の中で友情をはぐくむ二人が力強くて、感動・・・というとちょっと違うようなきがするのだけれど、強く心を打つ、心に深く刻まれる小説でした。


昨日、この小説に出会えたことにすごく感謝しています。

 

岩城けいさんの作家デビューが2013年のこの『さよなら、オレンジ』

2作目の『Masato』も近々読んでみたい。


今後の岩城けいさんの仕事に期待しています。

 

 


『神様のカルテ0』読書中

2015年04月07日 07時12分52秒 | 読書

4月7日、雨降りの朝。

昨日、今日と入学式を迎える方も多いことでしょう。

おめでとうございます

希望と期待にわくわくが溢れる季節。

春4月ですが、本日からしばらく寒の戻りで2月下旬の気温が続く予報の関東地方。

雨にも負けずに体調管理に気をつけていきましょう

 

昨夕は、『お父さんから』なんてタイトルのメールが届いてびっくり。

J-webの相葉ちゃんからの『ようこそ、我が家へ』スタートに向けて、『ようこそ、倉田家へ』という短期連載開始のお知らせメールでした。

相葉ちゃんがドラマでお父さん役の寺尾さんと仲良くしている様子がとても嬉しいメール。

ドラマのスタートもいよいよ来週

楽しみ

 

さて、その後の私は、やっと購入した本を読んでました。

1か月ほど前に発売情報を知り、「買わなきゃ!」と思いながらチャンスを逃していた『神様のカルテ』

 

神様のカルテ0
夏川草介 著

小学館

 

『神様のカルテ』が本屋大賞2位だった時に読んで、大好きになり、次に翔くん主演で映画になって、原作の一止さんも翔くんの一止さんもどちらも大好きで愛してやまない私。

『神様のカルテ3』まで読了済みで、読むたびに感動します。


『神様のカルテ0』はまだ学生の栗原一止くんが登場。

親友進藤辰也くんが語る物語が最初。

2つ目が本庄病院が一止さんを研修医として迎えるにいたる理由の物語。

やっと半分読了。

どちらもやはり静かな筆致のなか、たんたんと描かれる愛しい人間たちの生き様に、じんわりと心温められる物語。

やっぱり好きだな~。

翔くんが『神様のカルテ』の主役だったことも、本当に嬉しいな~と、改めてしみじみ。

学生時代のお話も映画になるといいなって、思いました。

 

あと、半分残った物語、会社をさぼって読みたいぐらいですが・・・

 

そういう訳にも行かないので、さて、出勤準備といきますか

 

今日も一日、なんとか乗り切っていきましょう

 

 

 

 

 

 


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日曜日の出会い☆『世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ』

2015年03月30日 06時38分58秒 | 読書

日曜日のお散歩で、実家の読売新聞を手に取って、1面下部の本の紹介欄で気になったものがありました。

すでにテレビのワイドショーのいくつかの番組でも紹介されているそうですが、昼間仕事でワイドショーは見れないので知らなくて、タイトルをみただけですごく気になりました。


その後、立ち寄った本屋さんで発見して、さっそく手に取って読んでみました。

 

世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ
 

汐文社

2012年にリオで行われた環境を考える地球サミットでの、ウルグアイのムヒカ大統領の演説を本にしたものです。

エル・ペペの愛称をもつホセ・ムヒカさんは2010年3月1日より2015年2月末までウルグアイの第40代大統領。

「世界一貧乏な大統領」と言われているのは資産が少ないからではなく、個人資産を87%寄付して家とトラクターだけで暮らしているから、なのだとか。


セヴァン・カリス=鈴木さんの当時12歳での演説はとても有名ですし、私もずいぶん前にやはり本になったもので読みましたが、同じ会議でのムヒカ大統領の演説については、私は昨日まで知りませんでした

自分の無知・無関心が残念でなりません。

もっと早く知っておきたかった。

今頃・・・という感じもあるけれど、本になって良かった。

たくさんの大人にも子どもにも読んで考えてほしい内容でした。


持続可能な発展と世界の貧困をなくすために、私たちができることはなんでしょうか?

現在の裕福な国々の発展と消費モデルを真似することは、地球資源の早期の枯渇と奪い合いの戦争や、より貧しい地域をつくることにしかつながらないと、私も思っています。



当時のスピーチはyoutubeで見れます。

また日本語に翻訳したサイトがあります。
 

ムヒカ大統領のスピーチ>リオ会議でもっとも衝撃的なスピーチ:ムヒカ大統領のスピーチ (日本語版) (hana.biサイト)

 


私も自分にできることをもう少し真剣に探してみたいと思います

 

 



 


『わたしを離さないで Never Let Me Go』

2011年04月18日 13時43分53秒 | 読書

入院したら時間があるかなと思って、読む本を準備しました。
わずか1泊2日だったので、実際は病院ではあまり読み進めませんでした。
時間はちょっとあったけど、初めての経験で、点滴が終わっても退院直前の診察後まで、はずしてもらえなかった点滴の針が気になって、上手く文庫本を持つことが出来なくて、集中して読めませんでした。

今回、私が選んだ本は、ブッカー賞の受賞から気になりつつも、一度も読んだことのない、カズオ・イシグロ氏の『わたしを離さないで』。

映画化され、すでに公開されている物語。
映画も見たいと思っていたところでの、入院で、ちょうどいいから先に原作を読もうと久々の海外文学。

緻密に構成された物語が、抑制された語りで描き出されていて、不思議な感じ。
エンタメ系の、読み終わって、「面白かった!感動した!」という小説をここのところ好んで読んできた私には、久しぶりの衝撃。
その静かでいながら、不思議な違和感とともに、深く心に残る物語に、久しぶりに大切なお気に入りを見つけた感じです。

ストーリーを隠す必要はないのですが、内容を語るのは、違う気がする小説。

命って何?
人間って何?
生きるって何?

たっぷり考えなければいけない課題を出された気分。
やっぱり2011年の私のテーマなんでしょうか。

そして、読了した日曜の夜。
ふっと、テレビ欄に目をやれば、22時からのNHK教育のETV特集「カズオ・イシグロをさがして」

あまりのタイミングの良さにビックリです。

私が少し前に読み終えた小説の、所々を、番組内でともさかりえさんが音読。

あらためて、その世界を噛み締めることに。

すでに公開されている映画のシーンもふんだんに散りばめられ、ますます映画も見たくなりました。

他の作品についても、イギリスの風景とともに紹介され、英語力に問題はあるものの、原書でも読んでみたくなりました。
自信はないけど、チャレンジしてみたいな。


『フリーター、家を買う。』有川浩

2010年08月29日 13時40分10秒 | 読書

注文からかなり遅れて、三日ほど前に届いた『フリーター、家を買う。』
なかなか読む時間も取れないのですが、今日、ちょっと開いた時間に読み始めて、結局他の事を後回しにして読み終わりました。

面白かったです。
人間って、いいな。
情けなくて、くだらなくて、プライドばっかり高くて、そんな自分に嫌気が差して、気付くのが遅くて、それでもなんとか頑張ろうと思って、そこからでもやり直せる。
それが一般的なエリートとか、いわゆる勝ち組とかの道とは違っていても、なんだかいいなって思わせてくれる、そんなお話でした。

今回は有川浩さん得意の恋愛は本編では封印。
単行本の最後の別立ての1章で、語られてます。

どちらも良いです。

別に大きな事件も起こらないけど、やっぱり読み終わると涙が溢れてくる。

辛くても、人生悪いことばっかりじゃないんだよね。

ほんのちょっと見方、考え方を変えるだけで、不幸も引っくり返るんだよね。

そんな幸せな涙が流せる作品でした。

最初情けないほどに、最低な、自分しか見えていない、ある意味とても今時な主人公の武誠治が、大切な母の病気をきっかけに、周りを見られるようになって変化していく様子に、ついつい頑張れ!と感情移入。

これを10月からドラマで嵐の二宮くんが演じる様子がもう脳内で想像できて、期待度大。

ニノが演じる主人公・誠治。

すっごく似合う。

本当に早く見たい。

原作とドラマではまた違ったものになるのでしょうが、すでに撮影に入っているドラマのスタートが、ますます待ち遠しくなりました。


『小暮写眞館』宮部みゆき

2010年07月04日 16時14分38秒 | 読書

読み終わって、顔を洗いました。
洗い終わって、目薬さしました。
それから、歯を磨いて、掃除機をかけました。

昨日、今日の大半の時間を費やして、宮部みゆき著『小暮写眞館』を読了。

読み終わって、しばらく涙が止まらなくて、無性に自分を清潔にしたくなりました。

著者3年ぶりの現代エンターティメントとのことで、発売を知ったのは少し遅れたけれど、新聞の広告でどうしても読みたくなって買ったのが、6月中旬頃。
買って読み始めるのに1週間ぐらいかかって、読み始めても物語に入り込むのにちょっと時間がかかったけれど、4話からなるこの小説の第2話を読み始めてからは、夢中になりました。
それが昨日。
713Pある厚い小説。1話が132Pで終わっているから、600P弱を昨日の午後から今日の15時までの約1日で読んだ計算。
久しぶりに夢中で本を読みました。

宮部さんの作品はどれも、普通の生活をする、でもちょっと普通から外れた、少し変わっているけれど、とても優しい人たちで成り立っていることが多いです。

『小暮写眞館』もそんな小説でした。

主人公は高校1年生の花菱英一くん。
物語の中でも時は流れて、小説が終わる頃は高2の終わりでした。
小さな妹を失った痛みを心の奥に抱えています。
その両親と小さな弟、高校の友人達。
出会う人々、みな心の痛みを抱えながら、周りの人に優しい気遣いで生きてる。
そして、死んだ後も温かく見守るもの。

両親が買った新居が古い写真館で、そのために生じた誤解に近い縁で押し付けられた写真の、そこに写ったありえないものを主人公が解明していく形で物語りは進んでいきます。

作者の人間に対する観察の鋭さと、人間の想いに対する優しさが溢れた1冊。

最終的には主人公が自分の心の痛みと向き合い、成長していきます。
主人公の初恋は切ない別れに終わるけれど、人生の出会いと別れの風景が丁寧に心に残る終わり方。

いろんなことが切なくて、登場人物の優しさが沁みこんで来て、みんなみんな幸せになって欲しくて、いろんな想いが溢れてきて、涙が止まらなくなりました。

泣いた後、心がじーんと麻痺した感じ。
でも、じわじわと暖かくて、今はちょっと脱力状態です。

宮部みゆきさんは、もともと素晴らしい小説を書く方で、大好きな作家です。
3年の間に少し文章のテイストが大人っぽくなった、物書きとしても人間としてもかなり成長されたなって、ファンとして思いました。

素敵な物語でした。


 


クローズド・ノート

2010年01月24日 21時47分05秒 | 読書

昨日も学校でしたが、今日も娘達は英検受験で学校へ。
母は一人の日曜日。
ここのところ久しぶりに読書世界に浸っています。

お正月が落ち着いた頃の読み初めが和田竜・作「のぼうの城」。
次が井坂幸太郎「フィシュストーリー」→山本文緒「眠れるラプンツェル」→梨木香歩「からくりからくさ」と読んで、今日は雫井修介「クローズド・ノート」読了。
どれもこれも、それぞれ印象的で素晴らしい作品でした。

「クローズド・ノート」は2009年9月に映画化、公開されてます。登場人物等が原作とは異なるそうです。
公開前、見たいなと思っていたのですが、主演女優・沢尻エリカさんの「別にぃ」発言で、「やぁめた!」と見るのを止めました。
今日読み終わった「クローズド・ノート」は、ラストの展開がわかり始めたところから、その切なさに涙が止まらなくなりました。
展開が分かっていても、いえ、分かったからこそ泣ける。
そんな作品でした。
こんなに素敵な原作の主演をしておきながら、「別にぃ」はないなと今更のように思ってしまいました。
女優として仕事に対する熱意があまりになさすぎるな。
自分の出演した作品に愛情がないなら、仕事を干されて当然だなと…。
俳優という仕事は、やはり自分の人生の生き様も含めて、仕事なんだなと思います。

そうすると、撮影途中で髪を切ったり、日焼けしすぎたりの大野智も気をつけないとね。
ドラマや映画の仕事を続けるためには、自分をコントロールする気持ちもちゃんと持つ時期なんだろうな。

素敵な小説を読み終わると、次が読みたくなる私。
読んでいると、もちろん動かない。
でも何かつまみたくなるので、冬太り気味の最近、ちょっとヤバイ。
という訳で、読み終わって、駅南口の土手をウォーキング。
なんだか、身体を動かすのが久しぶり。
寒さも厳しくなくて、1時間ほど歩いてきました。
ダイエットには続けないと効果はないでしょうけど、たまに身体を動かすと気分はすっきり。

帰りに、図書館で立ち読み。
Hanakoの嵐のリレー連載が大野くんだったので、帰りの本屋で文庫本と一緒に購入して来ました。
ひみつの嵐ちゃんの「マネキンファイブ」でも「モテ嵐!ダメ嵐!」のコーナーでも成績優秀な大野さんということで、「釣りを絡めなくしたら好調になりました(笑)」の大野くん。
「ようやくわかりました。釣りは釣り、女子は女子って」ようやくわかったそうです。
えぇ~、そんなこと分からないままの大野くんでいいのにな。
そんな風に思っちゃいました。

そういえば、「特上カバチ!」、櫻井くん演じる田村の所属する事務所が「大野行政書士事務所」で、良く「大野」「大野」と出てきて、その都度、なんだかこそばゆい感じがします。


小説『阿修羅』

2009年11月28日 12時43分59秒 | 読書

 
何かひとつのことに夢中になって極めることに壮大な憧れをもっています。

ここのところ怒涛のように押し寄せるサトシゴト&アラシゴトに必死でついていくのも、だからとても楽しかったのですが、40数年かけて形成された私の性格は、実は偏りが苦手。
いつもバランスをとってニュートラルでいたがります。

一昨日、大野くんのお誕生日をお祝いしたあと、軽く抑鬱気分でした。
「私、何やってるんだろう」状態。
仕事も家事も中途半端で、ひたすら嵐…。
ここ暫く映画も読書もしていない…。
部屋も何となく薄汚れ
疲れも手伝って、ちょっと落ち込み

そんな状態の私に飛び込んできた新聞の新刊紹介欄。

玄侑宗久 「阿修羅」  (講談社)

「記憶と意識、情念と無意識の深い闇に挑んだ畢生の傑作」
◎幾つもの人格が乖離し、同居する心。
 解離性同一性障害」という心の病に、文学は救いの手を差し伸べられるのか◎

すぐに読みたくなりました。
昔から人間の心に興味があります。
「解離性同一性障害」、いわゆる多重人格は、人間の心理の不思議を思い知らされるので、特に興味のある分野。

今回はその上更に、三面六臂の異形の神・阿修羅がタイトル。
3つの顔と多重人格の相似性を考えるとなんて興味深いタイトルでしょうか。

読み始めたら、やはり面白くてあっという間に読了。

ストーリーは人格の交代には無自覚でありながら、時々起きる健忘や頭痛に不安を覚えて、治療を受ける女性と、その交叉する人格に対峙する、夫と医師、それぞれの人生や心理が、ハワイの神話や歴史、ランボーやボードレールの詩をモチーフに、阿修羅の面影とともに語られています。

幼少期の虐待に重点を置き、重苦しく、悲惨な状況が多く書かれているこれまでの乖離性同一性障害の治療の物語と比べると、この小説の世界はやわらかく優しい。
そしてとても文学的。
治療の経過があまりに上手く行き過ぎている感はありますが、阿修羅と人の心の捕らえ方はいろいろ考えさせられました。
作者の玄侑宗久さんは慶応大学を卒業、臨済宗の住職さんで芥川賞作家。
人間を見つめる目が哲学的でありながら、受容的で優しいです。

通常人間は幾つもの異なった性格の自分を内側に抱えつつ、統一した自己として社会に適応しつつ生きている。
その統一はどうやってなされているのか。
状況や環境がその自己の統一性にどのように影響を与えるのか。
記憶は常に自己の存在に都合よく書き換えられていく。
その記憶と人間の意識・無意識はどう関連しているのか。
普通の人でも状況によって、乖離とも思える方法、別の自分を提供することでその場を乗り切っているなど、いろいろ示唆的で興味深い作品でした。

よく言われることですが、乖離性人格障害は、自己を分離しなければ、その状況に対応できないほどのショックが引き金になります。
そうやって生まれてきた異なった人格、この小説では3つの別人格と統合された本来の自己のどれにも、周りの人間が優しい暖かい気持ちを持って対処します。
派手好きで困った性格にも思える人格にも、存在の意味を見出し、その人格の消失を寂しく感じるというのが、とても新しい小説でした。
実際の病気はおそらくそんな奇麗事では片付けられないほど、大変だとは思いますが…。

また、阿修羅に対しては、「太陽神→仏教に反逆する悪鬼→仏教に帰依した守護神」の結末から3つの顔を持つまでに乖離しなければならなかったのではないかと語られる場面があって、うなずいてしまいました。
通常、正面の穏やかな憂い顔を仏教に帰依したがための穏やかな美しさとみる傾向が強いですが、私もどうしても、その顔の憂いに含まれた内面の葛藤を見てしまいます。
その葛藤は神に限らず、人間の心の普遍の葛藤のようにも感じるのです。

先日奈良に行ったときにも感じたばかりですが、阿修羅はやっぱり人間が人間を覗き込み、宇宙の真理と向き合う装置だなぁなんて、思ってしまいました。

私は好きなことをいろいろ他方向に追いかけるとバランスが取れるようです。
それとも単に小説に飢えていたのかな。

複雑で深遠な人間の物語を読み、バランスを取り戻し、自分らしさが戻ってきた感じです。


脳内麻薬を味わう読書

2009年07月12日 21時32分41秒 | 読書

今日は半日、読書三昧。
村上春樹の「1Q48」は読みかけのままですが、次女が学校の図書室で借りた本を貸してくれるというので、取り急ぎそちらを読みました。

有川浩「空の中」

怪獣物(未確認生物)と自衛隊と航空機と青春と恋愛と、いろいろ詰め込まれたお話でしたが、とても面白かった。
事故にあって家族を失った少年の屈折した心境やそれを見守る幼馴染の少女の気持ちの描写、彼を心配する近所の「宮じい」のさすが年の功の、素朴で説得力のある言葉が胸を打ちます。
航空自衛隊の女性パイロットと、未確認生物である白鯨=ディックと交渉する民間会社の社員もその公平で機転の利いた対応が魅力的。二人がお似合いなのはすぐわかって、恋の行方も気になりました。
太古から生息する、しかも現在は高度2万メートルの成層圏に生息し、いろんな波長を通じて理解を深める知的生物、ディックという独特の発想すごいです。
この本の取材で作者の有川浩さんは実際に航空自衛隊を訪れたそうです。
以前、NHKのトップランナーという番組に出演された時から、気になっていたので読めて良かった。
まだ、彼女の代表作「図書館戦争」も読んでいないので次にチャレンジします

そういえば、先週は「朗読者」ベルンハルト・シュリンクを読んだのでした。
こちらは映画「愛を読むひと」の原作。
久しぶりにドイツ文学を面白く読みました。
15歳と31歳の少年の恋愛が成り立つのなら、(私と大野智もありだな)などと考えてしまいました
15歳の少年の性的なものへの憧れから始まった恋愛は、突然の別れを経て、ずっと彼の人生に影響を与え続けます。
後に再開し、彼女の秘密を知って、苦悩する彼。
そこには戦争の爪あと、ナチスドイツの影も。
彼は彼女をとても大切な人として、ずっと心に抱え続けていきます。
私は先に映画をみてたくさん泣いたので、小説ではあまり泣きませんでした。
でも、映画を見たときよりも、文盲であることについて、自分の力ではどうにもならなかった過去が与える影響とかについて、深く考えさせられました。
映像と文字の違いを感じました。
小説も映画も、どちらも優れた作品です。
とても切ないラブストーリーでした。

本を読み始めると、読み終わるまで他の事が出来なくて、先週も今週も日曜日は家から出ていません。

ずっと読み続けていると、脳みそも身体もふらふらですが、途中で作者の発想の凄さや、人間観察、その描写の凄さに、伏線をはって綿密に練られた構成に、「やられた」と思うことがあります。そんな時、悔しいやら、面白いやら、鳩尾からお腹のあたりを過ぎて子宮までがきゅっと感動で締め上げられる感じがします。
ちょっと快感、脳内麻薬=エンドルフィン出まくりです
だから、読書は止められません