映画を観る直前に購入して、読めずにいた島本理生さんの原作小説『ナラタージュ』
読了しました。
映画よりずっと硬質でさらっとした空気感で描かれる主人公・工藤泉の心理がすごく好きな文章の連続で、後半は一気読み。
映画とはずいぶん印象の違う感じがしました。
私は、小説の方がずっと好きでした。
主人公の泉がなぜ葉山先生を好きなのか、その気持ちを抱えたまま、日々を過ごす若い日々の記憶と、ラストの懐かしさとの邂逅。
胸がじ~んとなって、切なくてたまらなくなりました。
人が人を愛することは、出会いの順番ではどうにもならず、たとえ結婚した後でも、運命の出会いはあるもので、その人と一生を添い遂げられなくても、一生涯忘れられず、胸に仕舞い込む熱い想いとなることがあるもので。。。
映画では、なんだか男の人がすごくずるく感じたものが、まあ、小説でもやっぱりずるいって言えばずるいけれど、言葉を選んで表現された小説では、なんだかもっと違った風に伝わってくる。
原作者と監督の微妙な感性の違いの関係もあるのだろうけれど、この小説のこの雰囲気を映画にするのはやっぱり難しいかもしれません。
小説のシチュエーションを借りた別の作品として映画を考えた方が良いかも。
原作が島本理生さんと知ってて、映画を観た時に「あれ?」と思ったけど、小説を読んだら「ああ~、島本理生さんの作品だ」と思いました。
良い小説でした。